釣り道具の収納や持ち運びに欠かせないのが『釣りケース』です。タックルボックスや小物用ケース、ショルダーバッグなど、さまざまなものがありますが、どんな場面で使えばよいのでしょうか。初心者が揃えるべきおすすめアイテムの特徴も紹介します。
釣り用ケースの種類
『ケース』とは、広義の意味において容器や入れ物のことを指しますが、実際はボックスタイプのケースからピルケースのような小物入れまで千差万別です。
釣りで使うケースは大きく3つに分けられ、目的や用途に合わせて選ぶ必要があります。
釣り用品の道具箱 タックルボックス
釣り用具一式を入れる道具箱を『タックルボックス』といいます。普通のバッグや市販のケースと異なる点は、収納部分の仕切り方やサイズの規格が釣り仕様になっている点でしょう。
水濡れや足場の悪い場所での使用を想定し、頑丈で、防水性が高い構造になっているのも特徴です。中には、椅子代わりになるタイプもあります。
ルアーや小物用の収納ケース
バラバラになりやすい小物類は、仕切りの付いた小物用の収納ケースに入れて整理します。収納ケースを準備するときは、以下の2つに分けるとよいでしょう。
- ルアー用ケース
- ガン玉・オモリなどの小物用ケース
移動時は、タックルボックスやリュックにケースをそのまま入れるだけなので、忘れ物や失くし物が減るでしょう。
釣り具メーカーの収納ケースは、水濡れに強い防水仕様・耐衝撃性のある素材・ワンタッチで開閉可能など、釣りのあらゆる場面が想定されているのが特徴です。
ケースの持ち運びに使える各種バッグ
上記で紹介したような収納ケースは、パーツが多くなると2個、3個と数が増えていきます。そのため、まとめて持ち運べるようなバッグ、または大きめのタックルボックスが必要です。バッグは以下のような種類があります。
- バックパック
- ショルダーバッグ
- ウエスト・ヒップバッグ
どのタイプを持って行くかは、釣りのスタイルや足場の状態などによって判断します。『容量』と『防水性』は必ず確認し、それぞれのメリットとデメリットを理解した上で選びましょう。
このほかに、ロッドを収納するための『ロッドケース』も欠かせません。
タックルボックスとは?
釣り具の収納にタックルボックスがおすすめといわれる理由は何でしょうか?タックルボックスは釣りに絶対に必要なわけではありませんが、あるのとないのとでは、利便性が大きく変わります。
タックルボックスの特徴と選び方のポイントを解説します。
頑丈で収納能力が高い
釣り針やルアーなどの釣り具全般を収納するのが『タックルボックス』です。タックルボックスの特徴とメリットを挙げてみましょう。
- 頑丈
- 収納力が高い
- 水や汚れに強い
タックルボックスは、水や汚れに強く、落としたりぶつけたりしても滅多に破損しない丈夫な素材でできています。内部に水が入りにくい構造で、かつ防水性が高いため、大切な釣り道具をしっかりと守ってくれるでしょう。
収納に関しては、仕切りが少なく、パーツケースごと収納できる『バゲットタイプ』、複数の階層に分けて整理できる『多段式』、たっぷり収納できる上、携帯性が高い『アタッシュケースタイプ』などがあります。
用途に合わせて選べば、釣り場での作業やアクションが素早くできるでしょう。
タックルボックスは2種類ある
タックルボックスのサイズや種類は、メーカーごとに違います。しかし、『大型』と『小型』の2種類のラインナップは、だいたいどのメーカーでも取り扱いがあり、用途や目的に応じて使い分けられるようになっています。
大型と小型では、主に、収納力・重さ・耐重量などが異なるので、どこで、どう使うのかを明確にしておきましょう。
増えすぎた釣り道具を収納するには大型
大型のタックルボックスは、増えてきたルアーや釣り針を収納するのに役立ちます。多段式タイプを選べば、どこに何があるかが一目瞭然で、釣りの効率も上がるでしょう。
普段は、大型ボックスを自宅や車の中に置いておき、そこから必要なものだけを小型のケースに移して持ち運ぶ人もいるようです。
また、『船釣り』では、大小さまざまな魚と出会える確率が高くなるので、できるだけ多くの道具を備えておかなければなりません。大型のタックルボックスは必要な釣り具一式はもちろん、防寒具や水筒も収納できるので便利です。
釣り場に持ち運ぶには小型
釣りをはじめたばかりの頃は道具がそれほど多くないので、小型から中型を選ぶのがおすすめです。大は小を兼ねるといいますが、大きすぎるとがさばって機動性が失われてしまいます。
特に、ランガンや渓流釣り、堤防釣りなど、フットワークの軽さを重視する釣りスタイルには、大型のタックルボックスはあまり適していません。携帯性の高い小型か、ショルダーバッグなどを使うのがよいでしょう。
メイホウ VS-8050 スモークBK
丈夫で機能性の高い工具箱を製作する『メイホウ』の多段式タックルボックスには、各層にピルケースのような細かい仕切りが付いています。小さな釣り具がきっちりと整理できるので、ルアーが増えすぎて困っている人にぴったりです。
