意外と知らない!ビールの起源と発展の歴史とは?

2020.09.16

ビールが日本で造られるようになったのは、明治時代に入ってからです。しかしその何千年も前から、ビールはさまざまな民族によって醸造され、愛飲されてきました。ビールの起源から現在のような美味しいビールができるまで、発展の歴史を解説します。

ビールの起源はどこから?

ビールはどのように造られ、いつから飲まれていたのでしょうか?まずはビールの起源と、名前の由来について見ていきましょう。

始まりは紀元前4000年以上前

ビールが誕生したのは、紀元前4000年よりも前のことです。残り物の麦粥などに、『野生の酵母が入り込んで発酵』しているのが、偶然発見されたことがビールの起源とされています。

紀元前3000年頃には、メソポタミアのシュメール人がすでにビールを造って、飲んでいたことが分かっています。気温が高めのこの地域では、生水よりも安全で、『栄養のある飲み物』として親しまれていたようです。

また、エジプトでも同じ頃、大麦を原料としたビール造りが行われていました。その後もさまざまな古代文明の遺跡から、当時の人々がビールを醸造・飲用していた形跡が見つかっています。

今から5000年以上も前の古代人も、1杯のビールで渇きを癒し、明日への活力にしていたのです。

ビールの語源の由来

ヘブライ語の『シェケール(濃い酒)』や、ローマ時代にケルト人の間で使われていた『エール(植物の搾り汁)』など、時代や民族によって、ビールは様々な名称で呼ばれてきました。

現在主流になっている、『ビール』や『ビア』などの名称は、ゲルマン語の『ベオレ(穀物)』がもとになったと言われています。

ちなみに日本の『ビール』という呼び方の由来は、オランダ語の『BIER(ビイル)』という説が有力です。

ビール発展の歴史

ビールの普及と発展には、宗教と政治、科学技術の発展が密接に関係しています。中世から近代のヨーロッパにおける、ビールの歴史を紹介します。

中世ヨーロッパでは修道士が造っていた

中世ヨーロッパでは、パンは『キリストの肉体』であると考えられていました。このためパンと同じく麦が原料のビールは、『液体のパン』として、修道院でさかんに造られるようになります。

当時の知識階級でもあった、修道士が造り出すビールは、高品質で美味しかったため、次第に市民の間へと広まっていきます。

しかしホップの発見など、ビール醸造技術の進化に伴い、修道院での独占的なビール造りは廃れ、15世紀以降には一般市民によるビールの醸造が活発に行われるようになりました。

ドイツのビール純粋令

当時、まだ味や品質が安定していなかったビールに対し、不満を持っていたドイツバイエルン地方の君主、『ヴィルヘルム4世』は、なんと法律によってビールの品質向上を図ろうと考えました。

1516年に『ビール純粋令』を施行し、醸造時に大麦・ホップ・水以外のものを使うことを禁止しました。この法律により、ドイツ産ビールの品質は安定し、世界的にも評価が高まります。

その影響力はすさまじく、現代でも、ドイツ国内ではこの法律に則ったビール造りが行われているほどです。

パスツールによって長期保存が可能に

現在のように、ビールを長期保存できるようになったのは、19世紀後半のことです。フランスの細菌学者『ルイ・パスツール』が発明した『低温殺菌法』により、長期間にわたり、ビールの品質を一定に保てるようになりました。

その少し前にはドイツの『リンデ』が冷却機を発明し、季節を問わずにビールを醸造することに成功しています。さらに酵母の純粋培養法の発見や、缶詰技術の発達も、ビールの普及を後押ししました。

日本国内のビールの起源

最後に、日本におけるビールの起源と歴史を紹介します。現在のようなビールのスタイルとなるまで、どのような道筋をたどってきたのでしょうか。

日本への伝来は江戸時代

ビールが日本に伝わったのは、江戸時代です。長崎の出島を通じて、オランダからもたらされました。

ペリーが初めて日本を訪れた1853年には、すでに蘭方医『川本幸民』がビールの醸造を試しており、これが日本のビール造りの起源とされています。

また、幕府から初の遣米使節団で勝海舟や福沢諭吉と共にアメリカに派遣された使節団の1人、『玉虫左太夫』によれば、ビールは『苦味ナレドモ口ヲ湿スニ足ル』飲み物だったようです。独特の苦みとのど越しの良さという、ビールの特徴が良く分かります。

ビール醸造所は横浜の山手から始まる

明治維新後は、ほかの西洋文化同様、ビールの知名度も一気に高まりました。明治3年には、横浜の山手にビール醸造所『スプリングバレー・ブルワリー』がオープンし、日本でのビール造りが本格的に始動します。

設立したのはアメリカ人の『ウィリアム・コープランド』で、顧客は主に日本に居留する外国人でしたが、ここで造られるビールは、徐々に日本人にも親しまれるようになりました。

日本人が経営する最初のビール会社は、明治5年に大阪に誕生した『渋谷(しぶたに)ビール』です。その後も山梨県甲府市や北海道札幌市など、全国各地に工場ができるほど、ビール産業は活況を呈するようになります。

高度経済成長期に家庭内での消費が増加

家庭に冷蔵庫がなかった時代、ビールは飲食店で楽しむものでした。しかし昭和30年代の高度成長期に、『家庭用冷蔵庫が普及』したことで、ビールの消費量は爆発的に増加します。

昼間、一生懸命働いたサラリーマンのご褒美として、風呂上がりの1杯として、ビールは家庭の冷蔵庫に欠かせない、定番商品となったのです。

ビールの起源と発展の歴史を知ろう

麦が発酵することでできるビールは、栄養豊富な飲料として、古代の人々に親しまれてきました。

また、ヨーロッパでは、神聖なものとみなされたり、美味しくするための法律を制定したりなど、特別扱いされていたことが分かります。

仕事の後のビールが美味しく感じられるのは、そんな起源にも由来しているのかもしれません。ビールの起源と深い歴史を知って、もっとビールを楽しみましょう。

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