万年筆は、使うインクの種類や万年筆に合わせたお手入れをしていないとインクが出ないことがあります。そこで、インクが出ないときのチェックポイントとお手入れ方法を紹介します。また文字が書けるようにするためにも参考にしてみてください。
万年筆のインクが出ないときのチェックポイント
まずは、万年筆のインクが出ないときに確認しておきたい『チェックポイント』を紹介します。
損傷はないか
インクが出ないときには、まず万年筆に損傷が無いかどうかを確認する必要があります。
最初に、ペン先の状態をチェックすることで、インクがペン先までちゃんと届いているかを見ていきます。『ペン先の穴の部分』にあるペン芯が真っすぐ通っているのか、ペン先に歪みがないかを見てみましょう。
ペン芯が真っすぐ通っていないとインクの流れが悪なるので詰まりの原因になってしまいます。また、広がっていたり、閉じている場合もインクの流れが悪くなってしまうのです。
他にも、汚れを細かく見ていきます。ペン先までインクが届いていても、ペン先にインクが残っていて固まっているときには、新しいインクはでてきません。汚れがひどい場合には、先に洗浄をして綺麗にしてから損傷の確認をするのがおすすめです。
汚れている場合は洗浄を
汚れていることでインクが出ないこともあるので、汚れを見つけたら洗浄を試してみましょう。ペン先の損傷を確認するときにも、洗浄をしてからの方が見つけやすいものです。
洗浄といっても、そこまで難しくはないので『セルフケア』でも十分綺麗にすることができます。洗浄に用意するものと、洗浄の方法を紹介するので参考にしてみてください。
準備するアイテム
準備するアイテムは特別なものは一切使いません。全て家庭にあるもので対応することができます。
- コップ
- 水道水
- 柔らかい布またはティッシュペーパー
上記の3つだけで十分に洗浄ができます。ここで注意点ですが『洗剤・薬品・熱湯』は絶対に使わないようにしましょう。思わぬ故障につながることもあるので、水道水やぬるま湯だけで洗浄していくのがポイントです。
インクを抜いて水で洗う
万年筆が吸入式の場合は、コップに水道水を溜めて『インクの出し入れ』と同じように水を内部に吸い上げる・コップに出すを繰り返してください。万年筆の種類にもよりますが、吸入ノブを回せば出し入れは簡単にできます。
コンバーター式と呼ばれる万年筆の場合は、コップに水道水を溜めて『外したコンバーター』を1晩浸けておきます。その後、吸入式と同じように水の出し入れをすれば内部の掃除ができます。
最後に、カートリッジ式の場合ですが『インクの出し入れ』の部分がないため『カートリッジの部分』を水に1晩浸けておきます。その後、流水で洗い流してください。
どの方法も、行ったら必ず『水気』を綺麗に拭き取りましょう。十分に乾かしてから使い始めないとインク詰まりやサビなどの原因になってしまいます。
カートリッジの使い始めでインクが出ない場合
次に確認したいのが、カートリッジの使い始めでインクが出ない場合です。カートリッジ式のときには、インクカートリッジを差し込むことでインク交換を行います。カートリッジ式だからこその対処を覚えておきましょう。
ペン先に届くまで距離があることが原因
カートリッジ式は、ペン先を外してカートリッジを差し込むことでインク交換を行います。インクはカートリッジからペン先に届くまで距離があるので、入れ替えてすぐにインクが出ないことがあるのです。
インク交換を行ったら、インクがペン先まで届くまで時間がかかります。少し時間を空けることでインクが出てくることがあるので待ってみてください。
書き始めの際はインクをペン先まで送る
インク交換をしてすぐに書き始めたいという人もいると思います。そんなときに便利な方法も覚えておきましょう。
書き始めのときにはインクをペン先まで送ってあげる必要があります。ペン先を優しく『柔らかい布かティッシュ』で覆ってください。その状態で軽く振ってあげると、インクがペン先まで届くのを助けることができます。
また、インクカートリッジの中央部分を押す方法でもペン先にインクを送ることができます。どちらの方法でも手や周りを汚さないためにも柔らかい布かティッシュで『ペン先を保護する』のを忘れないでください。
インクが出ないときにやってはいけないNG行為
インクの出が悪いときに、やってしまいがちなNG行為もあわせてご紹介します。誤った方法で対処しないように覚えておきましょう。
