法事のお布施はどのくらい包む?相場や渡し方などマナーのまとめ

2019.02.06

法事のマナーは、大人にとって身につけておきたいマナーの1つです。マナーを知らずに法事に出席すると、慌てる場面や恥ずかしい思いをする可能性もあります。そんな法事のお布施の相場や表書き、または渡し方などのマナーについてまとめました。

法事の基礎知識

大人になれば必然的に出席する機会の増えてくる『法事』。法事とは、葬儀が終わったあとに、故人の供養を行うことです。『追善供養(ついぜんくよう)』とも呼び、僧侶を呼び故人のためにお経をあげてもらいます。

そして、法事の最後には、出席していただいた人たちで会食を取り、法事を終えます。親族や近親者は出席するのが一般的です。

また、法事には、いくつかの種類があり、それぞれ事前に準備をしなくてはなりません。ここでは、法事の種類と事前に必要な準備、そして当日の流れを解説します。

法事の種類

法事は、大きく分けると下記の2種類あります。

  • 忌日法要
  • 年忌法要

『忌日法要』とは、故人が無くなった日を1日目とし、その後49日目までの間、7日ごとに行う供養のことです。『初七日』や『四十九日』などがあります。しかし、宗派によっては四十九日までは7日ごとの法要は行わないこともあるので確認が必要です。

『年忌法要』とは、四十九日以降に行われる供養のことです。故人の亡くなった日から100日目の『百ヶ日法要』や『一周忌』などがあります。一周忌以降は、年単位で『三十三回忌』などの法事を行い、『五十回忌』まで行われます。

事前準備

法事に出席したことはあっても、自分が法事を行う立場である施主になったことがない場合には、何から準備を始めればよいのか悩むことでしょう。

法事を行うためには、事前の準備が必要です。法事の主な事前準備は、下記の7点です。

  1. 施主の決定
  2. 僧侶の手配と日程の決定
  3. 会場の決定
  4. 招待者の決定
  5. 案内状作成、発送
  6. 食事と引き出物の手配
  7. お布施の準備

法事で最も大切なのが、寺院への連絡です。僧侶の都合のよい日程を考慮するようにしましょう。僧侶の都合のよい日程が決まり次第、3以降の準備・手配をします。

当日の流れ

法事当日の流れについて、説明しましょう。法事は特に流れに決まりがあるわけではありませんが、通常は下記のような流れで行われます。

  1. 親族が会場へ到着
  2. 僧侶到着・会場へ入場
  3. 施主の法要開始の挨拶
  4. 僧侶読経(法要開始)
  5. お焼香
  6. 法話
  7. 僧侶退場
  8. お墓参り
  9. 施主の法要終了の挨拶
  10. 会食
  11. 終了

お墓参りに関しては、お墓が遠方にある場合には行わないこともあります。また、9の施主の法要終了の挨拶時には、出席してくださった招待客へ会食がある旨を伝えます。さらに、会食が始まる前にも、施主の挨拶を行うのが一般的です。

お布施の意味

法事の施主が事前に準備しなくてはならないものの1つに『お布施』があります。『お布施』という言葉は、1度は耳にしたことがある人も多いとは思います。お布施とは、いったい何なのでしょうか?

布施とは

布施とは、仏教のなかで『人に施しを与えること』という意味の言葉です。お布施と言えば、施主が法要を行ってくれた僧侶に対して支払うお金というイメージを持つ人が多いですが、実際には、まったく違った意味があるのです。

しかし、時代とともに変わり、現代では『お布施』とは、僧侶にお経をあげてもらったこと、または、僧侶から戒名を授与したときに、謝礼として金銭を渡すことの意味合いが含まれるようになります。

仏教の教えへの感謝を表すもの

布施は財施・法施・無畏施(むいせ)の3つに分けられます。財施とは、仏教の教えに感謝のしるしとして、金銭や食べ物などを与えることです。

法施とは、仏教の正しい教えを僧侶が説くことです。そして、無畏施とは困っている人に親切にしてあげることを意味します。

そのため、法要で準備をするお布施には、亡くなった人のための供養の法要(法施)をしてくれた僧侶に対して、財施として感謝の意を表しているのです。

お布施の相場はどのくらい?

それでは、いったい法事でのお布施はどのくらいを包めばOKなのでしょうか?

法事には葬儀や告別式以外に、7回忌や13回忌などの法事、また、お盆やお彼岸などいろいろな種類があります。あくまでも、お布施は感謝の気持ちを示すものなので、いくらという決まりはありません。

