『ジャック・ダニエル』はバーボンじゃない!?世界一売れているアメリカンウイスキーのこだわりとは。

2020.06.12

米国政府が定めたバーボンの製造基準を全てクリアしながらも、頑なにテネシーウイスキーと名乗り続けるジャックダニエル。そこには、世界で一番売れているアメリカンウイスキーとなった今でも受け継がれる、負けず嫌いだった創業者の意地と誇りがあるのです。

13歳でウイスキー造りを始めたジャックダニエル

ジャックダニエルという酒名は、創業者ジャスパー・ニュートン・ジャック・ダニエル(1850- 1911)に由来しています。

貧しい家庭に生まれたジャックは、家族の友人であり蒸留所のオーナーでもあった牧師ダン・コール氏のもとで、7歳の頃から蒸留技術の習得に励みました。そして何と13歳の頃には蒸留所の運営を任されるまでに至りました。

時は南北戦争の真っ最中であり、戦時下にあってジャック少年は、「ボーイ・ディスティラー(少年蒸留業者)の愛称で呼ばれながら、コツコツと蒸留の技術を磨き続けていったのです。

そして16歳の時には、蒸留所の敷地内にある鍾乳洞から湧き出る良質な天然水を確保するため、近隣の土地300エーカー(東京ドーム28個分)を購入。同じ年に、アメリカ政府公認第1号の蒸留所として正式な登録を行いました。

バーボンとはひと味違う、ジャックダニエルのこだわり

南北戦争当時、ジャックが酒造りを行っていたテネシー州とお隣のケンタッキー州は、どちらも南軍の傘下で戦っていました。

しかしケンタッキー州が途中で北軍に寝返ったため、テネシー州は壊滅的な被害を受けたまま終戦を迎えます。

それ以来テネシーはケンタッキーに対して強烈な敵対意識を持つこととなり、ケンタッキーの名産品であるバーボンウイスキーに対抗心を燃やしたジャックは、「テネシー発のウイスキーで天下を獲る」と心に近い、自らが造るウイスキーを『テネシーウイスキー』と定義したのでした。

テネシーウイスキーを名乗るための6つの条件

テネシーウイスキーとは、合衆国が定めたバーボンの4つの条件である、

  1. アメリカ国内で造られている
  2. 原料のトウモロコシ含有率が51%以上ある
  3. アルコール度数は蒸留時で80%以下、瓶詰め時で40%以上ある
  4. 内側を焦がした新品のオーク樽で2年以上熟成させる

を全て満たした上で、さらに以下2つの独自の基準

  1. テネシー州内で造られている
  2. チャコール・メローイング製法で造られている

を満たしたウイスキーのことを指します。

チャコール・メローイングとは、樽詰め前の原酒をテネシー産のサトウカエデの木炭でゆっくり濾過する工程のこと。この工程を経ることで、ジャックダニエルを含むテネシーウイスキーにはバーボンとはひと味違う、まろやかで優しい口当たりと甘さが生まれるのです。

そのため、テネシーウイスキーに誇りをもつウイスキー好きの中には、バーボンと呼ばれると怒ってしまうひともいるのだとか。もちろんバーボンの要件も満たしているので、バーボンと呼んでも間違いではないのですが、テネシーウイスキーはさらに独自の基準を課した製法によって作られているということを理解しておきましょう。

ジャックダニエルの主な商品ラインナップ

それではテネシーウイスキーの元祖とも言える、ジャックダニエルの代表的な商品を3つご紹介します。

ジャックダニエル ブラックold No.7

アメリカンウイスキー不動のエース。ジャックダニエルと言えばこの黒ラベルが定番です。

ウイスキー初心者にもおすすめしやすいバランスの取れた味わいを持ち、バニラやキャラメルのような香りと、スパイシーな風味、すっきりとした後味が特徴です。

ジェントルマン・ジャック

ただでさえ手間のかかるチャコール・メローイング製法を、2回繰り返してスムーズさを追求したプレミアム品。

定番のブラックよりもさらにクリアな酒質となっており、滑らかな舌触りと、マイルド&スムースな飲み口が持ち味です。

ジャックダニエル・シングルバレル

ウイスキーは通常複数の樽の原酒をブレンドして瓶詰めしますが、シングルバレルとは優れた状態の原酒を厳選しブレンドせずに瓶詰めしたもの。

ジャックダニエルならではの甘みや香ばしさに加え、力強くてコクのある個性的な味わいが特徴となっています。

まずはロックで味わう、ジャックダニエルの芳醇な甘さと香り

ジャックダニエルと言えば、豊かな味わいの輪郭がはっきりと感じ取れるロックがおすすめ。本場テネシー州では最もポピュラーな飲み方です。

グラスに大きめの氷をゴロリと入れて、芳醇な甘さと香りをゆったりと時間をかけてお楽しみください。

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