本体には、座ることも可能な耐衝撃性・耐重性のある素材が使われています。2段階ロック構造なので、突然の衝撃で中身がバラバラになる心配もないでしょう。中のトレイをツールケースに差し替えることもできますよ。
- 商品名:メイホウ VS-8050 スモークBK
- 価格:12,548円(税込)
- Amazon:商品ページ
ルアーや仕掛け用に使える収納ケース
ルアーや仕掛けの整理整頓は、中型の収納ケースを使うのがおすすめです。アイテムがどんどん増えることを想定し、ケースの形やサイズにもこだわってみましょう。
ルアーやジグ、仕掛け全般の収納用
ルアーやジグなどの仕掛けは、釣り歴が長くなるにつれてどんどん増えていくのが難点です。フックがむき出しの小物はカバンにそのまま入れると危険なので、必ず収納用のケースが必要になります。
収納ケースは、仕切りが付いているタイプで、ある程度の収納力が見込めるものを選びましょう。素材はどんなものでも構いませんが、以下のような機能があると便利です。
- 両面に収納ができるリバーシブルタイプ
- 可変仕切板付き
- ワンタッチ式止具で開閉が容易なもの
- 衝撃でもフタが開かないもの(ロック機能)
- 水抜き穴付き
- 丸洗い可能
- 中身が見える透明タイプ
なるべくサイズを揃えて収納しよう
ルアーケースは、複数個持ち運ぶことを想定し、できるだけサイズが同じものを選びましょう。
ケースごとタックルボックスに入れるとき、きちっと揃えて入れるとスペースが有効活用できます。車や家の押し入れに積んでおくときも、サイズが同じだと場所を取りにくいでしょう。同じメーカーのシリーズで揃えるのがおすすめです。
定番のケースはメイホウのVSシリーズ
ルアーケースの定番といわれるのが『メイホウ』の『VSシリーズ』です。タックルバッカンにぴったりはまる大型タイプや、ピルケースのような浅型タイプまで20種類以上あり、自分の欲しいサイズが容易に見つかります。
どれも中身が見える半透明タイプで、軽くて丈夫な素材が使われているのもポイントでしょう。開閉が簡単なワンタッチ式止具は、素早いアクションに繋がります。
小型の収納ケース
米粒サイズのガン玉は、放置しておくとコロコロ転がってすぐになくなってしまいます。なくなりやすい小物は、ルアーとは別に、より小型の収納ケースに入れて管理しましょう。
ハリやガン玉オモリなど小物の仕掛け用に
ハリやガン玉は最も紛失しやすい道具の1つです。ルアーを入れる収納ケースよりもさらにコンパクトな『小物ケース』を準備しましょう。
小物ケースには、『仕切りごとに収納口があるタイプ』と、『大きな収納口が1つか、2つしかないタイプ』があります。ガン玉やオモリには前者が便利ですが、替えのトレブルフックを入れるときは、大きな収納口のほうが出し入れしやすいです。
『サイズ』は何をどのくらい入れるかによって変わってきますが、スピーディなアクションを求めるなら、ジャケットのポケットに入るてのひらサイズが1個あると便利です。
散らばりやすい小物を入れるので、フタがしっかり閉まるかも必ずチェックしましょう。
小物ケースは100均などでも調達可能
小物ケースの値段はピンキリで、釣り具メーカーで扱っているワームが引っかからないタイプや、強靭で軽量な素材が用いられているものは、1000~2000円と高価です。ケースを何個も必要とする人は、100均で売られているリーズナブルなものでもよいでしょう。
しかし、本来は文房具やサプリメントを入れるためのものなので、耐久性や耐衝撃性は劣ります。地面に落下したとき、散らばらないようにする工夫も必要です。
釣り竿の収納ならロッドケース
釣り竿は、硬いものにあたると破損しやすく、修理にも手間がかかります。釣り竿を持ち運ぶときは、『ロッドケース』を使いましょう。購入時は、ケースの種類も重要なチェックポイントになります。
磯釣りなどで大切な釣り竿を守る
ロッドケースは、釣り竿を入れるための専用ケースです。移動時に他のものに接触したり、潮風などにあおられたりするのを防ぐ役目があります。
揺れや落下などの衝撃から守るため、ほとんどのロッドケースの中にはクッション性または、耐衝撃性の高い素材が使われています。
ロッドケースの2つの種類
ロッドケースは2つのタイプに大別できます。シチュエーションに応じて使い分けましょう。
- ソフトケース
- ハードケース
『ソフトケース』は、ナイロンやポリエステルなどの生地にクッション性のある素材を組み合わせた柔らかいタイプのケースです。軽量で、価格がリーズナブルなのがメリットですが、耐衝撃性はやや劣ります。
『ハードケース』は、カーボンやポリ塩化ビニルなどの丈夫な素材でできており、衝撃や水に強いのが特徴です。そのぶん、重量は重くなり、釣り竿が何本もある人は、持ち運び時の負担が大きくなるでしょう。
ソフトケースは近場での釣りに、ハードケースは遠征や足場の悪い磯釣り、飛行機の受託荷物に預けるときに重宝します。価格は、ハードケースのほうがやや高めです。