お布施には、読経料のほか、場合によっては御車料・御前料なども別途用意することもあるため、これらの3つを合計した金額を用意します。

お布施は、地域別・法事の種類別の平均を目安にするとよいでしょう。

ここでは法事の種類別にお布施の相場を解説します。

葬儀や告別式

亡くなった直後に執り行う葬儀や告別式では、地域別では、最も高い金額の関東・近畿地方では20万円、それ以外の地域では15万円が平均です。

これに加えて、御車料や御膳料を別途包みます。

7回忌や13回忌などの法要

7回忌や13回忌などの法要では、住んでいる地域ごとの差はあまりありません。全国的に読経料としては3~5万円が平均です。

また、御車料・御膳料を別途包むことも考慮すると、全部で4~8万円が目安です。

お盆やお彼岸の法要

お盆やお彼岸などに、僧侶を自宅に呼び読経をあげてもらう場合にも、法事なのでお布施を渡します。

お盆に自宅に僧侶を読んで行う場合には、読経料として5000~1万円、御車料として5000~1万円が平均です。また、このほかに御膳料を別途渡すこともあります。

お彼岸に寺院にて僧侶に読経をあげて供養してもらう場合には、個別であれば3~5万円、合同であれば3000円~1万円を目安に包みましょう。

表書きの書き方

お布施には、書き方のマナーがあります。正しい書き方をしないと、失礼にあたるため、しっかりと覚えておいてください。

ここでは、『表書きの書き方』について一般的な仏式と、仏式でない場合のそれぞれのケース別にわかりやすく解説します。

表記

お布施の表記は、『御布施』もしくは『御礼』と表記します。このとき使用する筆は、薄墨ではなく『黒墨』を用いましょう。

表書きの下には施主の名前を記入します。姓名で記入するのが一般的です。

仏式でない場合

お布施は、先にも紹介したように仏教の言葉です。そのため、仏式でない場合には用いません。

神式の場合には、僧侶ではなく神道者に渡すため『御祭祀料(おんさいしりょう』または『御神饌料(おしんせんりょう)』と記入しましょう。

また、キリスト教の場合には、『献金』や『御礼』と表記したものを牧師または神父に渡します。

水引について

お布施に使用する封筒には、『水引』は必要なのでしょうか?

一般的には、水引は不要とされています。水引は、本来、相手側に不幸があったときに渡すものです。お布施は、寺院に渡すものであり、相手側に不幸があったわけではないので水引を付けないほうが丁寧と言われています。

しかし、住んでいる地域によっても風習が異なるため、水引を使用する場合もあります。たとえば、双銀や白黒の水引を使用したり、黄色と白の水引を使用したりする地域もあります。

水引を使用する地域に住んでいる人以外は、水引を使用しないようにするのが無難でしょう。

お布施の包み方

表書きを記入したら、お札を入れて包みます。お布施には、主に下記の2通りの包み方があります。

  • 奉書紙を使う場合
  • 封筒を使う場合

使う封筒や紙によっても、それぞれお札の入れ方が異なり、作法があるのです。

ここでは、『お布施の包み方』について紹介します。

奉書紙を使う場合

お布施を奉書紙で包む方法は、下記のとおりです。

  1. 半紙は裏を上にして置く
  2. お札の表(肖像の面)が上になるように置く
  3. お札の下側の半紙を折り上げる
  4. お札の大きさに合わせて、左側・右側の順で折る
  5. 上側をお札の幅に合わせて折りたたみ、余った部分は内側に折り込む
  6. 2枚の奉書紙を裏を上にして置く
  7. 奉書紙の中心よりも左側に、表面を上にしたお金を包んだ半紙を置く
  8. 奉書紙の左側を、半紙にかぶさるように折る
  9. 奉書紙の右側も同様に折る
  10. 上部を折って、最後に下部を上部の折った部分に重なるように折る

半紙とは縦25cm、横35cmの白い無地の和紙のことです。奉書紙とは、楮(こうぞ)を使っている和紙のことで、丈夫でありながら軽くてしなやかな紙のことを指します。

奉書紙には、表裏があるので注意が必要です。つるっとしている方が表、ざらっとしている方が裏です。

この方法が、最も丁寧なお布施の包み方なので、ぜひ覚えておきましょう。

封筒を使う場合

半紙や奉書紙が手に入らない場合には、封筒を使っても構いません。

封筒には、あらかじめ『お布施』と表記されたものも売られています。その場合には、封筒にお札をそのまま入れるだけでOKです。

何も表記されていない白い無地の封筒を使用する場合も同様にそのままお札を入れて問題ありません。

お札の入れ方

お札の入れ方は、お札の表と封筒の表書きの表が合うようにして入れます。これは、お布施だけでなく、そのほかの祝儀・不祝儀でも使うマナーなのでぜひ覚えておきましょう。

また、お札の向きは、お札の左側が封筒の下になるように入れます。

たとえば、1万円札の場合であれば、肖像画(福沢諭吉)が見えるようにお札を重ねましょう。そして、表書きの『お布施』と書いてある部分の施の側にお札の左辺が来るように入れます。

奉書紙やのし袋は縦に長く、お札は逆に横に長居ため、どちらに合わせればよいのか迷うかもしれません。

しかし、右手で表向きのお札を持って、そのまま封筒に入れれば、自然と正しい入れ方になります。

使用するお札については、新札でも、古いお札でも失礼に当たります。新札に1度折り目を付けてから入れる、または、汚れていない新札ではないお札を使うとよいでしょう。

お布施の渡し方

お布施の準備ができたら、最後は僧侶への渡し方です。お布施の渡し方にもマナーがあります。

切手盆

お布施は、そのまま手渡しするのはマナー違反です。僧侶に渡すときには、『切手盆(きってぼん)』を使いましょう。

切手盆での渡し方の手順は下記のとおりです。

  1. 切手盆を自分の方へ向けて置く(絵柄や家紋がある場合は自分側へ、ない場合はどちら向きでもOK)
  2. 切手盆にお布施の表記が自分向きになるように置く
  3. 切手盆の上下(右上と左下)を持つ
  4. 時計回り(右回り)に90°まわす
  5. 手を上下に持ち替え、さらに90°まわして、僧侶からみて表書きが正しい向きになるようにする
  6. 僧侶へお礼を述べながら、切手盆ごとお布施を差し出す

