インクを交換する方法は、使っている万年筆に合わせて行う必要があります。失敗しないためにもインクの補充・交換方法から注意点まで紹介するので参考にしてみてください。交換後、インクが出ないときに使える方法も必見です。
万年筆のインクがなくなったら
いざ、使おうと思ったときにインクが無かったという経験がありませんか?万年筆はインクがなくなったら、補充や交換をすることで使い続けることができます。補充や交換の方法は万年筆ごとに違うので、まずは『インクについての基礎知識』から参考にしてみてください。
インクの充填方法をチェック
万年筆のインクの補充方法は3種類あります。
最も古くから使われているのが吸入式で、高級ブランドにもよく採用されている形式のものです。他の形式と比べると1度に多くのインクを補充できるため、1度補充すると長く書き続けることができます。
次に、カートリッジ式は、カートリッジを差し込むことで簡単に交換できるタイプのものです。出かけ先でも便利ですが、ランニングコストが高くついてしまうデメリットがあります。また、インクの選択肢が少ないのも注意が必要です。
最後に、コンバーター式は両用式とも言われているものです。上記の2種類の特徴を合わせたもので、インクボトル・カートリッジインクのどちらでも補充が可能です。コンバーターが劣化してしまったら、コンバーターのみの交換でよいのでコスパにも優れている点も見逃せません。
このように、補充方法は使っている万年筆の種類によってかわってくるため『しっかりと確認』をしてから補充をしないと思わぬトラブルを招いてしまいます。
基本的に同じメーカーのインクを使用する
次に知っておきたいのが、補充するインクは『万年筆と同じメーカーのインク』を使うのが原則です。書き心地や耐久性は、メーカー内のインクを使って試されています。他のメーカーのもの書き続けられますが、故障したときには『保証対象外』となるので注意が必要です。
中には気にしないで使い続ける人がいますが、どのメーカーでも思わぬ故障を避けるためにもおすすめの方法なので参考にしてみてください。
3つの方式ごとに交換方法を紹介
実際にやってみると思った以上に難しく感じてしまうのが補充です。そこで、簡単に補充をするためにも3つの方式ごとの交換方法をまとめて紹介します。
とはいってもそこまで難しいものではないので、簡単に補充・交換ができるとは思いますが、知っている人でも『注意点』もあるので参考にしてみてください。
吸入式の場合
吸入式万年筆の中にはインクを吸入するためにピストンが付けられています。吸入ノブを回して、内部のピストンを下げることでインクを押し出し、ピストンを上げることでインクを補充することができるのです。
このピストンが付いていることで、インクが無くなっても補充をして使っていけるのです。以下は補充方法の手順です。
- 吸入ノブを回してピストンを下げる
- ペン先が完全に隠れるようにインクの中に浸ける
- 吸入ノブを回してピストンを上げて、インクを吸い上げる
- 吸い上げたら一度持ち上げ、吸入ノブを回してピストンを下げ、インクを数敵ビンに戻す
- ペン先を上に向けて、ペン先や主軸についたインクを柔らかい布で丁寧に拭く
注意して欲しいのが、ノブを回す方向が違う点です。また、ノブではなくレバーを動かすものなど種類が豊富に用意されています。基本を確認しながら、使っている万年筆の吸入方法に合わせてインクを補充するとスムーズに行なえます。
一度も持ち上げて、インクを数敵ビンに戻すのは『ペン先にインクを届けるため』に行います。中に入ってしまった空気なども一緒に取り除き、すぐに書き出すことができるのでおすすめです。
カートリッジ式の場合
- ペン軸から、ペン先を取り外す
- ペン先を上にむけ、カートリッジインクを真っすぐ押し込む
- ペン先をペン軸に戻す
- ペン先までインクが届くまで少しまってから試し書きをする
押し込むときは、回さないで真っすぐとそのまま押し込むようにしてください。回してしまうとペン先の内側を傷つけてしまうことで、故障の原因になってしまいます。インク漏れを引き起こすこともあるので注意が必要です。