プロックス グラヴィススーパースリムロッドケースPX692160R レッド 160cm
カーボン調生地を使用したセミハードタイプのロッドケースで、場所を取らないスリムさが高評価されています。重さは約1.2kgです。
収納できるロッドはものにもよりますが、3本前後が目安でしょう。この商品は160cm以内のロッドが対象で、同シリーズにはほかに140cmと180cmのタイプもあります。太めの肩掛けベルト付きで、持ち運びが楽にできるでしょう。
- 商品名:プロックス グラヴィススーパースリムロッドケースPX692160R レッド160cm
- 価格:5,148円(税込)
- Amazon:商品ページ
ケースの運搬に使えるタックルバッカン
餌用のケース『バッカン』と釣り道具を収納する『タックルボックス』の利点を合わせ持つのが『タックルバッカン』です。タックルボックスよりも軽量なので、扱いやすいでしょう。
防水性と軽さが特徴
バッカンは本来、エサ入れ専用のケースですが、収納性に特化したタックルボックスに近い『タックルバッカン』もあります。
タックルバッカンは、タックルボックスよりも軽量で携帯性が高く、EVAなどの防水性の高い素材が使われています。
「丈夫なタックルボックスは重い」と感じる人や、少しでも身軽に動きたい人におすすめでしょう。ロッドホルダーやポケットを後付けできるカスタム型もあります。
さまざまなシーンで使える万能型
タックルバッカンは、アイディア次第でさまざまなシーンで活躍します。
- 小物の収納
- 防寒具やレインウェア、長靴の収納
- キーパー用
- 撒き餌用
バッカンは本来、エサ入れとしてつくられています。水抜き栓が付いたものは、濡れたレインウェアなどを入れるのに最適ですし、保冷保温素材が用いられているものは、バーベキューや釣りキャンプでも役に立ちます。
シマノ バッカン FIREBLOOD ハードタイプ BK-112Q
シマノの『バッカン FIREBLOOD ハードタイプ BK-112Q』は、収納はもちろん、水汲み、エサ入れなどさまざまな用途に使える万能タイプです。
シート2重構造の丈夫なつくりで、底足には滑りにくい立体ラバーが付いており、足場の悪い場所でも安心して使えるでしょう。持ち運びやすさを考慮し、持ち手は上部で合体できる設計になっています。タオルホルダーが付いているところも便利です。
- 商品名:シマノ バッカン FIREBLOOD ハードタイプ BK-112Q
- 価格:6,280~7,689円(税込)
- Amazon:商品ページ
その他ケースの持ち運びに使えるバッグ
タックルボックスやタックルバッカンは、収納力はありますが手荷物になってしまうのがネックです。川に沿って上り下りする渓流釣りや、堤防から堤防へと移動する釣りスタイルにおいては、両手がふさがらないバッグが重宝します。
バックパック
『バックパック』は、アウトドアの収納バッグとしては最も主流の形です。両手がフリーに使え、両肩に重さが分散されるので疲れにくいでしょう。渓流釣りや堤防釣りなど、身軽さが重視される場面に重宝します。
デメリットを挙げれば、荷物を背負ったまま、ものの出し入れができないことでしょう。長時間背負っていると背中部分が蒸れてくるので、通気性のよいメッシュ生地が使われているものがおすすめです。
楕円形の形が多いですが、スクエア型のタイプを選べば、より多くの荷物が収納できます。ドリンクホルダーやサイドポケットの有無、容量もチェックしておきましょう。
ショルダーバッグ
『ショルダーバッグ』は、片方の肩からベルトで掛けるタイプで、バックパック同様、両手がふさがりません。加えて、ものの出し入れが容易にできることから、素早いアクションが必要な釣りで大活躍してくれます。
一方で、片方の肩に負担がかかるので、あまり重い荷物を入れるのには適していません。最近は片方側からしか使えない『ワンショルダータイプ』も増えています。
選ぶときは、ベルトにパットが付いているものや軽量タイプがおすすめです。
ウエスト、ヒップバッグ
『ウエスト・ヒップバッグ』は、腰部分にベルトを巻き付けて使うタイプです。釣りのどんなシーンでも両手が自由に使え、ものがすぐに取り出せるのがメリットでしょう。
肩に負担をかけたくない人はウエスト・ヒップバッグがおすすめですが、ウエストタイプのライフジャケットと被ってしまうと装着が面倒です。
ものにもよりますが、バックパックやショルダーバッグよりも容量はやや小さめです。腰に負担をかけず、移動を妨げないためにも、適度なサイズを選ぶことがポイントになります。
釣りケースをうまく使い分けよう
細かい釣り道具から、ロッドやリールなどの比較的大きなものまで、釣りにはたくさんの道具が必要です。各種釣りケースを活用して、できるだけ荷物を1カ所にまとめる工夫をしましょう。
釣り人の中には、大きなタックルボックスは車に積んでおき、必要なケースだけをショルダーバッグに詰め替えて移動するという人もいます。状況や釣りスタイルに合わせた釣りケース選びができるようにしたいですね。