【おちょこ】にこだわってこそ日本酒通。底の模様にまで意味があった!?

2020.03.11

日本酒好きにとっては器選びも楽しみの一つ。ぐい呑み派、コップ酒派、升酒派、ワイングラス派など流儀はそれぞれですが、おちょこが一番!という人も多いはず。そこで選び方からおすすめの逸品まで、日本酒に欠かせないおちょこについて取り上げてみました。

日本酒には欠かせない「おちょこ」

では最初に、酒席を彩る日本酒用の様々な酒器についてひと通り見ていくことにしましょう。

日本酒に用いられる酒器の種類

まずは、おちょこ以外の酒器について簡単にご紹介します。

■ ぐい呑み

一般的にはおちょこより底が深くてひと回り大きく、ご飯茶碗よりも小さいくらいの酒器を指しますが、厳密な定義や区分けはなくあくまでも感覚的なものです。「ぐいっと掴んで呑む」が名前の由来とされますが、定かではありません。

■ 徳利(とっくり・とくり)

おちょことセットで登場することが多い、細長くて口が狭い陶磁器製やガラス製の容器。お酒を注ぐときの「とくりとくり」という音が名前の由来とも言われています。

■ 片口

片方にだけ注ぎ口の付いた鉢形の酒器。もともとは酒や醤油を樽から小さな容器に移すときに使われていた道具ですが、徳利よりもスタイリッシュな雰囲気があるせいか、おしゃれ系の居酒屋や創作料理店などで近頃よく用いられています。

■ ちろり

銅や真鍮(しんちゅう)、アルミ等で作られた、日本酒を温めるのに使う取っ手の付いた筒型の酒器。地域によってはタンポとも呼ばれています。

おちょことはどういった酒器?

おちょこ(お猪口)とは、日本酒を飲むための代表的な酒器としてお馴染みで、一口で飲み干せるサイズのものがほとんど。大酒飲みにとっては少々物足りない大きさかも知れませんが、日本酒は比較的アルコール度数が高いので、大きな器でゴクゴク飲むより、小さなおちょこでちびちびと味わう方が体に優しいというのが利点でもあります。

名前の由来としては「ちょっとしたもの」の意味を持つ「ちょく」や、飾り気がない「直(ちょく)」が転じたなど諸説があります。ちなみに形が猪の口に似ているからとの説もありますが、「猪口」は当て字なので語源ではありません。

『蛇の目』はただの飾りじゃない!

さて、そんなおちょこの中で最もスタンダードなのが、白い磁器製で底に紺色の二重丸が描かれたもの。皆さんも居酒屋などで見かけたことがあるでしょう。実はこの二重丸、単なる器の絵柄ではありません。

蛇の目に似ていることから「蛇の目(じゃのめ)」と呼ばれるこの模様は、紺と白の境目を使ってお酒の色味や光沢、透明度を確認するために描かれています。

日本酒通は、お酒の色味も見ながら熟成の度合いや味わいを判断します。そのためにこの「蛇の目」が重要となってくるというわけです。機会があればぜひ注がれたお酒の色も確かめてみてください。

おちょことぐい吞みの違い

おちょことぐい呑みの間に明確な線引きはありませんが、一般的にはサイズの大小で区分けされることがほとんどです。

おちょこは40〜60ミリリットル程度のものが主流で、少しずつ注ぎながら飲むことになるため、燗酒をゆっくり楽しむのには最適です。

それに対してぐい呑みは、感覚的におちょこよりひと回り大き目のものが多く、名前の通りぐいぐい飲むのに適しています。

また、おちょこは徳利とセットになっているものが多くあるのに対し、ぐい呑みは単品で作られています。

おちょこを選ぶときのポイント

同じ日本酒でも、器を変えるだけで味の印象までガラリと変わることがあります。そのためお酒のタイプや温度、料理の雰囲気に合わせて最適なおちょこを合わせると、味わい方に深みと広がりが生まれます。

そこで材質や形状などの視点から、おちょこ選びのポイントを見ていくことにしましょう。

その①おちょこの材質

おちょこと言えば陶器や磁器のものを思い浮かべる人が多いと思いますが、他にも木やガラス、漆器、錫など様々な材質のおちょこがあります。

口元に直接触れる器の材質は、日本酒が持つ味わいの印象に大きな影響を与えます。例えばガラスは口当たりが冷たくシャープなので、繊細な味わいのお酒を引き立たせ、吟醸酒や大吟醸酒に最適です。また、冷やして飲むことが多い生酒にもよく合います。

反対に陶器や木製のおちょこは口当たりに温かみを感じさせるので、純米系のコクがある味の濃いお酒に向いています。

磁器はこれらの中間的な存在で、金属のおちょこはガラスに近く、錫(すず)は金属の中でも柔らかいので陶磁器に近いイメージです。

その②おちょこの形状

おちょこの形も、日本酒の味わいに大きな影響を与えます。吟醸酒や生酒などの香りを楽しみたいときや、すっきりとした味わいの日本酒を楽しみたいときには、口径が広くて下方が狭まっているラッパ型のおちょこがおすすめ。反対にどっしりとした純米酒や熱燗を飲むときには、少し厚みがあって口径が狭く、丸みを帯びた筒形のおちょこがピッタリです。

