法事で挨拶を頼まれた…失礼にならないポイントとは?ケース別の例を紹介

2019.02.25

法事は故人の冥福を祈る仏事です。その中で、読経によって供養する法要や、故人を偲ぶ会食があります。法事全体を通して2~3回施主の挨拶が入りますが、どのように語ればよいか戸惑う人も多いようです。法事での挨拶のポイントをケース別に紹介します。

法事の種類

法事とひとくちにいっても、それぞれに仏教的な意味合いが含まれているため、さまざまな種類があります。主な法事の種類とその意義を、確認しておきましょう。

追善法要を指すことが多い

一般的に『法事』と呼ばれるのは『追善法要』です。故人の忌日に冥福を祈るための仏事で、主に『忌日法要』や『年忌法要』があります。

仏教は『六道輪廻(ろくどうりんね)』と呼ばれる考え方が基本です。人は、死ぬと『地獄道』『餓鬼道』『畜生道』『修羅道』『人間道』『天道』という、6つの『境涯(きょうがい)』のどれかに転生(てんしょう)します。

どの境涯に生まれるかは、その人の生前の所業によって決まる定めです。

追善供養とは、故人が少しでもよい境涯に生まれ変わるように遺されたものが後から追うように供養することを指しています。

そのほかの法要

追善法要のほかにも、さまざまな法要が仏事としてとりおこなわれています。

『施餓鬼法要(せがきほうよう)』はお盆の頃におこなわれ、特定の先祖ではなく、有縁無縁のさまざまな霊を供養する法要です。檀家が集まり、寺でおこなわれます。

『開眼法要(かいげんほうよう)』は仏壇・仏像・仏画などが完成したお祝いとしておこなわれる仏事です。『魂入れ』と呼ばれることもあります。

『落慶法要(らっけいほうよう)』は、お寺の建造物である本堂・庫裏(くり)・山門(さんもん)などを建てかえたり補修工事をしたりする際、その完成をことほぐ法要です。

このとき、幼児に『水干(すいかん)』と呼ばれる装束を着せて、寺院周辺の村の中をねり歩かせる『稚児行列(ちごぎょうれつ)』もあわせておこなわれます。

日数の数え方

忌日法要は、故人の没後7日おきに、合計7回とりおこなわれます。最初の法要は『初七日(しょなのか)』です。これらは法要ごとに違う名称になります。

法要の日数を数えるときには『命日を初日』として数える点に注意しましょう。つまり、最初の法要である初七日は、没後7日目ではなく6日目です。

つづく二七日(ふたなのか)・三七日(みなのか)・四七日(よなのか)・五七日(いつなのか)・六七(むなのか)日も、同じく命日を1日目として数えた日になります。そして故人の没後七七日(なななのか)が『四十九日(しじゅうくにち)』です。

この数え方は年単位の法要も同様で、三回忌や七回忌は3年後・7年後のことではなく、2年後・6年後です。

没後の1年後は一周忌というように『回』ではなく『周』を使って意味合いを分けています。

忌日法要や年忌法要の意味

仏教では没後49日間を『中陰(ちゅういん)』として、次に転生する境涯が決まるのを待つ期間と考えます。

その間、追善供養によって少しでもよい境涯に転生できるように祈念するのが、法要の目的です。初七日から忌日法要までの流れを確認しましょう。

四十九日

本来は初七日から四十九日までの間の7日ごとに法要をおこなうのが追善法要です。

しかし、最近では本来の意味が薄れて形式化してきた結果、初七日と四十九日法要のみをとりおこないます。その間の法要は、家族だけで済ませるか、あるいは簡略化することも多いでしょう。

四十九日は、忌日法要の中でも『満中陰(まんちゅういん)』という節目です。仏教では中陰の時期が満ちて、いよいよ次に転生する境涯が決まるタイミングだと考えられています。

四十九日法要は、1年後の一周忌までの間で最も大事な仏事(仏教上の儀式)といえるでしょう。親族以外に故人の友人も招待し、僧侶を招いて読経してもらいます。

法要の後には、参会へのお礼として皆に食事をふるまうのが慣例です。また、お香典返しののしには『満中陰志』と書かれます。「満中陰を無事迎えた感謝の意思表示」という意味合いです。

