国内外おすすめのホラー小説選。和風ホラーからモダンホラーまで

2018.12.12

文章だけで恐怖を表現するホラー小説には、映画やテレビ番組とは違った面白さがあります。派手な映像や音がないかわりに、自分の頭の中で自由に想像しオリジナルの映像を作り上げることができるのです。国内外で好評の、おすすめホラー小説を紹介します。

有名小説家 綾辻行人のホラー小説が怖い

長編ミステリー『館』シリーズなどで有名な小説家、綾辻行人(あやつじゆきと)が書くホラー小説は、ミステリー作家らしい緻密な描写が特徴です。

中にはリアルな映像が逐一頭に浮かんで、読み進めるのをためらってしまうほど怖い作品もあります。

不気味な狂気の世界に思わずはまり込んでしまう短編集や、アニメや映画にもなった学校が舞台の長編ホラーなど、幅広い作風も特徴です。

共通する主人公の短編集『眼球綺譚』

表題作の『眼球綺譚(がんきゅうきたん)』を含め、7つのストーリーが収録された短編集です。それぞれ独立した話なのですが、必ず『由伊(ゆい)』という名前の女性が登場するため、関連ある話にも思え、読者は惑わされてしまいます。

どのストーリーも、悲鳴をあげたくなるような怖さというより、静かにじわじわと迫ってくる狂気にぞくりとさせられます。

ミステリー作家ならではの作り込まれた伏線や、ラストのひねりも秀逸で、怖い怖いと思いつつ、次に進まずにはいられなくなる作品です。

  • 商品名:眼球綺譚
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学校が舞台の長編ホラー『Another』

漫画やテレビアニメのほか、実写映画も製作された学園ものの長編ホラー小説です。純粋なホラーというよりも、ミステリーとサスペンスをミックスさせたような内容で、スリリングな展開と深まる謎に、知らず知らずのうちに引き込まれてしまいます。最後の大どんでん返しにも注目です。

  • 商品名:Another
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海外モダンホラーの帝王、キングの作品も必見

スティーブン・キングは、『キャリー』や『IT(イット)』など数々の作品が映画化されている、世界有数のホラー作家です。ホラー小説や映画に詳しくない方でも、映画『スタンド・バイ・ミー』の原作者と聞けばおわかりになるのではないでしょうか。

数々の文学賞を受賞しており、日本のホラー作家やミステリー作家にも大きな影響を与えています。デビュー作の『キャリー』以降、精力的に執筆活動を続けるモダンホラーの帝王、キングの代表作と最新刊をみていきましょう。

吸血鬼により崩壊していく『呪われた町』

吸血鬼に襲われる、小さな町の住人の恐怖を描いた長編ホラー小説です。閉鎖的な田舎町で暮らす人々が抱える個々の問題や、町全体を覆う閉塞感を丁寧に描写することで、物語後半の恐怖を増幅させる構成が見事です。

悪の正体が世界的に有名な、あの吸血鬼とわかっているのにも関わらず、充分に怖さが体験できる不思議な作品です。

ホテルに現れる幽霊に絶叫『シャイニング』

冬に閉鎖されるホテルの管理人として、家族を連れてやってきた売れない作家が、幽霊に取りつかれてしまう物語です。次々と現れる幽霊たちの恐ろしさに、思わず絶叫してしまいます。電車の中や、1人きりの夜には読まないほうがいいかもしれませんね。

また、幽霊に取りつかれた結果あらぬ妄想を抱くようになって、精神が崩壊していく作家の様子や、そんな夫に怯える妻の心理描写が素晴らしく、登場する幽霊たちの恐ろしさを一層引き立てています。

『シャイニング』と呼ばれる特殊能力を持ち、家族を助けようとする幼い息子の健気な姿にも注目です。

  • 商品名:シャイニング
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2018年の新刊『任務の終わり』

キング初のミステリー作品で、エドガー賞を受賞した『ミスター・メルセデス』3部作シリーズの完結編です。 シリーズ2作目『ファインダーズ・キーパーズ』で、植物状態となり入院中のはずの犯人の周辺で、不可解な事件が次々に起こります。

