30年間続いた平成も残すところあと数ヶ月。そんな平成の改元にあたって話題となっているのが『新元号』についてです。30年ぶりに改められる新たな元号について、その決め方や基準などを解説していきます。
2019/4/1 追記:新元号は「令和(れいわ)」に決定したと、先ほど内閣より発表がありました!こちらの記事で紹介した元号予想候補はあえなく外れてしまいましたが、新たな時代の名前がついに発表されたとなると感慨深いものがありますね。
元号とは?
あまりに当たり前すぎて、これまであまり意識したことのなかった元号。しかし今上天皇の生前退位の意向をきっかけに、ここに来てにわかに注目を集めています。そもそも元号とはどのようなものなのでしょうか?
天皇の即位から退位までの時代の名称
元号は、古くは古代中国に端を発する制度です。当時の王の即位から起算して年を数えるというもので、これが日本に受け継がれました。
日本で最初に元号が導入されたのは645年のことで、その元号は『大化』でした。もっともかつては、天皇が即位するときに限らず、頻繁に改元が行われていました。
しかし明治以降は『一世一元の制』と呼ばれる制度が導入され、天皇が即位してから次の天皇が即位するまでの期間を1つの元号とする、現在のスタイルが確立しました。
元号の決め方はどうなってるの?
国民の生活とは切っても切り離せない元号ですが、その元号はいったい誰がどうやって定めているのでしょうか?
内閣が政令で定める
元号の決め方は『元号法』と呼ばれる法律で定められており、「元号は、政令によって定める」とされています。政令を定めるのは内閣ですから、当然内閣が元号を決めることになります。
しかしその具体的な決定方法には明確な決まりはなく、前例に基づいて、選定のための閣議を行って決定することが多いようです。
ちなみに平成が決まったときにも、当時の小渕総理が有識者から新元号の候補を募ったのち、有識者会議や閣議を経て決まったといわれています。
40年前に公開された「元号制定のガイドライン」
元号の選定方法が具体的でないからといって、もちろん適当に決めているわけではありません。
元号にふさわしく、かつ国民生活に悪影響を及ぼさないような単語が選ばれるように、いくつかの選定基準があると言われています。特に明文化され分かりやすいのが、1979年に示された内閣府の『昭和54年10月23日閣議報告』です。この閣議では元号選定のガイドラインが定められており、そこで提示された項目が以下になります。順にみていきましょう。
①国民の理想としてふさわしいような意味をもつもの
日本国民すべてが共有する『時代』の名前ですから、不適切な意味を持つ単語ではいけません。国民が納得し、皆を導くような意味をもつ言葉である必要があります。
②漢字2文字であること
かつては漢字4文字の元号が用いられたこともありましたが、現在では明確に漢字2文字に限定されています。これは覚えやすさなどの利便性も考慮した結果だといえます。
③書きやすいこと
たとえば新元号が『薔薇』だったとしたら(ありえませんが)、ほとんどの人が漢字を覚えるだけで苦労してしまうでしょう。老若男女だれでも書きやすく、簡単に覚えられる漢字であることが重要です。
④読みやすいこと
書きやすさと同じで、誰でも読めるような漢字でなければ、国民生活に悪影響を及ぼしてしまうでしょう。簡単に読めることも、元号の条件の1つです。
⑤これまでの元号として用いられていないこと
極端な話、新元号が『昭和』に決まってしまったら、不便極まりないでしょう(「新しい方の昭和」とか言わなければならなくなるかも)。過去の元号とかぶっていないことは、当たり前ですが重要です。
⑥俗用されていないこと
日常生活で多用されるような言葉にしてしまうのもややこしいことになりますね。たとえば『平和』といった元号にしてしまうと、元号の話なのか、一般的な意味での平和なのかがわかりづらくなってしまいます。過去の元号を見ても分かる通り、元号以外の意味に使うことのある単語はほとんどありません。
また、このガイドラインでは掲げられていませんが、他に『最近の元号とイニシャルがかぶっていないこと』なども重視されます。最近ではそれぞれの元号をイニシャルで表現する機会も増えていることから、これも混乱を避けるための措置と考えられます。
平成の次の元号はいつ発表される?
こうなってくると、平成の次の元号が適用されるのはいつからなのかが気になってきます。新元号の変更予定日と発表予定日はいったいいつなのでしょうか?
変更されるのは2019年5月1日
内閣府の方針では、2019年5月1日から新元号に移行する予定です。これは2017年12月8日の閣議決定で明らかになりました。改めて、もう間もなく「平成が終わる」と思うと、なんだか味わったことのない不思議な気持ちになってきますね。
新元号の発表は2019年4月1日
5月1日の新元号施行に間に合わせるために、政府は4月1日に新元号を発表する方針だそうです。いよいよ差し迫った新元号の発表にあたり、次の元号は一体何になるのか?といった議論が各所で活発化しています。
2019/4/1 追記:ついに新元号が発表されました!
気になる新元号は「令和(れいわ)」となりました。
SNSで話題の元号予想
そんな新元号の発表に向けて、SNSなどでは新元号予想が盛り上がりを見せています。どんな単語が新元号として予想されているのか、見てみましょう。
「永・安・元」などが使われる可能性が高い?
「永」「安」「元」といった漢字は、過去の元号に使用されている回数が非常に多いため、元号予想の中でもよく使われています。また、明治以降の元号にはいずれも使われていない漢字であり、字面がかぶってしまうこともないことから、候補になる可能性が高いのではないかといわれています。
「安久(あんきゅう)」が有力候補?
様々な予想が飛び交う中で、さきほど挙げたガイドラインをもとに『安久(あんきゅう)』という元号になるのではないか、という予想があるようです。たしかに過去の元号に用いられたことがない上に、イニシャルはAでM(明治)T(大正)S(昭和)H(平成)いずれもかぶっておらず、文字も簡単で覚えやすい…といった特徴を備えているため、新元号候補とされるのも無理はないでしょう。
もっとも、内閣も「SNSからとった元号」などとは言われたくないでしょうから、ネット上で話題になってしまった元号が用いられることはないとも言えます。次なる元号がいったい何に決まるのか、日本国民全員が注目しています。
もう平成も最後。新たな時代を心新たに迎えよう
天皇陛下の生前退位によって近代以降で初めて「事前に分かっている改元」が行われるまで、いよいよあと数ヶ月。いま私たちが置かれているのは、過去の誰も味わったことのない不思議な時間です。去りゆく平成という時代に敬意を表し、これから到来する『新たな時代』を心新たに迎え入れる準備をしていかなければなりませんね。