切手盆とは、ご祝儀やお布施などを相手に渡すときに使われる『冠婚葬祭用の小さなお盆』のことで、日本で古くから使われている作法道具の1つです。

昔は、広蓋(ひろぶた)と呼ばれる切手盆より大きなサイズのものが正式なサイズとされていましたが、最近では、横4cm・縦17cm程度(8号サイズ)の大きさの切手盆を使うのが一般的です。

いろいろなシーンで必要となるため、大人の男性ならば家庭に1つ用意しておくとよいでしょう。

袱紗と色

自宅で法事を行わずに、寺院や会場などで行う際には、袱紗(ふくさ)を使用します。また、自宅で行う際、切手盆をどうしても用意できなかった場合などには、袱紗を使用しても構いません。

袱紗は、慶事用ではなく弔事用のものを選びましょう。弔事用の袱紗の色は、紺色・灰色などや、慶事弔事兼用に使える紫色を使います。

袱紗の包み方は、右・下・上・左の順に折る弔事の包み方をする点にも注意が必要です。僧侶に渡すときには、自分が袱紗からお布施を取り出し、袱紗の上に僧侶の方を表書きが向くように置いてから渡します。

渡すタイミング

渡すタイミングには、特に決まりはありません。一般的に、葬儀や法要が終わったとき、または始まる前の挨拶時に渡します。

葬儀の場合では、僧侶が葬儀場に到着すると、葬儀社が僧侶を控室に案内し、喪家に僧侶が到着したことを伝えてくれるので、その挨拶のタイミングで渡すのもよいでしょう。

法事の場合は、葬儀社がいないため、自分たちでタイミングを作らないといけません。僧侶の読経が終わったころに、供養へのお礼とともに渡すことが多いです。

食事代や車代について

お布施には、供養のために読経をあげてもらう読経料のほかにも、御膳料と呼ばれる食事代や、御車料という車代を渡すことも多くあります。

どんなときに、食事代や車代をお布施として渡すのでしょうか?また、食事代や車代にはいくら包めばよいのでしょうか?

ここでは、お布施として渡す食事代や車代についてそれぞれ解説します。

食事代の目安や書き方

通常、法事では読経が終わり、お墓参りのあとには会食が用意されています。この会食は、『お斎(おとき)』と呼ばれています。お斎の『斎』の字は、仏教の用語である『斎食(さいじき)』の意味があります。

斎食とは、正午や決まった時間に摂る食事のことですが、法要などのあとの食事という意味も含まれているのです。

僧侶がこのお斎に参加しない場合には、『御膳料』と表記して渡します。食事のランクによっても、御膳料として包む金額は異なりますが、食事会で提供する料理代のワンランク上の代金を目安としましょう。一般的には5000~1万円が平均金額です。

車代の目安や書き方

寺院以外での場所で法事を行う場合には、僧侶に車代を渡します。これは、僧侶がどこから来たのかという距離に関係なく、故人の供養のために、わざわざ足を運んでいただいたことに対する感謝の気持ちなのです。

車代もあくまでも御礼なので、金額に決まりはありません。3000~1万円を目安としましょう。

車代を渡すときの表書きは、『御車料』や『お車代』とし、白い無地の封筒を使用します。

別々に用意すること

お布施には、読経をあげて供養をしてくれた僧侶に対するお礼であるお布施のほかに、御膳料・御車料を用意する場合には、どのように渡せばよいのでしょうか?

御膳料も御車料もお布施だからといって、3つの金額をすべてまとめて1つの封筒に入れ、『御布施』として渡してはいけません。御膳料・御車料は、それぞれ御布施とは別の封筒に用意する必要があります。

すべて一緒に渡してしまうことで、何に対するお布施なのかわからなくなってしまうからです。

しかし、御膳料・御車料ともに、渡すタイミングはお布施を渡すときと同じタイミングでも構いません。切手盆にこれらの3つの封筒をすべて載せて、法事が始まる前の挨拶のとき、または、法事が終わり僧侶が帰るときにお礼を述べながら切手盆にのせて渡すようにしましょう。

知っておくことで慌てなくてすむ

法事では、故人への供養をしてくれた僧侶に対しての感謝の気持ちとして、お布施を渡します。お布施は、あくまでも感謝を表すものなので供養への対価ではないのです。

いざというときに慌てることが無いよう、お布施の包み方・渡し方などの最低限のマナーを大人として、日ごろから身につけておくことが大切です。

その他のテーマ

ART

CULTURE

CRAFT

FOOD

TIME