剣道を始めたばかりの大人の男性のなかで、面打ちが上達せずに悩んでいる人はいませんか?面打ちは、基本を理解していくつかのポイントを押さえることが肝心です。初心者でもわかりやすいように、面打ちの基本と上達のコツに関して解説します。
面打ちの基本
『面打ち』を実戦で成功させるためには、小さな竹刀の振り上げから素早く打ちにいかなければなりません。
ここでは、面打ちの基本について解説します。
最初はゆっくり、徐々にスピードを意識
面打ちの稽古方法について説明しましょう。まず、すり足で大きくゆっくりと振りかぶって打つことから始めます。
竹刀の振り上げや振り下ろしのときは、ひじだけでなく肩関節を十分に活用することがポイントです。
また、竹刀の重心がなめらかな放物線を描くように体移動をするやり方は、『一拍子の打ち』を意識しながら行いましょう。
竹刀の重心が放物線を描く『太刀筋』がつかめるようになってきたら、足を踏み込みながら、放物線の大きさを次第に小さくして素早く打てるように練習を繰り返します。
最初はゆっくりと、そして慣れてきたら徐々にスピードアップしていくとコツがつかめます。
面打ちの機会は相手の動作の起こりを確認
面打ちの機会は下記のタイミングチャンスとされています。
- 動きを起こそうとする瞬間
- 自分の技を相手が受け止めた瞬間
- 技が終わって次の動作に移ろうとした(動作や技を出し終えた)瞬間
- 攻防中に対応動作ができなくなった瞬間
- 体勢を整えるため下がろうとする瞬間
- 息を吸うとき
- 姿勢・動作が乱れ、体勢が整わない瞬間
これらの7つの中でも、はじめに稽古をしておきたい機会が『動きを起こそうとする瞬間』です。
練習方法は、2人1組になって行います。自分が1歩踏み込んだら、相手が1歩下がります。そして相手が1歩踏み出したところを面打ちします。
これを繰り返し行うことで、相手の動作の起こりを確認した瞬間に面打ちをするリズムが身に付きます。
面打ちの流れ
面内には、『正面打ち』と『左右面打ち』の2種類あります。竹刀の重心を持ち上げる作用が『振りかぶり』と呼ばれるものです。
この振りかぶりによって中段に構えたときの竹刀の重心を相手の面の高さよりも高いところまで持ち上げ、そこからその重心を下に落とすようにしながら、さらに重心を中心とした竹刀の回転運動を加えて打つのが、通常の面打ちの打突方法です。
ここでは、それぞれの面打ちについて解説します。
正面打ち
面打ちのなかでも、最も基本的な面打ちが『正面打ち』です。また、正面打ちは剣道の全ての技の中でも、最も基礎となる大切な打突動作なのでしっかりと覚えておきましょう。
正面打ちの稽古方法は、下記の表のとおりです。
練習法 | 内容 |
送り足を前進しながら行う |
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送り足を前進後退しながら行う |
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踏み込み足を用いる |
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左右面打ち
『左右面打ち』は、中段の構えから竹刀を相手の面が見えるまで頭上に振りかぶり、右足より送り足で左面を打ちます。
そして、中段の構えに戻らないまま、すかさず手を返して右面を打ちます。左右面の角度は約45°として、交互に左面と右面を連続して打ちます。
動画で動きをチェック
文章だけではよくわからない人は、動画で実際の面打ちの動きをチェックしてみましょう。
面打ちの動画はたくさんありますが、『超必見!!【近本巧先生による打突の心得】愛知県警剣道特練 番外編』は、愛知県警剣道特練の指導者による、初心者にもわかりやすく解説された動画です。
竹刀の持ち方から小さい面の打ち方まで、また、相手を引き込んで打つなどポイントをおさえたい人におすすめです。
“超必見!!【近本巧先生による打突の心得】愛知県警剣道特練 番外編”
面打ちのポイント
面打ちを上達させるためのポイントは、『足の動き』が最も重要です。足の動きをマスターするためには、繰り返し練習をしなくてはなりません。
ここでは、面打ちのポイントとなる足の動きとその練習方法について解説します。
足の動きが大切
昔から、剣道では『技を見ずして足を見よ』という言葉があります。このことからもわかるように、面打ちの技の根源は足にあります。
足の踏み方・さばき方(使い方)が最も重要であると意識して練習しましょう。
初心者が練習すべき内容とは?
初心者は、まず打突と右足を踏み込んだタイミングが一致した面打ちを練習する必要があります。
練習方法は、下記のとおりです。
- 床から足を離さずに前に歩く
- 1の状態のまま、かかとを上げて歩く
- 床から足を離さず、常に右足が前にあるようにして移動する
- 3の状態で、左右のひざを曲げて移動する
- 4の状態で、腰から垂らしたひもを床に付かないように注意しながら移動する
上記の練習を行う前には、けがの原因となる障害物等が床に無いことを必ず確認してから行いましょう。
メリハリのある手の内で面打ちを
面打ちでは、足の動きが重要ですが、それだけではありません。手の内にメリハリを持たせることも大切なポイントの1つです。
打突の時の手の内は、『しっかり握ること』と『柔らかく握ること』のメリハリをつけなくてはなりません。こうすることで、打突にも冴えが生まれるのです。
また、面を打つには剣先が面金より上がらなくてはなりません。そのためには、打つときには、まず左手を落とすことが大切です。
足を動かし始め構えのまま我慢したあとは、面打ちのスタートの動作としては左手を落としましょう。こうすることで面打ちがとても楽に行えるようになります。
技にはさまざまな種類がある
剣道には、さまざまな種類の技があり、大きく分けると下記の5つに分類されます。
- しかけ技
- 応じ技
- 体当たり
- 鍔(つば)ぜり合い
- 切り返し
ここでは、これらの5つの技のうち、種類が多い『しかけ技』と『応じ技』の2種類について解説します。
一本打ちの技などしかけ技
『しかけ技』とは、攻めに対する相手の反応をしっかりと確認しつつ、相手が打突の動作を起こす前、または、相手が打突を起こそうとする瞬間に、その相手の構えの崩れや隙を見て打突する技のことです。
しかけ技には、下記の5種類の技があります
- 一本打ち
- 払い技
- 二段三段の技
- 出ばな技
- 引き技
面打ち落とし面など応じ技
『応じ技』とは、相手の『打ち』に対して身体をかわしながら、すり上げ・返し・抜き・打ち落としなどを行って相手の体勢を崩して、その崩れた瞬間に早く打ち込む技のことです。
応じ技には、下記の4種類の技があります。
- すり上げ技
- 返し技
- 抜き技
- 打ち落とし技
打ち落とし技には、『面打ち落とし面』があります。面打ち落とし面は相打ちで面に行く形の技で、相手の竹刀を打ち落としたあとに面を打つため、とても難しい技です。
面打ちは、ひとつひとつの動作を大切に
面打ちは、剣道の技の基本です。面打ちを上達させるためには、基本の流れと足の動きに注意しながら練習を繰り返しましょう。
ひとつひとつの動作を大切に動くことで、必ず上達します。