釣りをする上で必要不可欠な『オモリ』ですが、出番が多い分消耗や紛失も多く、コストがかかるのが現実です。そこで、コスト削減や釣りの楽しみの一環として、オモリを自作してみてはいかがでしょうか。くわしい方法や注意点を紹介します。
釣りで使われるオモリの基本
オモリを自作するにあたって、まずはオモリについての基本的な知識を押さえておきましょう。
ここでは、とくに重要なオモリの材質や特徴についてくわしくお伝えしていきます。
材質は鉛
オモリの原材料には、『鉛』や『タングステン』『真鍮』『錫(すず)』などがあります。なかでも多く使用されているのは鉛で、市場に出回っているオモリのうち約7割を鉛製のものが占めているとも言われています。
比重や硬度、環境への優しさなどをそれぞれ判断すると、鉛は最良の選択肢とは言い難いでしょう。しかし、古くから利用されている素材であることやコスト面から、現在でも釣りの現場では鉛製のオモリが主流です。
鉛の特徴
鉛の最大の特徴は、加工がしやすいという点です。金属としてはやわらかく、融点が低いため、自作オモリの原材料として、専門的な知識がなくても挑戦しやすい素材と言えます。
また、比較的リーズナブルなのも鉛の特徴の1つです。『タングステン』のようなレアメタルと違って安価なため、コストを気にせずに思う存分オモリの制作を楽しめます。
加工しやすくリーズナブルな鉛は、個人でオモリを自作するのにもってこいの素材なのです。
オモリを自作する方法
オモリを自作する際の工程は、基本的には『調達した鉛を溶かし、型に入れて固める』というものです。
各工程のくわしい手順を見ていきましょう。
鉛を調達する
鉛を調達するというと、とても大変でむずかしいことのように思われてしまうかもしれませんが、決してそんなことはありません。自作オモリの原材料となる鉛は、意外と身近なところで手に入れられるのです。
具体的な方法として、以下のようなものがあげられます。
- 手持ちの古いオモリを再利用する
- 中古のオモリを購入する
- ネットオークションを利用する
- 解体屋で購入する
初心者であれば、まずは手持ちのオモリの再利用から試してみると良いでしょう。
鉛を溶かす
では、実際に自作オモリの制作に入りましょう。まずは『鉛を溶かす』工程からスタートです。
厚手の鍋に原料となる鉛を入れて、野外用のコンロで熱していきます。鉛の融点は、327.5℃で、400℃を超えたあたりで一気に溶け出します。熱し始めから鉛が溶け出すまで、およそ5分が目安です。
このとき、溶けた鉛の表面にアクやゴミが浮いていたら、ザルですくって破棄しましょう。この作業を怠ると、不純物の混入したオモリになってしまいます。
型に鉛を流し込む
つぎに、溶かした鉛をあらかじめ用意した型に流し込んでいきます。このとき重要なのは、ためらわず、一息に流し込むことです。途中で躊躇したり、何回かに分けたりしてしまうと、先に流し込んだ鉛が冷えて固まってしまい、うまく成型されません。
型に流し込んだ鉛は、10秒ほどで取り出せる状態になります。しかし、まだまだ熱く危険の状態のため、扱う際には防熱手袋や工具の使用がおすすめです。
オモリを自作するときのポイント
オモリを自作する際には、覚えておくと役立つポイントがいくつか存在しています。
ここでは、ぜひ知っておきたい注意点や便利な情報について紹介していきます。
鉛を溶かす際は換気と温度に注意
鉛を溶かす際、有毒ガスが発生することはご存知でしょうか。
もともと、鉛は『鉛中毒』という、貧血や手足の麻痺、脳障害などをともなう疾患の原因ともなる物質です。通常の接触であれば特別心配する必要はありませんが、念を入れるに越したことはありません。
鉛を体内に取り込んでしまうのを、できる限り防ぐため、鉛を溶かす際には十分な換気をおこないましょう。可能であれば、屋外で作業するのがベストです。