また、押し込むときは『穴が開く感覚があるまで』を基準にしてみてください。プチッという感覚があれば、それ以上押し込むとインクが漏れ出してしまうこともあります。何回か交換しているうちに感覚が掴めるので、慣れるまでは慎重に行いましょう。
コンバーター式の場合
最後に、最近主流となりつつあるコンバーター式の交換・補充方法は『吸入式』か『カートリッジ式』のどちら問題ありません。
まず、吸入式で行うときには、ペン先を外してコンバーターを付けたままの状態で補充をします。ペン先を浸けて、吸入ノブを回してインクボトルから補充します。
カートリッジ式の場合には、取り付けてあるコンバーターを外して、空いた空間に『カートリッジインク』を挿入して元に戻すだけです。外したものは必ず、綺麗に洗って無くさないように気をつけてください。
出かけ先でもすぐに補充できるほか、ボトルからでも補充できるのであらゆるシーンに対応できるというのを覚えておくと、選ぶときの参考になります。
交換するときのポイント
インクが補充できたとしても、何だか書き心地が悪かったり、上手く使えないことも出てきてしまいます。間違えた方法で交換してしまうと、書き心地が悪くなったり『故障の原因』にも繋がるので、しっかりと確認してみてください。
色を変えるときは洗浄してから
色を変えるときには、必ず前のインクを使い切り、中を綺麗に洗浄してから変えていきます。
万年筆に使われているインクが混ざってしまうと、化学反応を起こしてしまい『色や性質』が変化してしまいかねません。詰まりなどの思わぬ故障に繋がるので、必ず綺麗に洗浄してから新しい色に変えるようにしましょう。
また、お手入れの基本は必ず『水洗い』を厳守してください。洗剤や熱湯を使うと、インクや万年筆の劣化を引き起こしてしまいます。流水だけでも十分に落とすことができます。
水の温度にも注目してみましょう。熱湯は使われている素材に負担をかけてしまうため、基本的には水道水がおすすめです。汚れがひどい場合には40℃前後のぬるま湯を使うとより効果的に洗い流すことができます。
万年筆は定期的に洗ってあげましょう。また、しばらく使わないときにも洗っておくのがおすすめです。
洗い方
色を変えるときや、お手入れのときに覚えておきたい『万年筆の洗い方』を紹介しておきます。
吸入式の場合は、コップに水道水を用意し、ペン先で水を中に入れ、ある程度まで入れたらまたコップに水を『戻す』という動作を繰り返して、インクが水に混ざらなくなったらOKです。
カートリッジ式の場合は、蛇口から水道水を出しながら『ペン先の内側をペン先に向かって』流していきます。水がインクで汚れなくなるまで流して完了です。コンバーター式の場合も同様に行いましょう。汚れが落ちにくい場合は、コップに水を入れて1日浸けておくのもおすすめです。
洗い終わったら『必ずしっかりと乾かして』から次のインクを入れて大切に使っていきましょう。
カートリッジ交換後インクが出ないときは?
では、カーリッジ式でインクが出ないのは、交換をしたときにペン先までカードリッジからインクが届いていないことで引き起きているのです。故障ではなく、簡単に解消できることも多いので対処法を参考にしてみてください。
1番簡単な方法が、ペン先を柔らかい布で覆い、そのまま『軽く振って』みることです。たったこれだけでも、インクカードリッジからペン先にインクが届くので、書けるようになります。
また、インクカートリッジの真ん中あたりを軽く押してあげると、押された勢いでインクがペン先に流れていきます。
どちらの方法もペン先は必ずやわらかい布で覆ってください。手や周り、衣服にインクが飛んでしまうと落とすのが大変なので注意が必要です。また、ティッシュを使う人もいますが『隙間に入り込み』詰まりの原因になるので、柔らかい布が販売店でもおすすめされています。
インク交換は手順を守って慎重に
万年筆はインク交換・補充をすることで末永く使っていける筆記具です。それぞれに決められたインク交換の手順を守って、慎重に行い大切に使っていきましょう。