漫画の表紙デザインの方法。素晴らしい装丁の漫画をご紹介

2018.12.15

漫画の表紙デザインをするときの方法を、基礎知識から覚えておきたいポイントまで紹介します。漫画の表紙を見てみると、表紙で魅せる工夫がされたものが沢山あります。装丁家さんが実際に作った装丁も紹介するのでチェックしてみてください。

漫画の表紙の基礎知識

まずは、漫画の表紙をデザインする前に知っておきたい基礎知識を紹介します。使われる紙の素材や、装丁家と呼ばれる専門家の仕事内容をチェックしていきましょう。

装丁によく使われる紙の素材

装丁とは漫画全体(表紙・裏表紙・扉・カバーなど)の見た目のことです。装丁の重要な土台となる表紙・背表紙・裏表紙に使われる紙の素材を紹介します。下記は、装丁に使われる紙の素材の特徴と一覧です。

  • 上質紙・・・化学パルプ100%で作られたざらつきのある紙。加工などが施されていない一般的なコピー用紙で、黒1色の漫画や小説によく使われる。
  • アート紙・・・光沢となめらかさが特徴で、ポスターやカレンダーなどに使われる。用途に合わせてつや消ししたものもある。
  • コート紙・・・ツルツルとしており、ぴったりくっつくような触り心地が特徴の紙。写真などを色鮮やかに印刷できるので、写真やイラストが多い漫画向け。
  • キャストコート紙・・・塗料で加工し、とても強い光沢のあるコート紙。
  • マットコート紙・・・つや消しが施され、光沢のないサラっとした質感の紙。落ち着いた雰囲気にぴったりで、攻略本や設定資料などにも使われる。
  • アートポスト紙・・・コート紙よりも厚みをもたせた用紙。写真やデザインを色鮮やかに表現するのにおすすめとされている。

上記で紹介したほかの用紙も含め、たくさんの種類の用紙からこだわって装丁が作られています。本を手に取ったときにそれぞれ『感触』が違うのもこの紙の材質によって違いがあるからなのです。

デザイン会社の装丁家の仕事とは

では、デザインを担当する装丁家はどのような仕事をしているのでしょうか。

装丁とは、本のカバー・表紙・見返し・扉・帯のデザイン・製本素材の選定まで行う工程を表しています。この装丁の仕事を担当する人が装丁家とよばれる人たちです。

装丁家になるためには、出版社に勤務して編集者としての経験を積んでからなる道や、デザイン会社でアシスタントとして働き装丁家で独立する方法などがあります。

目を引く表紙のポイント

数々の工夫を凝らして作られている表紙では、それぞれ目を引く表紙のポイントを押さえて作られています。どのような工夫が行われているのかチェックしてみましょう。

漫画の内容を物語るデザイン

まず代表的なのが『漫画の中身を見なくても内容を物語るデザイン』です。

表紙は、本の内容をイラスト・文字だけで表現する必要があります。イラストでは、本の内容を忠実に表現したものを描き、文字では、描いたイラストを引き立てるように工夫しているのです。

キャラクターの絵が生きる文字入れを

イラスト・文字のそれぞれの工夫を考えながら作り上げられています。漫画のカバーはイラストがメインなのがほとんどなので、タイトルでイラストの良さを壊してしまわないように作られているのもポイントです。

できる限り、絵の良いポイントが見えながら『文字も生きてくる』というお互いにとって良い関係で作られた表紙には一体感が生まれます。イラストと文字を上手く調節し、漫画の内容を装丁の素材選びからこだわることが『装丁家』としての仕事なのです。

優れた表紙デザイン3選

装丁家が作り上げた、『1度は見ておきたい作品』を3つ紹介します。それぞれの作品は、特徴をしっかりと捉え『イラストと文字』の調和も考えられたものばかりなので、物語を想像しながら見てみましょう。

絵の美しさが際立つ表紙 北北西に曇と往け

著者・入江亜季さんの作品が『北北西に曇と往け』です。1から4巻までの装丁はコードデザインスタジオが手がけています。著者が描く絵を上手く活かすように、他の要素を極力シンプルにデザインすることで、素晴らしい装丁ができあがっています。

作り込まれたタイトルロゴは、エンボス加工を使って細かくこだわり『背表紙』に至るまで丁寧な作業が見てわかります。タイトルと英文を組み合わせて作られたシンプルなロゴと、壮大さを感じるイラストの不思議なレイアウトが必見です。

  • 商品名:北北西に曇と往け 1巻 (HARTA COMIX)
  • 価格:734円
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遊び心ある仕掛け表紙 ハイキュー!!

次に紹介したいのが、著者・古舘春一さんの『ハイキュー!!』です。本作は、バレーボールの魅力に魅せられた主人公が過ごす日常が描かれている作品となっています。

装丁を一見してみると、漫画の見どころであるキャラクター達が描かれているだけに見えます。しかし、よく見てみると16巻と19巻を合わせることで1枚の絵が完成する『続き絵』が描かれているのです。

16巻発売と、19巻発売までは『約7ヶ月の間と17巻・18巻の発売』の期間があったことも考えるとその優れたデザインは長い期間を経て完成した素晴らしい作品と言えます。他にも、間に販売された17巻では表紙と裏表紙で1枚の絵が描かれたこともありました。

このように、装丁の工夫は多くのファンを魅了するポイントにもなっているのです。

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  • 価格:432円
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目を引く繊細な線と配色 想幻の都

最後に紹介するのは、著者・梶谷志乃さんの『想幻の都』です。この作品では、死んだ人間をビオロイド(人造人間)として復活・再生させることで労働力を確保した『21世紀末のフランス』をテーマにストーリーが描かれています。

まず手に取って一番に目を引くのが、漫画の内容を表すかのように『大きく描かれた頭蓋骨』です。ただ、頭蓋骨を描いたのではなく、頭の上には都が描かれており『死んだ人間の労働によって繁栄した都』をイメージに再現しています。

1巻では黒い背景が使われていますが、2巻では白い背景に変わり、都の様子にも変化が出てきているなど『装丁』の情景に物語を表現するこだわりが見られます。

また、使われているタイトルロゴには、細めながら装飾が施されたフォントが使われているのも見逃せないポイントです。

  • 商品名:想幻の都 1巻 (ハルタコミックス)
  • 価格:670円
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漫画に命を吹き込むこだわりの表紙

漫画に命を吹き込むと言っても過言ではない装丁家の仕事は、漫画の特徴や著者の遊び心などのさまざまな要素が盛り込まれて行われています。こだわって作られた表紙は、見てみるだけでも楽しくなるものです。

本の内容だけではなく、見て物語を感じることができる『装丁』に注目してみるのも、また違った楽しみができるのでおすすめです。

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