なお、溶けた鉛を型に流し入れる際、熱した鉛から煙が出ている場合には、過熱状態と考えられます。そのまま使用すると熱で型を変形させる恐れがあるため、温度が下がるまで少し時間を置くようにしましょう。
通販で自作用の型を用意すると楽に
オモリを自作する際に必要となる型ですが、型から自作するというのは、初心者にとってなかなかハードルが高いものです。
けれども、心配はいりません。オモリ専用の型が一般向けに販売されており、ネットでも手軽に購入が可能だからです。
また、オモリを自作する際は、糸やサルカンを留めるための針金フックも必要となりますが、こちらも市販されているのであわせて用意すると良いでしょう。
鉄筋を使って自作する場合
環境や職種によっては、『鉄筋』が身近にあるという人もいるのではないでしょうか。せっかくなら、その鉄筋も釣りのオモリに変身させてみましょう。
もともと棒状の鉄筋であれば、溶かしたり型に流し込んだりといった手間は必要ありません。基本は、ガスやグラインダーで適当な長さに切りそろえ、上部にサルカンなどを連結するための穴を開ければ完成です。
切断面をなだらかに整えておくと、実際の釣行の際も糸へのダメージも抑えられるので安心です。
投げ釣り用のオモリを自作する方法
『投げ釣り』とは、釣り竿を振りかぶり、オモリなどの仕掛けを遠投して獲物を狙う釣りの技法です。この投げ釣りは、海底付近を遊泳する魚をターゲットとするため、使用するオモリもそれに見合った工夫が必要です。
ここでは、投げ釣り用のオモリの自作方法について見ていきましょう。
投げ釣りには発泡オモリ
通常のオモリを投げ釣りで使用した場合、海底に横倒しになるため、海底面との抵抗が大きくなってしまいます。
そのデメリットを解消する方法として、オモリの一部に発泡材を使用し、海中でオモリを垂直の状態に保つという方法が生み出されました。
この発泡オモリを利用することで、海底面への抵抗が軽減するほか、さびき(仕掛けをゆっくりと引っ張ること)が楽になったり、アタリの感度が増したりといった効果を得られます。
材料は天秤オモリと発泡材
投げ釣り用のオモリの材料には、仕掛けの糸が絡みにくい『天秤オモリ』を使用します。この天秤オモリは、新品のものでも中古のものでも構いません。オモリ部分とキャップ部分の分解が簡単なものを選ぶようにすると作業が簡単です。
天秤オモリとあわせ、『発泡材』も用意しておきましょう。ウキ材として棒状に加工されたものが販売されているので、それを購入するのがおすすめです。
自作方法
発泡オモリの制作は、まず用意した天秤オモリの分解からスタートします。発泡材を取り付けるスペースを確保するため、天秤オモリのオモリ部分とキャップ部分を分離しましょう。
このとき、手での作業がむずかしい場合は、スクレーパーなどの道具を使うと楽に取り外しができます。
つづいて、発泡材を適当な長さにカットし、両サイドに取り付けるオモリとキャップに合わせて形を整えます。しっかり噛み合うように整えたら、オモリとキャップを発泡材に取り付けます。
つづいて、キャップ部分の先端に、ステンレス線で作った天秤を取り付けるためのリングを取り付けます。最後に、補強や装飾を兼ねて、発泡材部分にホログラムテープなどを巻き付けたら完成です。
オモリの自作に挑戦してみよう
釣りにおいて、オモリは消耗品です。頻繁に釣りを楽しむ人のなかには、「またオモリを買っているなあ」と、コストの高さに不満を感じている人も多いでしょう。
そんな人におすすめなのが、オモリの自作です。鉛を使ったオモリであれば、リーズナブルかつ簡単に自作ができるのです。
とはいえ、自作の際には、溶けた高温の鉛を扱うため、最低限の注意が必要です。換気や防熱手袋の用意などは忘れずにおこないましょう。
自分で作ったオモリで楽しむ釣りの時間は、より一層充実したひとときとなるはずです。ぜひ挑戦してみてくださいね。