万年筆はペン先が命。定期的なお手入れ方法と修理の出し方

2018.12.29

大人の男性の中には、万年筆を使っている人も多くいるのではないでしょうか。万年筆は、ペン先を定期的にケアすることで長く使えます。しかし、ケアを怠ると故障の原因になることも。定期的なお手入れ方法と、万が一故障した時の修理の出し方を紹介します。

万年筆のペン先の種類と特徴

万年筆は、ペン先に加わる『力加減や角度』によって、書き味が大きく異なります。ペン先には、主に下記の2タイプがあります。

  • ステンレス製
  • 金製

ここでは、それぞれ素材別のペン先の特徴を解説します。

安価で気軽に使えるステンレスのペン先

ペン先が『ステンレス製』の万年筆は、価格帯も安価なので気軽に購入できます。そのため、初心者や紛失が心配な人に向いています。

また、ペン先に弾力性があまりないため、カリカリとした『ハードな書き味』が好きな人におすすめです。

滑らかな書き心地で長持ちする金のペン先

『金製』のペン先は、価格帯が高いものが多いです。そのため、万年筆に慣れている人や、こだわりのある人に向いています。

金は、ステンレスに比べてやわらかく弾力性があるので、『滑らかな書き心地』が特徴です。また、やわらかいため、使えば使うほど、自分の書き方の癖に合わせた形にペン先が削れて書きやすくなります。

ペン先を傷めない使い方

万年筆は、『ペン先が命』です。ペン先を傷めてしまうと、文字がきれいに書けなくなってしまいます。まずは、正しい万年筆の持ち方から学びましょう。正しい持ち方は下記のとおりです。

  • リラックスした状態で手を開く
  • 箸を持つように、中指に万年筆のせる
  • 親指と人差し指で軽く押さえる

紙と万年筆の角度は、約60°がよいと言われています。ただし細かい字を書くときは少し万年筆を立て、太い字を書くときには少し角度を低くするなど使い分けましょう。

きちんと持てるようになったら、次は書き方です。ボールペンや鉛筆と同じように万年筆を使ってしまうと、大事なペン先を傷めてしまうことがあります。

ここでは、ペン先を傷めない使い方について解説します。

書くときは筆圧に気を付けよう

万年筆は、ボールペンや鉛筆とは異なり、金属製のペン先からインクを出しながら書きます。そのため、書くときの『筆圧』がとても重要なのです。

あまり余計な筆圧をかけないようにリラックスした状態で書くようにしましょう。余計な筆圧をかけずに書けるからこそ、慣れると書きやすさが抜群になるのです。

ペン先を真上に向けて、ペン先の2つに割れたスリット部分の左右に、均等な力が加わるように心がけましょう。

ペン先が開くなどトラブルの原因に

ボールペンなどを使うときと同じ筆圧で書いてしまうと、余計な筆圧をかけてペン先が開いたままの状態になって戻らなくなることがあります。

また、ペン先が曲がってしまうということは、スリットも曲がってしまうということです。万年筆は、インクがスリットを伝ってペン先・紙へと運ばれることで、紙にインクで文字が書ける仕組みです。

スリットの微妙な開き具合は、書き味に大きく影響し、開きすぎたり狭くなりすぎたりすると、トラブルの原因となります。

ペン先のお手入れ方法

万年筆を、いつも気持ちよく使うためには、『毎日使うこと』が1番です。ただし、毎日使えない人もいるでしょう。久々に使おうと思ったらうまく書けない!なんてこともよくあります。

ペン先さえ、きちんと手入れしておけば『一生もの』になるのです。ここでは、ペン先のお手入れのタイミングと手順について解説します。

洗浄のタイミングは?

初心者のなかには、洗浄のタイミングがいまいちわからない人も多くいるのではないでしょうか?主な洗浄のタイミングは、下記の4シーンが挙げられます。

  • 使用していて、インクの出が悪いとき
  • インクの種類や色を変えたいとき
  • しばらく使わないので保管したいとき
  • 長期間使用しておらず、新しいインクを入れて使おうとしてもインクが出ないとき

また、毎日のように使用していても、『2~3ヶ月に1回』は洗浄するようにしましょう。以下に詳しく『洗浄の方法』を紹介します。

ペン先の洗い方

ペン先の洗い方は、インクの『補充式方法』によっても異なります。それぞれの場合での洗浄方法は下記のとおりです。

補充方法 カートリッジ式 吸入器コンバーター 回転式吸入
手順
  1. 蓋を外し、胴部分を回しながらネジをゆるめて外す
  2. 使用済みのカートリッジインクを抜いて捨てる
  3. 水を入れたコップに大先を入れる
  4. 大先全体を1晩、水に浸したまま放置する
  5. 水道水で洗浄する
  6. 柔らかい布またはティッシュペーパーでよく水気を拭き取る
  1. 蓋を外し、胴部分を回しながらネジをゆるめて外す
  2. 水を入れたコップにペン先を浸し、インクを吸入するように水を吸入する
  3. 吸入した水を排出する
  4. 水の吸入と排出を5~6回繰り返す
  5. コンバーターを大先から外す
  6. コップの水を入れ替えて大先全体を1晩、水に浸したまま放置する
  7. 水道水で洗浄する
  8. 柔らかい布またはティッシュペーパーでよく水気を拭き取る
  1. 下にティッシュペーパーなどを敷く
  2. 尾栓を回して、胴軸内に残ったインクを出す
  3. 水を入れたコップにペン先を浸し、インクを吸入するように水を吸入する
  4. 吸入した水を排出する
  5. 水の吸入と排出を5~6回繰り返す
  6. 柔らかい布またはティッシュペーパーでよく水気を拭き取る

