お好み焼きの広島風にはどんな特徴がある?地域別に種類と特徴を解説!

2019.02.13

『広島風お好み焼き』は、さまざまな具材の食感が楽しめる広島のソウルフードです。尾道・府中・三原など、地域ごとに具材が微妙に異なるのも魅力でしょう。広島でお好み焼が作られるようになった理由や大阪風お好み焼きとの違いについても解説します。

広島風お好み焼きとは

『広島風お好み焼き』とは、主に広島県全域で提供されるお好み焼きのことで、大阪のお好み焼きと区別するために『広島風』とよばれています。

全国的にもファンが多い広島風お好み焼きですが、そのはじまりは広島の戦後復興と深い関わりがあります。

発祥は戦後の屋台から

広島風お好み焼きのはじまりは、原爆が投下されて焼け野原になった、戦後の広島にさかのぼります。食料が不足する中、主食である米は手に入らず、アメリカの進駐軍から支給される小麦粉を工夫して調理するしかありませんでした。

ここで生み出されたのが『一銭洋食(いっせんようしょく)』です。水に溶いた小麦粉に、ネギなどのわずかな野菜を乗せて焼いたもので、広島では人々の空腹をしのぐ屋台料理として定着していきました。

当時の広島には鉄をあつかう工場が多かったため、鉄板は比較的手に入りやすかったといわれています。

原爆や戦争で夫を亡くした女性が、家の土間を改造して店を開くことが多く、『〇〇ちゃん』という夫の名前を屋号にする人も少なくありませんでした。

そこから時代を経て、徐々に野菜や肉などの好きな具材を入れて楽しむようになり、現在のスタイルになったのは、1950年代中盤ごろだといわれています。

大阪風のお好み焼き、具体的にどこが違う?

お好み焼きといえば、『粉もの文化』を代表する大阪の郷土食でもあります。全国にお好み焼屋さんは数多くありますが、主に『大阪風』と『広島風』に二分されるといってもよいでしょう。両者の違いはどこにあるのでしょうか?

焼き方の違いは混ぜるかのせるか

広島風と大阪風の大きな違いは『焼き方』です。

大阪風は、キャベツや天かす、山芋などの具材を全て混ぜこみ、均一に焼き上げるのに対し、広島風は生地やそば、具材を別々に焼き、ミルフィーユのように重ねていくのが特徴です。

具材が何層にも重なるため、広島風は大阪風よりも厚めに仕上がることが多いようです。

基本的に大阪風お好み焼きには、うどんやそばなどの麺類は入れません。大阪では麺入りのお好み焼きを『モダン焼き』『そばのせ』『広島焼き』などといい、逆に、広島では具材を混ぜ込んで焼いたものを『関西風お好み焼き』とよびます。

生地は広島風に比べかため

大阪風は、生地がゆるすぎるとキャベツなどの具材がよく絡みません。そのため、広島風に比べてどろっとしたかための生地が使われています。

小麦粉が多いぶん、ふんわりとした食感に焼き上がるのも大阪風の魅力でしょう。生地の食感を高めるために、すりおろした山芋などを入れるところもあります。

一方、広島風は、粉をたっぷりの水やだしで溶いたゆるめの生地です。鉄板の上で薄く均等に広がり、見た目はまるでクレープです。生地が薄いため、そばや野菜・肉などほかの具材の食感が思う存分に楽しめます。

キャベツの切り方にも違いあり

スタイルを問わず、キャベツはお好み焼きに欠かせない具材です。大阪風と広島風では『キャベツの切り方』にもそれぞれのこだわりがあります。

大阪風は、キャベツを約3cm、幅を0.3~0.5cmの短めにカットするのが基本です。店によっては、みじん切りに近いほど細かくする場合もあり、混ぜ込んで焼いたときのバランスが考慮されています。

広島風は、細く長く切るのが定番で、長さは10cm前後が多いようです。生地の上にたっぷりのキャベツを乗せてしばらくすると、しんなりとしたほどよい食感になります。

地域ごとのオリジナル広島風お好み焼き

広島風お好み焼と一口にいっても、地域によって具材・焼き方・ソースなどが異なります。

各エリアの歴史や風土と深く結びついており、『広島のお好み焼き巡り』が楽しめるほどです。代表的な5つのエリアのお好み焼をピックアップしています。

府中焼き

通常、お好み焼きには『豚バラ肉』を使いますが、府中焼きには『ミンチ肉』を使用します。もともとは府中市の子どものおやつで、豚バラよりも安価なミンチ肉を入れて作ったのがはじまりです。

