万年筆のインク交換方法とは?タイプ別の手順と注意点を解説

2020.08.31

最新式の筆記用具が次々と開発されている現代にあっても、万年筆の人気は衰えることを知りません。美しい造形もさることながら、インク交換さえしていればその名の通り『万年』使い続けることができるのが最大の魅力でしょう。この記事ではそんな万年筆のインク交換方法を解説します。

万年筆のインクのタイプは3種類

万年筆のインクのタイプには、主に「カートリッジ」「吸入」「コンバーター」の3種類です。それぞれに利便性があり、使用用途によって使い分けるのが賢い選択といえるでしょう。

しかし万年筆を初めて購入する人にとっては、どのタイプにするか迷ってしまうと思います。そこでここからは万年筆の初歩として、それぞれのインクのタイプを詳しく紹介します。

簡単に交換できるカートリッジ式

万年筆の中でも近年もっとも普及しているのが『カートリッジ式』です。一般的なボールペン同様に、ビニールパックのインクカートリッジを取り替えるだけで簡単にインク交換をすることができます。

外で使う時などにインクが切れても気軽にインク交換が可能なため、普段使いの万年筆としてもっとも適したタイプです。一方で、インクのコストパフォーマンスという点では、吸入式に比べると劣っているといえます。

簡単に色を変えられる吸入式

『吸入式』は最も古いタイプのインク充填法といえます。その伝統的な機構や書き心地ゆえに、万年筆ファンからはいまだに高い人気を誇っています。

瓶入りインクから直接吸い上げてインクを補充するため、1回のインク交換コストが低くコストパフォーマンスに優れています。

一方デメリットとしては、なによりもインク交換・補充時の手間があげられるでしょう。インク瓶からの吸入は何度もやっていると手間に感じることもあるものですし、別のインクに変えたいときはインクタンクを水洗いする必要があります。インク補充の手間もふくめて楽しめる、万年筆玄人向けのタイプといえるでしょう。

両方式が使えるコンバーター式

『コンバーター式』はここまで紹介した『カートリッジ』『吸入』の両方の方式を使用できる画期的な機構を採用しており、「両用式」とも呼称されます。そのため普段はカートリッジ式として手軽に使用し、オフィスや自宅でゆっくりと使用する際はコスパの良い吸入式に変更したりと多様性に富んでいます。「カートリッジも便利だけど吸入式も使ってみたい」という人におすすめです。

コンバーター式唯一の難点としては、その利便性の高さから「万年筆自体の値段が比較的高い」という点があげられます。

タイプ別インクの交換方法

ここまで万年筆のそれぞれのタイプを紹介しました。タイプ別のメリットデメリットがわかってきたかと思います。

そこでここからは万年筆ビギナーのために前述で紹介した方式別のインク交換方法を詳しく解説します。

カートリッジ式の交換

前述した通り、万年筆の中でもカートリッジ式のものはインク交換を極めて簡単に行うことができます。まずボールペン同様に本体の継部分を回して分離した後に、ペン先がついている側から古いカートリッジを抜き取ります。その後、新しいカートリッジを用意して差し込みます。あとは分離した本体を元に戻すだけです。

万年筆に慣れていない人でも簡単にインク補充ができるため、初心者の方には特におすすめです。

吸入式の交換

吸入式では、内部の機構のピストンを利用してインクを補充することができます。まず万年筆の後ろ側にある尾栓を止まるまで回して開けると、万年筆内部のピストンが下がります。この状態でペン先をインクに浸し、開けた尾栓を戻します。するとピストンが上がっていき、インクを吸い上げてくれるというわけです。このとき、ペン先が完全にインクにつかるくらいまで浸しておくことで、満タンまでインクを補充することができます。

その後、ペン先についた余分なインクを落とすために、一度尾栓を軽く開け、2~3滴垂らします。そうしてからペン先を上に向けて、尾栓を締めることでインクが垂れずにタンクに入り切ります。最後にペン先周りについたインクを拭き取ればインク交換完了です。

吸入式のインク交換は液状のインクを直接吸入することになるため、誤ってインクをこぼさないように注意しましょう。

コンバーター式の交換

コンバーター式のインク交換は、カートリッジ方式と吸入方式があります。カートリッジの場合、専用のカートリッジを購入して差し替えればOKです。

吸入式の場合は、専用のコンバーターを使用します。まずペン先と本体を分離して、ペン先にコンバーターを差し込みます。この時に、吸入式同様に、コンバーターの尾栓を回すことで内部のピストンをあらかじめ下げておく必要があります。

コンバーターの準備が終わったらペン先をインクに浸し、尾栓を逆に回すことでピストンが上昇してインクを吸入します。あとは吸入式と同様の手順で、インクを補充することができます。

インク交換時の注意事項と洗浄方法

文房具でありながら繊細な機構をもつ万年筆は、インク交換作業やメンテナンスの際に気をつけなければならないことがあります。ここからは万年筆のインク交換時の注意事項やポイントを紹介します。

カートリッジ式は規格に注意

カートリッジ式のインク交換は、さきほども言った通り極めて簡単です。ただし注意点としては、インクカートリッジの規格をきちんと理解しておくことです。

万年筆メーカーによって、インクカートリッジの規格は共通であることもあれば全く別個のものであったりと様々です。そのため、違うメーカーのインクカートリッジを購入してしまうと、全く使いものにならないという場合もありえるのです。

ちなみに、インクカートリッジの規格には『ヨーロッパ統一規格』というものがあり、ヨーロッパの大手メーカーの多くはこれに準じているため、ヨーロッパ製のメーカーであれば互換できる可能性が高いです。ただし、多くの万年筆メーカーでは『他メーカーのインクを使用するのは非推奨』とされていますので、できるだけ万年筆のメーカーとインクのメーカーは合わせるようにしましょう。

また他のポイントとして、インク補充後すぐにはインクが出てこないため、少し時間をおいて少しづつ慣らして書いていくようにしましょう。インクが出ないからといって強い力で線を書こうとすると、ペン先を痛めてしまう可能性があるので注意が必要です。

吸入式は洗浄方法に気を付けよう

吸入式は、何よりもまずインクこぼれに注意しましょう。

また、別の種類のインクを使用したい時には、内部を洗浄する必要があります。洗浄する際は、中に残ったインクを全て出しきってからにしましょう。

尾栓を回しピストンを押し下げることで、中に入っているインクを押し出すことができます。その後は、真水をピストンで吸入し・排出する、という作業を繰り返すことで、きれいに洗浄することができます。あとは水気を拭き取って十分乾燥させれば洗浄完了です。

コンバーター式の注意点は、上記の2つと同様です。

手をかけることこそ、万年筆の醍醐味

万年筆のインク交換のあれこれをご紹介してきました。お持ちの万年筆のインク交換の際はどのタイプなのかを確認して、当記事で紹介した方法を行ってみてください。一生物の文房具ともいえる万年筆。インク補充を数え切れないほど繰り返しながらゆっくりと育てていくことで、自分にとって最高の愛用品へと昇華されていくはずです。

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