万年筆を振る
まずはボールペンと同じように、インクの出が悪い時にペンを振る行為です。ボールペンとは異なり万年筆のインクの粘度が低く、サラサラしているため、同じ感覚で振ってしまうと部屋中にインクを撒き散らしてしまう可能性があります。また蓋を装着していても蓋の中にインクがたまり、インク漏れや詰まりを起こす原因になるためやらないようにしましょう。
万年筆のペン先を強く押し付ける
次にペン先を強く押し付ける行為です。これは特に万年筆の場合には厳禁な行為といえます。万年筆のペン先は非常にデリケートですので、ペン先にダメージを与えると直接的に故障の原因につながります。万年筆は力を入れずともインクが出る仕組みになっているので、インクが出ない場合は無理に力を入れないようにしましょう。
万年筆を長く愛用するために
万年筆を長く愛用するためには『お手入れ』もとても大切なポイントです。インクが出るようになれば、次は長く使い続けられるためにメンテナンスをしていきましょう。
日頃から使用すること
万年筆のメンテナンスは難しくありません。一番簡単な方法は『日頃から使用すること』です。万年筆のペン先には細いインクを届ける管が通っています。使わずにそのまま置いておくと、そこでインクの水分が蒸発して固まって出なくなるのです。
毎日使っていれば、インクはその度に循環するのでインク詰まりを未然に防ぐことができます。また、インクがなくなれば補充することで『ペン先からインクを内側に』流せるので『より詰まりにくく』なるため、使い続けるのが大切なのです。
定期的にペン先を綺麗にしよう
使い続けるのも大切ですが、やはり使っていてもペン先は汚れてきてしまいます。汚れたペン先では、インクがにじんでしまうので書きにくくなるので定期的に綺麗にしましょう。
とはいっても難しいことは考えなくても、使い終わったらペン先を綺麗に拭き取るだけで問題ありません。拭き取るときにティッシュを使うと、ティッシュの細かい繊維などが詰まることがあるので柔らかい布がベストです。
定期的に洗浄の日を作ってあげることでより綺麗に保てるので覚えておきましょう。
扱いやすい万年筆は?
万年筆は、長く使うことでペン先が自身の書き方に馴染んで書きやすくなります。しかし、最初はどの万年筆も自分の手に合わせられていない状態のため、どれが最適か選びにくいものです。
そこで、初心者にも扱いやすい万年筆を紹介するので参考にしてみてください。
練習にぴったりのプラチナ万年筆 preppy
万年筆を使うのが初めてという人でも安心して使えるのが、プラチナから販売されている『preppy(プレピー)』です。カートリッジ式の万年筆なので、プラチナで取り扱いのあるカートリッジインクを購入して取り替えるだけで長く使うことができます。
ボディは、インクカラーに合わせて色付けしてあるので複数用意しても色の間違いが少ない点も見逃せません。価格も1本400円と非常にコスパも良いので練習にぴったりです。
- 商品名:プラチナ万年筆 万年筆 プレピー 0.2mm ブラック
- 参考価格:440円
- Amazon商品ページ:こちら
スラスラ書ける万年筆 ペリカン スーベレーン
伝統的で機能的な万年筆を販売しているペリカンの『スーベレーン』は、ドイツ語で優れものという意味を持っています。抜群のインクフロー(筆記時に紙へ流れるインクの量のこと)で書きやすさが人気の万年筆です。
手に合わせて大きさが選べる5種類のサイズと、吸入式の万年筆の中でもインク補充が簡単で吸入量が多く手間がないのも初心者におすすめの理由です。作りが丈夫なので、末永く愛用していける1本として多くの人から人気を集めています。
数万円単位のため、プレピーと比べると価格はとても高いですが、愛着のある最初の1本としてプレゼント用としても好まれています。
- 商品名:ペリカン 万年筆 EF 極細字 緑縞 スーベレーン M600
- 参考価格:37,337円
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万年筆は手をかけた分だけ愛着が湧く
万年筆はお手入れやメンテナンスを続けることで長く愛用していける筆記具です。手をかければかけた分だけ愛着が湧き、手にも馴染んで書きやすくなります。自分の手に合わせて成長していく万年筆と一緒に、文字を描く楽しみを堪能してみましょう。