『哲学』がテーマのおすすめ小説6選。難解な哲学書に挫折した人におすすめ

2020.09.23

論文のような固い形式じゃなく、小説形式で哲学を読んでみたい…。哲学に関する小説は、わたしたちのこうした思いに応えてくれます。この記事では、いちどは読みたい有名な哲学小説を厳選して紹介します。物語を追いながら哲学に触れてみませんか。

哲学のいろんな考え方が知れる小説

哲学にはどんな問題があって、人間はそれにどんな解答をしてきたのか。まずは哲学の世界を広く見通せる哲学小説をご紹介します。

ソフィーの世界 哲学者からの不思議な手紙

(Amazon.co.jp) 『ソフィーの世界』は1991年、ノルウェーの高校教師ヨースタイン・ゴルデルによって書かれた哲学ファンタジー小説です。世界中でベストセラーとなり、映画化されたことでも有名です。

副題にあるとおり、哲学者から不思議な手紙を受け取った14歳の少女ソフィーは、哲学の世界を冒険していきます。ソクラテスからデカルト、ヘーゲルなど、哲学者たちは何を問題にしてきたのか、哲学の歴史をわかりやすく追体験することができます。児童文学ですが大人にもおすすめの一冊です。

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魔の山

(Amazon.co.jp) 『魔の山』は20世紀前半を代表するドイツの小説家トーマス・マンが1924年に発表した長編小説です。主人公の内面の成長を描いたいわゆる「教養小説」としても知られています。

青年ハンスはスイスのサナトリウムで療養生活を送りながら、啓蒙主義者や虚無主義者、ロシア婦人などさまざまな人間と触れ合います。山の上の隔絶された世界で、時間・理性・愛情・死といった抽象的概念について思いめぐらし悩み考える。『魔の山』は青年文学でもあり、また大戦間期のヨーロッパ思想を広く知ることのできる哲学小説でもあります。

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実存主義とは何かに触れる有名小説

小説という娯楽が広く普及した19-20世紀、哲学の世界では実存主義が一大潮流となりました。実存主義者とよばれる哲学の巨人たちが、小説の形を借りて発表した有名な著作を、つぎにご紹介します。

ツァラトゥストラ

(Amazon.co.jp) 1883年から1885年にかけてニーチェが発表した代表作『ツァラトゥストラ』。この作品のなかで、有名な超人思想や「神は死んだ」という言葉が語られます。

物語の形式はほとんどツァラトゥストラのひとり語りで、いまだ超人になれない人間たちに向かって、山を下りたツァラトゥストラの説教が繰り返されます。キリスト教や近現代の価値観を批判し、何物にも縛られず強く生きろ、からだで見て考えて感じろと訴えたこの作品は、20世紀の思想におおきな影響を与えました。

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ツァラトゥストラを書いたニーチェは、哲学史における巨人であり、日本でも大変人気の高い思想家です。そんなニーチェの思想についてわかりやすく知りたい方は、以下の関連記事もぜひ合わせて読んでみてください。

[関連記事] 哲学者『ニーチェ』の思想を5分で解説。名言とともにわかりやすく

嘔吐

(Amazon.co.jp) ニーチェやキェルケゴールたち先達の影響をうけて、20世紀に実存主義を花開かせたのがサルトル、そして彼の代表作のひとつが『嘔吐』です。1938年に発表された『嘔吐』は、サルトルの考える実存主義とは何かを知ることができる小説です。

主人公のロカンタンはあるときから、小石や街の人々や自分の手のひらに、なんともいえない嫌悪感と「物の存在そのもの」に襲われるような感覚を持ちはじめます。ロカンタンはそれを「吐き気」と呼びました。そして彼は木の根っこを見たとき実存にぶちあたり……。いちどは読みたい哲学小説の傑作です。

サルトルは、実存主義という言葉を一般にひろめ、世界中に多大な影響を与えたオピニオンリーダーでもありました。そんな彼が言いたかったついてわかりやすく知りたい方は、以下の関連記事もぜひごらんください。

[関連記事]

フランスの哲学者「サルトル」の実存主義とは?2000字で簡単に解説

サルトルの代表作は?彼の著作や人生から学ぶ実存主義哲学とは

日本のおすすめ哲学小説

最後に、日本の哲学小説の中から、読みやすくてわかりやすい初心者にもおすすめの2冊を紹介します。

ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。

(Amazon.co.jp) 『ニーチェが京都にやってきて…』は2016年に原田まりるが発表したライトノベルです。哲学者たちが現代に現れたらという設定で、ニーチェはじめいろんな哲学者たちの人となりや考え方を、わかりやすく面白く表現しています。

オタクでスマホアプリ開発者のニーチェ、カリスマ読者モデルのキェルケゴール、ガールズバーの経営者サルトル、京都大学の名物教授ハイデガー……。かれらが女子高生アリサに哲学とは何かを教えていきます。哲学って難しそうで避けていた、そんな方にこそおすすめの一冊です。

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無限論の教室

(Amazon.co.jp) 『無限論の教室』は1998年に発表された、「無限」という概念についての哲学小説です。著者の野矢茂樹は発表当時、東京大学で教授職をつとめる傍ら、出版依頼もないままこの原稿を書き上げました。また彼はウィトゲンシュタインの名著『論理哲学論考』の訳者でもあります。

ゼノンのパラドックス、アリストテレスの実無限と可能無限、カントールの集合論、ラッセルのパラドックス、ゲーテルの不完全性定理……。哲学と数学の無限にかんする話題が、タジマ先生とふたりの学生との会話によってとてもわかりやすく解説されていきます。数学史に興味のある方にはうってつけの良書です。

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主人公と一緒に哲学の旅に出よう

哲学書というとわたしたちはつい、抽象的で小難しい議論が延々とつづくもの、とイメージしてしまいます。ですが哲学小説はそんなイメージを打ち壊して、哲学の世界にスムーズにわたしたちを誘ってくれます。

「いままで哲学書は避けていた」という方こそ、ぜひソフィーやハンス、ロカンタンやアリサと同化して、一緒に哲学の世界に足を踏みいれてみてください。そこにはかならず何かの発見があるはずです。

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