七回忌

四十九日法要の後は、1年後に一周忌法要、2年後に三回忌法要がとりおこなわれ、そこから4年の間が空きます。

そして、故人の没後、命日から丸6年を経た日が『七回忌』です。仏教上では7は意義深い数字なので、七回忌も非常に大切な仏事とみなされています。

年数は経ていても、三回忌と同じように家族・親類・友人・縁故者と僧侶を招くのが一般的です。この七回忌が1つの大きな節目になります。

その後、法要の規模は徐々に縮小していき、遺族や親族のみで静かに供養していくという家庭が多いでしょう。

三十三回忌

七回忌の後は、没後12年後の十三回忌、同16年後の十七回忌、同26年後の二十七回忌と続きます。

その次にあたる没後32年後の『三十三回忌』は、ひときわ大きな節目の法要です。『弔い上げ(とむらいあげ)』とも呼ばれ一般的にはこの法要が、縁者が集まっておこなう最後の仏事です。

それ以降の法要である三十七回忌・四十三回忌・四十七回忌は、家族だけでおこなうか、地域や宗旨によっては省略するところもあるでしょう。

また、没後49年後の五十回忌は、法要というよりは『その家と子孫の繁栄を示す』めでたい仏事です。

仏教では、没後33年目になれば、誰しも極楽浄土へ行くことができるとされており、三十三回忌をもって先祖の霊として祀られるようになります。

案内状や挨拶状作成のポイント

案内状や挨拶状は普段作ることがないので、ルールがわからない人も多いでしょう。

手紙の内容から法要の日時や確認事項、注意事項が伝わればよいのですが、基本的な作り方を理解しておきましょう。

主な構成

案内状の構成には特に決まりはありませんが、先方に案内の細部をお知らせするために、要点を簡潔にまとめることが大切です。

大まかな構成としては、『挨拶』『年忌法要の案内』『日時・場所など』『施主の名前』を記載します。

書き方のポイント

故人の名前は『亡父 ○○○儀』という表記や『故 ○○○儀』などの表記方法です。仕事関係なら、後者に手を加えて『弊社社長 故○○○儀』とします。

まず『お礼の言葉』として、時間を作って列席してもらうことへの謝辞を入れましょう。本来ならば、実際に会いに行ってお礼を伝えなければならないところを書面の挨拶となる旨を記します。

差出人は『施主(せしゅ)』の氏名を書き、その隣に『親族一同』と添えます。また、基本的に本文中に句読点は付けません。

テンプレートと送り方

法事の案内状は封筒で送付するのが基本ですが、往復はがきを使う略式の場合も増えています。 不幸が重なるという意味に通じる二重封筒は用いず、普通の『白無地封筒』を使用します。

案内状には、会場の手配や返礼品・会食の準備をする際、人数の目安が必要なため、出欠を尋ねる返信用ハガキを同封します。

  • 案内状の題
  • 手紙の冒頭の挨拶
  • 時候の挨拶(省略も可)
  • 年忌法要のご案内本文
  • 誰の何回忌法要
  • 日時・場所・式次第(段取り)
  • 前泊の有無の確認やその他注意事項
  • 結びのひとこと
  • 施主の名前

という順で書いていくとよいでしょう。

当日の挨拶のポイント

法要の当日に挨拶をするときは、慣れないことをするため、非常に緊張するかもしれません。必要以上に慌てないように、これだけは押さえておくとよいというポイントを紹介します。