大先とは、ペン先が付いている首部分のことです。尾栓とは万年筆のペン先と逆の後ろ部分で、尾栓回転の場合に回してインクを吸引します。

いずれも、拭き取るときは、洗浄したペン先部品に軽く息を吹きかけ、過剰な水分があれば吹き飛ばしてから、水気をやわらかい布やティッシュで拭き取りましょう。

インクが布やティッシュにつかなくなれば、洗浄終了です。

軸内に水が入らないよう注意

回転式吸入の場合、軸全体を水に浸けてしまうと、尾栓部の隙間から軸内に水が入り込んでしまいますので注意しましょう。

また、カートリッジ式やコンバーター式の万年筆で、透明軸やスケルトンカラー軸の場合には、大先に水が入り込み、内部に水が残ってしまうことがあります。

そのため、水道水で洗い流すのではなく、ペン先部分のみを水で洗い流すようにしましょう。

お手入れのポイント

お手入れには、いくつかのポイントがあります。ここでは、お手入れのポイントを2点紹介します。

超音波洗浄をしても大丈夫?

先ほど紹介した洗浄方法でもインク汚れが取り除けない場合はどうすればよいのでしょうか?

長期間放置していた汚れや、かすれが出るような頑固な汚れには、『超音波洗浄』という方法もあります。超音波洗浄は性質上、強力に汚れを落とすことが可能です。

ただし、金メッキなどが施されている場合には、汚れと一緒にメッキも落としてしまう可能性があるので注意してください。

愛用することが1番のケア

万年筆は、その名の通り、大切に扱えば万年使える筆記具です。長く使うためには、『毎日愛用』することが1番のケアです。

使えば使うほどに、馴染んで書き心地がよくなります。また、それと同時に使うことでインク詰まりも起こしにくくなるのです。

大切なものだからこそ、毎日使用するようにしましょう。

ペン先の研ぎ方

書いていると、書き味がいまいちと感じることもあります。そんなときは、ペン先を研ぐことで書き味が蘇るので試してみましょう。

自分で研ぐ場合には、『ラッピングフィルム』と呼ばれる目が細かいやすりを使用して行います。ペン先の研ぎ方の手順は下記のとおりです。

  1. 万年筆から、ペン先を抜く
  2. ペン先を、ラッピングフィルムの上に8の字を描くように滑らせて磨く
  3. ペン先の裏側を、山折りにしたラッピングフィルムで軽く磨いて完了

ただし、磨きすぎるとペン先が使えなくなってしまうので、くれぐれも注意しましょう。ここでは、研ぐタイミングや注意点について解説します。

研ぎ直しでザラつきが改善することも

ザラつきが気になる人は、研ぎ直しをすれば改善することもあります。ザラつきとは、紙で書いているときに、ペンが紙に引っかかるような感じのことです。

ひっかかる部分を『少しずつ』ラッピングフィルムを使用して研いでください。

慣れるまでは、安いペン先で研ぐ練習することをおすすめします。

ズレ調整など含め、プロに依頼するのが良策

ペン先は、とても繊細で精密に計算されて作られています。そのため、素人が調整や研磨を行うことで、ペン先がだめになって交換しなくてはならない可能性が高くなってしまうことがあります。

特に、金製など高価なペン先に関しては、専門業者にお願いしましょう。

万年筆の相談ができる東京のお店をご紹介

使っていて何か不具合を感じたら、メンテナンスを行い、それでもだめな場合は、専門のお店に持っていきましょう。

ここでは、万年筆の相談ができる東京のお店を2軒紹介します。

伊東屋のペンケアルーム

全国に展開する伊東屋の銀座本店3Fにあるペンケアルームは、万年筆のケア方法~選び方まで初心者が気軽に相談できるような雰囲気が特徴です。

ここには、万年筆の専門家がいるので、ペン先や手入れ方法など、細かいことまで安心して何でも相談できます。万年筆の書き心地がいまいちよくないと感じる人は、ぜひ訪れてみましょう。

  • 店名:銀座 伊東屋
  • 住所:東京都中央区銀座2-7-15 3F
  • 電話番号:03-3561-8311
  • 営業時間:10:00~20:00(日・祝~19:00)
  • 定休日:なし
  • 公式HP

Euro Box

Euro Boxは、ヴィンテージ万年筆の販売を行うお店です。木曜と土曜に限り、店頭での面前修理及びペン先調整のサービスが提供されています。基本的には、依頼人の目の前で修理を行うため、修理に時間がかかる場合には少し待つ必要があります。

また、修理は事前予約制となっているため、事前に連絡をして予約をしてから訪れましょう。

  • 店名:Euro Box
  • 住所:東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル407号
  • 電話番号:03-3538-8388
  • 営業時間:11:30~18:00
  • 定休日:水・日
  • 公式HP

日頃のメンテナンスで最高の書き心地を

万年筆は、毎日使うことが1番のケア方法です。また、インクを補充するときなどには、こまめにペン先の洗浄をするなど、正しい手順でメンテナンスを行いましょう。

万年筆で最も大切な部分であるペン先に違和感がある場合には、自分でメンテナンスをするのではなく、近くの専門店を訪れて相談するのがおすすめです。

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