バーはお酒とともに雰囲気を楽しむ場なので、ある程度は服装にも気を遣うことが必要です。バーにも格式が高いお店からカジュアルなお店まで、さまざまなタイプがあります。バーに行く時の大人を感じさせる着こなしやマナーについて紹介します。
バーに行く時の基本の服装
バーは1人でお酒を楽しんだり、居合わせた人やマスターとの会話を楽しんだり、予期せぬ男女の出会いがあったりという『大人の社交場』です。ゆったりと過ぎてゆく時間と空間を楽しむ場でもあるので、それに見合う服装をしたいものです。
大人の男として、どういう着こなしをすればよいのか、TPOに合った服装はどのようなものかなどについて見ていきましょう。
男性はジャケットの着用が無難
いろいろな雰囲気のバーがあるため一概には言えませんが、多くのバーで通用する汎用性が高い服装と考えるとジャケット、特に『テーラードジャケット』を使った着こなしが無難です。
カジュアルジャケットでもOKなお店もあれば、NGなところもあります。しかし、テーラードジャケットはどんな雰囲気のバーでも浮くことはありません。
それさえ羽織っていれば、インナーやボトムスの合わせ方次第で、フォーマル寄りかカジュアル寄りかを調整もできます。ジーンズや綿パンで合わせるのか、きれいめのウールパンツで合わせるのかで、同じジャケットでも表情が変わるのです。
スーツスタイルとカジュアルスタイルの中間に位置づけされる『ジャケットスタイル』は、ビジネスカジュアルとしても通用します。テーラードジャケットは多くのTPOに使えるアイテムなので、1着持っていると重宝するでしょう。
お店の雰囲気は事前にチェックしよう
事前にお店の雰囲気をチェックしておくと、お店と自分の服装のミスマッチという失敗を避けられます。
最近では多くのバーの情報はネットで調べられるので、行こうと思うお店の『格式の高さ』あるいは『カジュアル度合い』を知ったうえで、どんな着こなしで扉を開けるのかを決めるとよいでしょう。
バーにジーンズやスニーカーは避けるべき?
普段はジーンズにスニーカーというスタイルで行動する人はたくさんいます。そんな服装のままでバーに行っても大丈夫なのでしょうか、それとも避けるべきでしょうか?
カジュアルバーなら問題なし
カジュアルなタイプのバーなら、ジーンズにスニーカースタイルでも何の問題もありません。むしろぴったりな場合もあるでしょう。たとえば『ダーツやビリヤードができるお店』ならOKなことが多いです。
パーカーやスウェットはラフすぎるかも
ただし、パーカーやスウェットになるとちょっと微妙です。いくらカジュアルバーでもラフすぎるように映るかも知れないので、避けた方がよいでしょう。ヤンキーのような雰囲気が出て、『場の空気が悪く』なりかねません。
高級バーなら浮いてしまうことも
世間で高級バーと呼ばれる格式の高いお店だと、さすがにスニーカーやジーンズは浮いてしまう可能性があります。
そういう店は少なくとも、テーラードジャケットは着たほうが無難です。多くのお客さんはスーツスタイルで、場合によってはタキシードなどの『本気のフォーマルスタイルの人』も出入りするお店だと考えてよいでしょう。
スーツやタキシードの人の横で、ジーンズ&スニーカースタイルで飲んでいる人がいると、雰囲気のギャップが大きすぎてしまいます。
季節別のおすすめ服装コーデ
バーでの装い方も、季節の巡りとともに当然ながら変化します。その季節に見合う着こなしでバーでの一時を楽しむための、おすすめコーディネートを紹介します。
春秋は、ジャケットにデニムや綿パンツを
春や秋は、テーラードジャケットを軸に着こなしを組み立てましょう。デニムや綿パンを自由に合わせるもよしです。また、少し格式を気にする場合は、薄手のウールパンツを合わせるのもおすすめです。
ジャケットさえ羽織れば快適な春と秋は、このアイテムがもっとも使いやすい季節です。ボトムスにはデニム、足元にはプレーントゥやウィングチップの革靴などを合わせると、素敵な着こなしになります。
夏は、シャツやポロシャツで爽やかに
夏は暑さにより着るものも少ないので、『着こなしの幅は狭い季節』です。その中でバーに相応しいものを選ぶなら、ポロシャツや襟付きシャツになります。
『襟付き』というのがポイントで、カジュアルな雰囲気の中にも清潔感が漂うスタイルはバーでも通用します。
襟なしのシャツやカットソーになると、ラフさが前面に出るので、よほどカジュアルなバー以外ではおすすめできません。同じような感じのカットソーでも『襟が付いているだけで雰囲気が上品』になりますので、セレクトするときに意識しましょう。
夏らしく、アンクルソックスを履いて少し足が見えるコインローファーやモカシンに綿パン、ポロシャツというシンプルなスタイルでも十分お洒落です。
冬は、ニットとコートで上品カジュアル
冬場は何といっても『ニット』と『コート』が、バーへ行く時によい仕事をします。ジャケットスタイルの上にコートを合わせるのもOKですが、襟付きのシャツの上にニットを合わせて、コートを羽織れば文句なしです。