簡潔に感謝を述べる

法事での挨拶でもっとも大切なのは、『感謝を簡潔に述べること』です。

念入りに何を話すか準備して、あれやこれやといろんな言葉を並べ立てる人もいます。しかし、かえって薄っぺらい挨拶になってしまうことが往々にしてあるでしょう。

言葉は短くても『心から感謝している』ことが伝わるように、早口ではなく言葉をかみしめながら、おごそかで丁寧に語れば大丈夫です。

直接的な言葉は使わない

挨拶においては『直接的』な表現は使わないのが基本です。

  • 死亡
  • 事故死
  • 生きていたとき

などの言葉を使うのは避けましょう。

しかし、その人の死の事実に触れなくては、法事の意味が通りません。死亡に関しては『亡くなった』、生きていたときは『生前』に言い換えるとよいでしょう。

気をつけたいのは、たとえ感謝を伝える言葉でも『ますます』や『重ね重ね』などは、不幸が重なるという意味に通ずる『忌み言葉』にあたります。丁寧な表現であっても、避けなくてはなりません。

忌日法要の挨拶例

忌日法要には決まった形式というものはありませんが、施主の挨拶においてはおごそかな雰囲気にふさわしい、まごころが込められた挨拶がよいでしょう。簡潔さも大切です。

以下、忌日法要での挨拶例をあげておきます。

開始の挨拶

法事・法要の冒頭に簡単な挨拶をおこないます。四十九日法要を例にとりましょう。参会者の都合にも配慮して、できるだけ手短に挨拶します。

挨拶の内容としては下記を入れましょう。(年忌法要にも通じる基本です)

  • 参列者への感謝
  • 誰のための法要か
  • 読経の合図

以下は開始の挨拶の例です。

「本日はご多忙にもかかわらず、お越しいただきまして誠に有難うございます。これより父○○の四十九日の法要をとりおこないたいと存じます。ご住職、どうぞよろしくお願いします」

お斎があるときの終了挨拶

法要を終えてから『お斎(とき)』という会食をする場合があります。お斎がある場合の、忌日法要終了の挨拶例を挙げておきます。

「本日はお忙しい中お集まりいただきまして有難うございました。皆様のお陰で、父の四十九日の法要も滞りなくとりおこなうことができました。父も安堵していることかと存じます。これからも変わらぬご支援のほど、なにとぞお願い申し上げます。

ささやかではありますが別室におきまして、席を設けております。お時間の許すかぎり、どうぞゆっくりとなさってくださいませ。本日は誠に有難うございました」

この後、一同を宴席の部屋へ案内します。

お斎がないときの終了挨拶

お斎がない場合の、忌日法要終了の挨拶例です。

「本日は、ご多忙にもかかわらずたくさんお集まりいただきまして、誠に有難うございました。おかげさまで父の四十九日の法要を無事終えることができました。父も私たちの姿を見て、きっと安堵したことかと存じます。

父が亡くなり、遺された私たちは寂しくなりましたが、皆様には今日に至るまで多大なるご厚情をたまわりました。この場をお借りしまして改めて御礼申し上げます。

どうか今後とも、変わらぬご支援をなにとぞお願い申し上げます。本来ならば、皆様と共々に父の思い出を偲びたいところではございますが、遠方からおいで下さった方もたくさんいらっしゃいますので、本日はこれにてお開きとさせていただきます。

お荷物になるかもしれませんが、心ばかりの品を用意してありますのでお帰りの折には、どうかお持ち帰り下さいませ。本日は誠に有難うございました」

そのまま解散すると参列者に礼儀を欠くことになるので、折詰の料理や引き出物などを渡しましょう。

年忌法要の挨拶例

故人の命日は、一周忌のあとは『祥月命日』と呼ばれます。法要は『年忌法要』になり、没後の定められた年数の祥月命日にとりおこなう方式です。

年忌法要も、忌日法要と同じく決まった形式はありません。施主の挨拶においては、簡潔でおごそかに、心をこめて語りましょう。

以下、年忌法要の挨拶の例をあげておきます。

開始の挨拶

法要の始まりを告げる簡単な挨拶です。一周忌を例にとってみましょう。

「本日は、ご多忙にもかかわらず、お越しいただき誠に有難うございます。これより、父○○の一周忌法要を謹んでとりおこないたいと存じます。それでは、ご住職、どうぞよろしくお願いします」