ミンチ肉から旨みや脂が染み出すので、麺はカリカリで香ばしく仕上がります。2010年の『第1回広島てっぱんグランプリ』では他の地域のお好み焼きをおさえ、府中焼きが初代王者に輝いています。

庄原焼き

庄原焼きは、広島風お好み焼きの『肉玉』をベースに、麺ではなく『庄原産のお米』、お好みソースではなく『ポン酢』を使うのが特徴です。

店舗ごとにさまざまなトッピング、焼き方の工夫がありますが、お米とポン酢は庄原焼きの必須条件です。お店によっては、キムチチャーハンやチャンジャライス、バターライスなど、味付けしたご飯を使用しています。

素材のおいしさと、ぽん酢を使ったソースのさっぱりとした味わいを楽しみましょう。

三原焼き

三原は昔から養鶏が盛んだったため、お好み焼きには安価で新鮮な『鶏モツ』を入れるのが定番でした。三原市内にはソースや麺の製造会社があり、鶏肉を含め、ほぼ全ての食材が地産地消できるといった特色も持っています。

広島のお好み焼きは、生地・麺・具材が層になっていますが、三原焼きを提供するいくつかの店舗では、キャベツや麺を焼きそばにし、生地の上に乗せて焼く方法がとられています。

尾道焼き

尾道焼きの特徴は、砂ズリ・イカ天・わけぎ・こんにゃくなど、歯ごたえのある具材が使用されていることです。尾道焼きによくマッチするオリジナルソースが使われている点にも注目しましょう。

尾道を舞台にしたNHKの朝ドラ『てっぱん』は、実在する尾道焼きの店舗がモデルになっています。

竹原焼き

安芸の小京都・竹原は、江戸時代から酒造りが盛んです。酒造りにちなんで地元のお好み焼屋さんが開発したのが地元産の『酒粕』が入った『竹原焼き』で、ふんわりと香るお酒の香りは、どことなく大人の味です。

ほどよい甘味やまろやかさもあり、ベーシックな広島焼きとは全く違った印象を受けるでしょう。

広島風お好み焼きのおいしい食べ方

広島っ子は、どのようにしてお好み焼を楽しんでいるのでしょうか?へらの使い方やトッピングの種類など、広島風お好み焼をおいしくするポイントを解説します。

へらを使うのがおすすめ

『へら』はお好み焼を焼くための道具にとどまりません。

広島っ子の多くは、鉄板の上でお好み焼を切り分けた後に、そのままへらで食します。お店に行くと「皿か鉄板か?」と聞かれることがあるので、へらで食べたい人は、鉄板を選択しましょう。

へらの使い方に厳密なルールはありませんが、一口サイズの大きさに切って、へらの手前に乗せると食べやすいです。へらの角で口を傷つけたり、やけどをしたりしないように気をつけながらいただきます。

鉄板の中央に置くと、へらが熱くなるので注意しましょう。

トッピングも楽しんで

広島風お好み焼きの定番は、肉・玉子・そばorうどんが入った『肉玉そば』です。どの店舗にも基本のお好み焼に追加できる『トッピングメニュー』があるので、自分好みにカスタマイズしてみましょう。

昔ながらの定番トッピングといえば、いか天やネギ・W麺などでしたが、最近は、もち・チーズ・明太子・にんにくなどが人気です。

また、『広島の旬の食材』も見逃せません。冬場は広島の牡蠣をたっぷりトッピングして旬の味覚を楽しみましょう。

ボリュームたっぷり広島風お好み焼きを堪能

ボリューム満点で、いろいろな具材や食感が一度に味わえるのが広島風お好み焼きの魅力ですが、歴史を紐解いてみると、戦後の焼け野原の中、人々がさまざまな創意工夫をしてきたことがうかがえるでしょう。

広島風お好み焼きとひとことでいっても、エリアごとに具材が全く違うため、食べ比べる楽しみもありますね。都内でも本格的な広島風お好み焼きを提供する店舗があるので、足を運んでみましょう。

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