ビールに氷が入っているのを見たことはありますか?日本ではビールに氷を入れる飲み方はあまり見かけることはありませんが、世界にはビールに氷を入れる国も存在しています。ビールに氷は「あり」なのでしょうか?ビールに氷を入れるメリットと、氷と一緒に楽しめるおすすめのビールを紹介します。
ビールに氷を入れるメリット
氷で冷やしたビールは日本ではあまり見かけませんが、どのようなメリットがあるのでしょうか?
すぐにビールを冷やせる
夏の暑い日に飲む冷え切ったビールは、一日の疲れを癒す格別な美味しさです。ジョッキやビール自体を冷やすことでキンキンに冷やすことは可能ですが、氷を入れることですぐにビールを冷やすことができ、事前の準備なしに冷たいビールを味わうことができます。
また、氷を入れておけば長く冷やしたままにして置くことができるので、夏の暑い気温などによってビールが生ぬるくなるのを防ぎ、長い間冷たいビールを楽しむことができるのです。
普通に飲むより酔いにくくなる
次の日仕事な人も、濃度の低いビールなら翌日に酔いを残しません。また、アルコールに弱い人でも、濃度が薄まったビールなら飲みやすくなるでしょう。
ただし、アルコール濃度を薄めているだけですので、当然ながら量を飲めば酔ってしまいます。飲みすぎには注意してください。
ゲップが出にくくなる
冷やしたビールは泡立ちやすく、泡立つことでビールの炭酸が抜けます。ゲップの原因はビールに含まれる炭酸が溜まることによって生じますので、冷えたビールほど炭酸が少なくゲップもしにくくなるのです。
まったく出なくなるわけではありませんが、炭酸が苦手な人やゲップが恥ずかしい人は試してみるといいでしょう。
ビールに氷を入れるデメリット
では、氷で冷やすことが良いことばかりかというとそうではありません。日本をはじめ、多くの国では氷で冷やさないのには訳があります。ビールに氷を入れるとどのようなデメリットがあるのでしょうか?
ビールの味が薄くなる
ビールに氷を入れると、溶けた氷によってビール自体が薄まってしまい、それによってビールの味も薄くなってしまいます。これは、ビールの苦みや風味を楽しむ人にとっては物足りなく感じてしまうことでしょう。
もっとも、ビールの苦みや香りが苦手な人もいますので、そのような人にとってはビールが薄まる方が美味しく感じる人もいるかもしれません。
ちなみに、味を薄めたくないのなら、ビールを凍らせて氷にしたものを入れることで味が薄まるのを防ぐこともできます。家庭用冷凍庫は約-17℃程度まで冷やせますので、アルコール度数4.0~6.0℃程度のビールくらいまでなら凍らせることも可能なのです。
缶や瓶のまま凍らせると膨張して破裂してしまいますので、製氷皿などに移し替えてから凍らせましょう。
ビールの炭酸が弱くなる
炭酸が抜けることでゲップはしにくくはなりますが、代わりにビールの喉越しや爽快感が損なわれてしまいます。
ビールをゆっくり注ぐなど注ぎ方によって炭酸が抜けてしまうのを防ぐことはできますが、炭酸の刺激を楽しみたい人にとっては氷を入れたビールは物足りなく感じるかもしれません。
ビールに氷を入れる国も存在する
日本ではビールに氷を入れるのをあまり見かけませんが、世界には日常的にビールに氷を入れる国も多く存在しています。
東南アジアでは「ビールに氷」が当たり前
ビールに氷を入れる国は世界的に見ると意外に多く、ベトナム、ミャンマー、タイなど、主に東南アジアの国を中心に、ビールに氷を入れる飲み方は広まっています。東南アジアの国々は湿度の高い熱帯気候のため、より冷えたビールを楽しむために、氷を入れてビールを冷やしているのです。
これは、かつて東南アジアの国々では冷蔵庫の普及率が低かったため、ビールを冷やす目的で氷を入れて飲んでいたのが、今に至るまで受け継がれているためと言われています。また、アジアのビールは度数が高く、氷を入れて薄めて飲むのが普通だったという理由もあります。
日本より度数が高く設定されている
東南アジアではビールに氷を入れることから、日本よりもビールの度数が高く設定されている傾向があります。
氷を入れるとビールが薄まってしまいますので、薄まってもいいように始めからビールの濃度を高くしているのです。日本のビールと比べてアルコール濃度が1.0~2.0%程度高いビールが多いです。
このように、始めから氷を入れることを前提に作られていることが、日本のビールとの大きな違いといえます。
東南アジアのおすすめビール
氷を入れて飲むのにおすすめな、東南アジアのビールを紹介します。日本とは違う氷を入れるビールはどのようなビールなのでしょうか?
シンガポールのタイガービール
タイガービールは、シンガポールのビールです。日本ではエスニック料理店など以外であまり見かけませんが、東南アジアを中心に世界的にも有名なビールといえるでしょう。
タイガービールの一番の特徴はサッパリした飲みやすさにあります。東南アジアのビールは薄味のビールが多いと言われているように、タイガービールもサッパリした味わいです。
キレと苦みがありますので、味をしっかりと楽しむというよりも、喉越しを楽しむビールといえます。さわやかな味の中に麦の香りと味を楽しむことができる、ビール好きでも満足できるビールです。
本場さながらに氷を入れて飲んでみることで、よりすっきりとした味わいを楽しむことができます。
ベトナムの333
333は、全体的に軽めな味わいのベトナムビールです。
アルコール度数5.0%と比較的低く、風味、コク、味わいなども全体的に軽めです。ビールを味わいたい人には少し物足りないかもしれませんが、その代わり、軽めで飲みやすく流し込むように飲むことができます。氷を入れることが前提のビールですので、暑い日や労働で疲れた日に、ぐびぐび飲むことができるビールと言えるでしょう。
ちなみに、333の読み方は「バー・バー・バー」と読みます。ベトナムでは数字の「3」は演技が悪いと言われていますが、「3+3+3」で縁起の良い「9」になることから幸運のビールともいわれています。
暑い夏にはかき氷にビールもオススメ
最後に、ビールと氷の相性を象徴する「ビールかき氷」についてご紹介します。その名の通りビールを使ったかき氷レシピですが、簡単に作れますので、暑い日に是非試してみてください。
ビールとシロップを混ぜてかき氷にかける
ビール味のかき氷シロップの作り方は、ビール:10に対してシロップ:1がおすすめです。
ビールだけでも問題はありませんが、ビールの苦みを感じてしまいますのでシロップを加えてまろやかな味わいにします。それでも、ビールの苦みが強いと感じるようならシロップの割合を変えて、好みの味にしてみてください。
他にも、すだちやレモンなどを加えることによって、オリジナルなビールシロップができます。
そして、かき氷の上からビールシロップをかければ、ビール味のかき氷の完成です。日本のビールでもできますが、氷で薄めてもビールの味がする東南アジアのビールの方がかき氷には向いているでしょう。
また、シロップにしてかき氷にするのではなく、シロップを凍らせてシャーベットにしてもいいかもしれません。ビールの泡ごとシャーベットになりますので、かき氷とは違った食感を楽しむことができます。
ビールに氷はメリットもあった!
いかがだったでしょうか?日本ではあまりビールに氷を入れるイメージはありませんが、東南アジアでは当たり前のようにビールに氷を入れているのです。ビールに氷を入れることで様々なメリットがありますし、世界的に見て「邪道」とは言い切れないのが実情でしょう。
ビールが薄まるのが嫌な人は、氷を入れて飲むのがおすすめな東南アジアのビールもありますので、そちらを試してみるといいでしょう。