ニットはセーターでもカーディガンでもよいでしょう。コートは非ウール系やスポーティなものよりも、ウール系のウォーム感のあるものやクラシカルなものが、バー行きのファッションに似合います。
ウールメルトンのチェスターフィールドコートなどは、インナーとボトムスに合わせるものが幅広く選べて、汎用性が高いのでおすすめです。足元は革靴やブーツなどがよいでしょう。
バーでのマナーも身につけよう
バーに行く時には、服装にだけ気を遣えばよいのではありません。大人としてのマナーも身につけて足を運ぶ必要があります。
とはいえ決して小難しいものではなく、良識ある身のこなし方、ふるまいができるかどうかということです。いくつか例を挙げておきます。
大人数はタブー、多くても4人まで
バーに『大人数でおしかけるのは非常識』です。いくら多くても4人までと考えましょう。多くのバーはさほど広くないスペースで運営しています。そこにいきなり大人数というのはまず無理があります。
そして、バーはお洒落な雰囲気、クールな空気感を楽しむ場であるのに、大人数で入るとどうして騒々しくなり、リアクションも大きくなって雰囲気を壊します。他のお客さんも迷惑と感じるでしょう。
大声での会話は他の人の迷惑に
前項と通じることですが、たとえ2〜3人であっても、バーで大声でわいわいがやがやと会話するのはもってのほかです。『居酒屋とは違う』ということをわきまえなければなりません。
もちろん1人であっても同じで、たとえばマスター相手にでも大声で会話をしたり、携帯電話で通話したりなどは、他の人の迷惑になります。
バーという場所は、お酒だけではなく、時間や空間、雰囲気を味わうものだと理解していれば、おのずとそういう行動はとらないでしょう。
グラスを合わせる乾杯は避ける
乾杯をする時に、グラスを合わせるやり方は遠慮しておきましょう。むやみに音を立てないという原則を尊重し、グラスを軽く掲げるやり方の乾杯が適切です。
実は、グラスを合わせるべきではない理由はもう1つあります。それは、『グラスが薄くて割れやすい』ということです。
バーでは基本的にお洒落なカクテルグラスを使っています。中には薄いグラスもあり、軽い気持ちでグラスとグラスを合わせる乾杯をして、もしも割れてしまったら大変です。
だからといって、いちいちグラスの厚みを見極めて乾杯のやり方を決めるのも粋ではありません。いずれにしてもバーでは、グラスを合わせる乾杯を避けるのが無難です。
許可なくボトルに触れない
バーには普段お目にかからない、変わったボトルや機材などがあります。珍しいので手にとってじっくり見てみたくなりますが、お店の人の許可なく触ってはいけません。
バーの備品は『非日常感を醸し出すためのもの』でもあり、本当にレアなものや、高価なものである可能性があります。
オールドボトルなどはコルクの栓がもろくなっているので、うっかり傾けてこぼしてしまったり、高価な備品を破損してしまったりなどの危険性もあるわけです。
どうしても触れてみたい場合は、お店の人に声をかけて適切な方法で手にとって見せてもらうことをおすすめします。
バーで頼む最初の一杯は?
バーでの最初の1杯は、「とりあえずビール」と居酒屋感覚で頼むのは野暮です。もちろん、居酒屋とは違ったクリーミィーな泡立ちの美味しいビールも味わえますが、バーに足を運んだからには、やはりカクテルを注文しましょう。
カクテルには『ショートカクテル』と『ロングカクテル』があります。一般的に、短時間でさまざまなカクテルを楽しみたい人にはショートカクテルが、1杯のカクテルをゆっくり楽しみたい人にはロングカクテルが向いています。
どんなカクテルが最初の1杯によいか、例を挙げてみましょう。
おすすめのロングカクテル
ロングカクテルは、ベースのお酒をジュースやトニックウォーターなどで割ったものです。割り材の分量が多いため、アルコール度数は低くて飲みやすく、1杯の価格も高くありません。
最初にロングカクテル、2杯目以降はショートカクテルを注文するパターンが一般的です。
1杯目としておすすめできるのは『ジントニック』『ハイボール』『モスコミュール』などの、メジャーなロングカクテルです。飲みきるまでしばらく間が持つので、じっくり次に飲むものをあれこれ考えるのも楽しいでしょう。
お酒に強いならショートカクテルも
お酒に強い人なら、始めからショートカクテルもありです。ショートはアルコール度数も高く、冷たいうちに飲むことを推奨されています。時間が経つとぬるくなり、美味しさが半減するのです。
ショートカクテルで有名なものは、『ギムレット』『ダイキリ』『マティーニ』『マルガリータ』などがあります。甘かったり冷たかったりして飲みやすく、ついついお酒が進んでしまいますが、アルコール度数は高いものがほとんどです。
調子に乗って飲みすぎて酔っ払わないように注意しましょう。
難しく考えず雰囲気を楽しもう
バーに行く時の服装は、決して難しく考える必要はありません。そのお店の雰囲気を想定して、違和感がなければOKです。
ジャケットスタイルを軸にコーディネートすれば、まずハズすことはないでしょう。シンプルかつ清潔感ある着こなしで、バーという大人の社交場の雰囲気を楽しみましょう。