寝たきりのはずの犯人が獲得した新たな能力や、1作目から犯人と死闘を演じてきた主人公の運命など、すべてが明かされたときに感じる恐怖は衝撃的です。

  • 商品名:任務の終わり
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王道の心霊現象系ホラー小説

目に見えない恐怖、心霊現象を扱ったホラー小説は、読み手の脳内でいかに怖い映像として変換されるかどうかが決め手となります。それだけに、作家の力量もダイレクトに問われるジャンルと言えるでしょう。

幽霊の住む家で起こる心霊現象が丁寧に描かれた、王道と呼べるホラー小説を3作品紹介します。

黒衣の女が引き起こす怪奇『ある亡霊の物語』

スティーブン・キングも尊敬するイギリスの作家、スーザン・ヒルが書いた正統派のゴシックホラー小説です。村から孤立した場所に建つ無人の屋敷に遺産整理の仕事で訪れた弁護士が、黒衣の女性を見かけたことからさまざまな怪奇現象に見舞われるようになり、精神的に追いつめられていきます。

次々に恐ろしい心霊現象が起こるスピーディーな展開と、最大の恐怖が待ち受けるクライマックスに、思う存分怖がることができる作品です。

  • 商品名:黒衣の女 ある亡霊の物語
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人気古典ホラー作品『丘の屋敷』

アメリカの作家、シャーリー・ジャクスンにより1959年に発表されてから、60年近くたった今でも多くの読者に支持されている傑作ホラー小説です。1963年に『たたり』のタイトルで映画化されたほか、リメイク版『ホーンティング』が1999年に公開されました。

心霊研究者と、それぞれ異なる霊感を持つ3人の協力者が、地元住民から幽霊屋敷と恐れられている『丘の屋敷』を調査します。そこで数々の心霊現象に襲われることになるのですが、協力者の1人エレーナは、あろうことか屋敷の魔力に魅了されてしまいます。

心霊現象の原因やエレーナが取り込まれる理由が明らかになることで、終わるどころかさらに恐怖が加速してしまう、波乱の展開が見どころです。

いわくつきの部屋に伝わる穢れ『残穢』

小野不由美作の『残穢(ざんえ)』は第26回山本周五郎賞を受賞した名作です。2016年には『残穢  住んではいけない部屋』のタイトルで、映画も公開されました。

残穢とは何らかの罪や災いによって生じた穢れが残っている状態を指しており、タイトルを見ただけで、何とも言えない不気味さを感じます。

一見変わったところのない普通のマンションで、なぜ次々に怪奇現象が起こるのか、そしてなぜ住人はすぐに引っ越してしまうのか、謎が明らかになるたびに、マンション建設前の土地に染みついた穢れの力のすさまじさに驚愕させられます。

人形を題材としたホラー小説

ホラー作品で重要な役割を担うことが多いアイテムの1つに、人形があります。暗闇で見る人形の顔は、たとえ呪われていなくても充分怖く見えるものです。それがもし呪われていたとしたら、想像を絶する怖さですよね。

実際に、髪が伸びたり動いたりする人形の話は、日本でも海外でも多く伝わっているほか、実在する呪われた人形を扱ったホラー映画も何度か製作されています。そんな恐ろしい人形を題材にしたホラー小説の中から、日本人作家による作品を2つ紹介します。

奇妙な都市伝説『ずうのめ人形』

期待の新鋭ホラー小説家、澤村伊智(さわむらいち)の2作目として注目されている作品です。オカルト雑誌社でアルバイトをしている主人公は、ある日突然亡くなったライターが遺した原稿を発見します。

原稿の内容は、都市伝説『ずうのめ人形』の呪いに関するものでした。呪いの連鎖を断ち切るため、主人公は仲間と共に人形の謎に迫っていきます。

出版社やタワーマンションといった、日常的に目にしている場所が舞台となっているため、読んでいると本当に人形が現れるのではないかと錯覚してしまうほどリアルです。

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次々と訪れる怪異『ゴーストハント2ー人形の檻』

『残穢』の著者である小野不由美による長編ホラー小説、『ゴーストハントシリーズ』の第2弾です。女子高生が、仲間とともにさまざまな怪異現象を調査していくストーリーが若い世代にも支持されて、漫画やアニメにもなっています。