お斎があるときの終了挨拶

お斎がある場合の、年忌法要を終了する折の挨拶の例です。

「本日はお忙しい中、お集まりいただきまして誠に有難うございました。お陰様で父の一周忌の法要も、とどこおりなく終えることができました。

父も皆様のお元気な姿を拝見して、生前を懐かしく思い出しているかと存じます。今後とも変わらぬご指導をお願い申し上げます。

たいしたおもてなしもできませんが、別室においてささやかではありますが宴席を設けております。お時間の許す限り、ゆっくりご歓談くださいますようお願い申し上げます。本日は誠にありがとうございました」

この後、一同を宴席へ誘導します。

お斎がないときの終了挨拶

お斎がない場合の、年忌法要終了の挨拶例を挙げておきます。

「本日は、ご多忙な中にもかかわらず、たくさんお集まり頂きまして、誠に有難うございました。おかげさまで父の一周忌の法要も無事終えることができました。父も皆様おひとりおひとりの壮健なお姿を拝見し、生前を懐かしんでいることかと存じます。

父亡き後、はや1年という月日が流れました。遺された私たちも、ようやく元気を取り戻してまいりました。これもすべて皆様からの厚意のお陰と感謝しております。どうか今後とも変わらぬご教授のほどを、なにとぞお願い申し上げます。

本来ならば、皆様と共々に父の思い出話などをお伺いしたいところではございますが、遠方からはるばるお越しいただいた方も多くいらっしゃいます。よって本日は、これにてお開きとさせていただきます。

お荷物になってしまうかとは存じますが、心ばかりの品をご用意させていただいておりますので、お帰りの折にはどうかお持ち帰り下さいませ。本日は誠にありがとうございました」

忌日法要の場合と同様に、最後に折詰の料理や引き出物を渡しましょう。

お斎の挨拶例

お斎(とき)では本来、精進料理をふるまうものでしたが、最近ではその慣例も薄れ、肉料理も酒もふるまわれます。

だからといって、騒いでよいわけではありません。故人を偲び、思い出話を語り合う前提で席が設けられることには変わりないのです。

お斎を始める前と終了するときに、施主の挨拶があります。法要での挨拶とは少し趣きを変えて、一同への感謝を伝えましょう。

献杯での挨拶

最初の献杯での挨拶例を紹介します。

「本日は、亡き父○○の法要にわざわざお集まり下さいまして、誠にありがとうございました。皆様に父の思い出を語りながら、お食事を召しがっていただければ、父もきっと喜ぶことかと存じます。

心ばかりのおもてなしではございますが、お時間の許すかぎりゆっくりとなさってくださいませ」

終了の挨拶

お斎を終了する折の挨拶には、下記の3点を簡潔におり込みましょう。

  • 参列者への感謝
  • 故人を亡くした悲しみはいまだに癒えていないこと
  • これから先も参会してくれた人たちには何かとお世話になるため、その旨のお願い

挨拶例は以下の通りです。

「そろそろお時間となりましたので、これにてお開きにさせて頂きたく存じます。父が亡くなり遺された私どもは寂しくなりましたが、どうかこれからも、ご指導ご鞭撻いただけますよう、なにとぞお願い申し上げます。

本日はご多忙の中、誠にありがとうございました」

親族以外の場合

親族以外の参列者が挨拶するケースもあります。故人を悼む思いを、故人と遺族におごそかに伝える役割です。これも簡潔に伝えるのが肝要でしょう。

思い出を語ることは間違いではありません。しかし、参列者に配慮して親族の挨拶と同じくらい手短に話しましょう。

目安として、1分前後にまとめるのが望ましい文量です。言うまでもありませんが、前述のように挨拶の際には、直接表現や忌み言葉を避けましょう。

意味を知っていると挨拶しやすくなる

どうしても堅苦しくなりがちな法要の挨拶ですが、本来の仏事とは何かをあらかじめ理解していれば、自然と相応しい内容が浮かぶはずです。

本稿で紹介したそれぞれの法要をとりおこなう意味を理解して、違和感がなく簡潔で心を込めた挨拶を心がけましょう。

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