その③おちょこの容量

おちょこはほとんどが小さいものばかりですが、その中でも特に容量の小さいおちょこは、温度変化がないうちに一口で飲みきれるのが最大の利点。キンキンに冷やした冷酒や熱めの燗酒を、ちょうど良い温度で楽しむには最適です。

その④おちょこの口径

口径が狭いとスッキリと淡麗に感じ、広いと濃厚芳醇に感じられます。これはお酒が注がれた際の表面積の違いによるもの。表面積が大きいと多く空気に触れて香りがふわっと立ち上るため、コクや深みのあるタイプのお酒を楽しむときには口径が広い器がおすすめです。

プレゼントにもおすすめのおちょこ3選

自ら晩酌用として楽しむのも良し、日本酒党の知人・友人へのプレゼントにも良し。飲むだけでなく目でも楽しめる、ちょっとおしゃれで気の利いたおちょこ3点をご紹介します。

Floyd/FUJI CHOCO

雲海に見立てた綿といっしょに桐箱に収められた、富士山をモチーフにしたおしゃれなおちょこです。口当たりがやさしく温かみの感じられる磁器製で、釉薬の垂れ方が一点一点異なる表情につながっているので、この世に一つしかないユニークさが魅力となります。

アデリア/津軽びいどろ 盃

「津軽びいどろ」は青森県が認定する伝統工芸品で、アデリアはその代表的なブランド。一つひとつが手作りで、ガラスのクリアな質感とカラフルで上品な模様が食卓に彩りを添えてくれます。

我戸幹男商店/TOHKA 猪口

見た目と形の美しさだけでなく、手に持った感触もしっくりなじむ木製のおちょこ。飲み口が絶妙な角度に調整されているため口当たりも格別。1点ずつ異なる表情も魅力です。繊細な作りですが実は耐久性もあり、長く愛用できます。

贅沢な気分で日本酒を。高級おちょこ3選

続いては、目上の方への贈り物としても喜んでいただけそうな、高級感あふれるおすすめのおちょこを3つ選んでみました。もちろん、頑張った自分へのご褒美にもどうぞ。

能作/FUJIYAMA

錫製品で有名な富山県高岡市のブランド「能作」が手がけた、富士山をモチーフにした高級ぐい呑み。内側にも小さな富士山が彫られており、透明な酒の中に美しく佇む富士を眺めながらお酒が楽しめます。テレビの「ガイアの夜明け」でも取り上げられ、話題を呼びました。美しい山肌もしっかり再現され、手に取って眺めるだけでも心が和みます。使わないときは伏せて飾っておくと、高級感のある富士山のオブジェにもなります。

錫は熱伝導率が良いためお酒の最適な温度をキープしてくれるほか、イオン化効果によってお酒をまろやかにするとも言われているので、日本酒好きに喜ばれること請け合いです。

blanc HANASAKA/choko sui

鮮やかな絵付けを特長とする九谷焼の原料「花坂陶石」を用いながらも、あえて内・外側共に釉薬をかけず、無地のまま焼き締めた真っ白ですべすべの高級おちょこ。Blancはフランス語で「空白」を意味します。

シンプルさを極めた形状と、光を通す磁器の白さと薄さ、独特のマットな風合い、ろくろで挽いた緻密な手触りはまさに芸術品の趣です。

東洋佐々木ガラス/江戸硝子 瑠璃玻璃 冷酒杯

瑠璃玻璃(るりはり)は「江戸硝子」の製法を継承し、職人の熟練の技で作られた逸品おちょこ。内側の色ガラスに外側から透明ガラスを被せた二層構造の技法で作られています。

深みのある瑠璃色(青色)と、贅沢に散りばめられた金箔が織りなす高級感、そして上質な佇まいが最大の特長で、重厚な化粧箱入りなので贈り物にも最適です。

日本酒以外にも使い道があるおちょこ

おちょこは酒器としてだけでなく、ちょっとした工夫一つでいろいろな使い方が楽しめます。

その①料理の小鉢として

お客様のおもてなしや日々の晩酌に、ほんの少し酒肴を盛り付ける小鉢代わりに使ってみましょう。重厚な形のものや、トラディショナルな純和風の色柄のもの程、おしゃれ感と味わい深さを食卓に添えてくれます。一つひとつ違ったタイプを揃えて、テーブルを華やかに演出するのも一興です。

その②薬味やスパイスを入れる器として

おちょこはスパイスや薬味入れにもピッタリ。テーブルにセッティングして最後の仕上げに使えば、見た目にもおしゃれな雰囲気を醸し出します。サラダのトッピングや粉チーズ、麺類の薬味など、おちょこの中に盛る薬味やスパイスの色合いとうまくマッチングさせると、演出効果が一層高まります。

その③小さな植物の鉢植えとして

口径の広いおちょこや少し大き目のものなら、小さな鉢植えとしても活用できます。ミニサボテン、小さなバンブーなど、見た目にシンプルな植物がおすすめとなります。美味しい日本酒を飲みながら、おしゃれに並べた「おちょこ鉢植え」を眺めるのも乙なものですよ。

おちょこで日本酒を美味しく飲もう

日本酒は、おちょこによって味わい方が変わってくるもの。その日の気分によっておちょこを変えてみるのも楽しいものです。

自分好みのおちょこを見つけて、いつもの日本酒をもっと美味しく飲んでみませんか。

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