『人形の檻』では、ポルターガイスト現象が頻発する洋館が舞台となります。洋館に住む娘と、彼女が大切にしている人形との会話を聞いてしまった主人公は、ポルターガイスト現象の謎を無事に解明できるのか、最後まで目が離せない展開です。

  • 商品名:ゴーストハント2 人形の檻
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夜眠れなくなるような実話怪談

ホラー小説で描かれる恐ろしい事柄は、現実には決して起こらないとわかっているからこそ、読者はその場限りの恐怖を安心して楽しむことができます。しかし、その内容が実話を元にしたものだとしたら、いかがでしょうか。

小説に書かれていることと同じような出来事が、自分や家族、友人にも起こるかもしれないとなると、不安で夜も眠れなくなってしまいそうですね。読者の記憶に深く刻み込まれる、実話が元になったホラー小説を2作品紹介します。

拝み屋シリーズの傑作『拝み屋郷内ー花嫁の家』

『拝み屋郷内』シリーズは、宮城県在住の拝み屋兼怪談作家の郷内心瞳(ごうないしんどう)が実際に見聞きした恐怖体験を元に書いた、実話集です。

とくにシリーズ2作目の『花嫁の家』は、その恐ろしさからホラーファンの間でも大評判となっています。このようなおぞましい事件が実際に起こったという事実に驚愕します。

  • 商品名:拝み屋郷内ー花嫁の家
  • 価格:719円(KIndle版)
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日常に潜むホラー『怪談狩りー黄泉からのメッセージ』

怪奇蒐集家で放送作家でもある中山市朗が全国から集めた実話集、『怪談狩り』シリーズの最新刊です。死者が生きている者に伝えたいメッセージが、さまざまな形となって現れます。

怖い話もあればちょっと切なくなる話もあり、もし自分も死んだ誰かからのメッセージを受け取ったらどうするのだろうと、真剣に考えさせられる内容です。

  • 商品名:怪談狩りー黄泉からのメッセージ
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スリリングな感染系ホラー小説

謎のウィルスや伝染病に感染し、問答無用でゾンビにされてしまうストーリーは、いつ自分が感染してもおかしくないと思ってしまうスリリングな展開が魅力です。

世界各国が一体となってゾンビと戦う壮大なストーリーが魅力の作品と、逃げ場のない山奥の村が舞台の作品を紹介します。

ゾンビが世界に蔓延『WORLD WAR Z』

2013年8月にブラッド・ピット主演で映画化もされている、アメリカの作家マックス・ブルックスの作品です。中国の奥地で発生した謎の疫病が発端となりゾンビが大発生した世界で、人類の存亡をかけた戦いが繰り広げられます。

倒しても倒しても増え続けるゾンビ軍団に、一度は大敗した人類ですが、柔軟な対応で巻き返していく過程はスリル満点です。日本のオタクが登場するなど実世界の現状が反映されている点も興味深く、楽しめる作品となっています。

  • 商品名:WORLD WAR Z
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正体不明の恐怖『屍鬼』

世間から隔離された、山奥の村で起こる惨劇を描いた小野不由美の長編小説です。猛暑が続いた夏のある日、3体の腐乱死体と周囲に散乱する無数の肉片が発見されたことから異変が始まり、村中に死の恐怖が伝播していきます。

原因不明の伝染病によって人の生き血を吸う『屍鬼』となってしまった村人の心情に、思わず同情してしまうシーンもあり、閉鎖的な世界で生きなければならない恐怖にどっぷりと浸れる内容となっています。

人間の怖さを描くサイコ系ホラー小説

正常な人間なら誰もが持ち合わせる常識が通用しない、サイコパスが登場するホラー小説には、幽霊やゾンビなど人間以外の何かに襲われる内容の小説とは全く違った怖さがあります。

身近な人間によって引き起こされる恐怖を描いた、日本のサイコホラーを3作品紹介します。

独特な世界観に引き込まれる『粘膜人間』

第15回日本ホラー小説大賞で長編賞を受賞し、シリーズ化もされている飴村行(あめむらこう)の人気作品です。自分たちを虐げる大柄な義理の弟を殺害するため、村はずれに住む河童に相談する兄弟の物語です。

小学生なのに年長の家族が束になってもかなわないほどパワフルな弟と、伝説の生き物である河童が登場する破天荒な展開に、ぐいぐいと引き込まれてしまいます。

グロテスクな描写の中に河童が時折見せる愛嬌がアクセントとなり、一度読むとクセになってしまう独特な世界観を持つ作品です。

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転落人生の末路に衝撃『汚れた檻』

人の心の弱さに入り込んで支配する男の、死神のような所業の連続に背筋が寒くなる作品です。偶然再会した友人によって、不本意な人生を送っていた主人公がさらに暗闇に転落させられる様子とその結末に、ページをめくる手が震えます。

意思に反して怪しい仕事に誘われたり、犯罪に加担させられたりするうちに、逃げ場のない状況に追い込まれる過程はとても恐ろしく、幽霊のほうがマシだと思えるほどです。

油断すると、自分もそんな末路をたどるのではないかという、リアルな恐怖を味わうことができます。作者は、第4回ホラーサスペンス大賞を受賞したこともある高田侑(たかだゆう)です。

  • 商品名:汚れた檻
  • 価格:663円(KIndle版)
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ベストセラーとなった話題作『黒い家』

発行部数が100万部を超えるベストセラーとなった、貴志祐介の話題作です。テーマはよくある保険金殺人なのですが、邪魔する者を容赦なく傷つけ排除しようとするサイコパスの執念に、背筋が凍ります。

怪奇現象などは一切出てこないかわりに、人間の持つ狂気や怖さだけが強調され、他人事とは思えない恐怖を感じる作品です。

  • 商品名:黒い家
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ゾっとする和風ホラー小説

最後に日本の風習や文化を取り入れた、ゾっとするホラー小説を3作品紹介します。いずれも理性を通り越し、日本人の魂に直接訴えかけてくる名作です。

日本ホラー小説大賞を受賞『ぼっけえ、きょうてえ』

第6回日本ホラー小説大賞のほか、第13回山本周五郎賞も受賞した岩井志麻子の傑作です。明治時代の遊郭で、遊女が客に語る形で展開される表題作のほか、3つの短編が収録されています。

『ぼっけえ、きょうてえ』とは、とても怖いという意味の、岡山地方の方言です。遊女が岡山弁で語る内容は、遊郭につきものの堕胎の話など血なまぐさいものばかりで凄味があります。

ほかの短編も明治時代や大正時代が舞台で、主に人間の持つ狂気や残酷さを突きつけるおどろおどろしい内容となっています。

  • 商品名:ぼっけえ、きょうてえ
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ファンタジー要素ありのホラー『夜市』

恒川光太郎(つねかわこうたろう)作のファンタジーホラー作品です。欲しいものは何でも手に入るかわりに、常識外れの代価を支払わなければならない『夜市』が舞台となっています。

第12回日本ホラー小説大賞を受賞したほか、直木賞にもノミネートされました。妖怪たちが開く夜市の情景が、美しくわかりやすい文章で描かれ、ぞくぞくする恐怖の中にも懐かしさを感じさせます。

一方で主人公が野球の才能と引き換えに支払った代価と、それを取り戻すために用意した代価、そのどちらもショッキングで、人間の欲深さにぞっとさせられます。

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  • 価格:486円(KIndle版)
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舞妓を取り巻く悲劇『祇園怪談』

『お見世出し』で第11回日本ホラー小説大賞で短編賞を受賞した作家、森山東(もりやまひがし)による短編集です。祇園の老舗お茶屋に現れた、舞妓志望の少女の周りで起こる悲劇の連作で構成されています。

祇園の表面的な華やかさと、その裏に渦巻くどろどろとした世界が詳しく描かれていて、ホラー要素を抜きにしても興味深い内容となっています。

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ページをめくる度に増す恐怖にハラハラ

ホラー小説には、映像作品とは違って自分のペースで読み進められるという良さがあります。前のページに戻って登場人物を確認したり、怖いシーンの手前で心の準備をしたりと、好きなようにページを操ることができるのです。

その一方で続きが気になり、ページをめくるわずかな時間すらもどかしくなってしまうことも珍しくありません。しかし、どんなときにも共通するのは、読み進めるほど増幅していく恐怖です。

紹介したホラー小説を読んで、日常生活ではなかなか味わえない背筋がゾクゾクする瞬間を、ぜひ存分に堪能してくださいね。

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