ウイスキー好きなら「モルト」と「グレーン」の違いを語れるようになろう!

2020.03.04

ウイスキーを飲んでいると気になる言葉がたくさんあります。しかし、なんとなくカタカナでよくわからないし、ウイスキーが美味しければそれでいいと思っている人もいるかもしれません。この記事では、知っていると話題に困ったときに助かる「モルト」と「グレーン」についてご紹介します。

モルトとグレーンの製法の違いとは?

ウイスキーの原酒は大きくわけるとモルトウイスキーとグレーンウイスキーの2種類があります。ウイスキーを作るときに欠かせないモルトウイスキーとグレーンウイスキーですが、いったい何が違うのでしょうか。くわしく見ていきましょう。

モルトとグレーンは原料が違う

モルトウイスキーとグレーンウイスキーの最大の違いは、その原料にあります。

モルトウイスキーは、モルト(大麦麦芽)という名前の通り、大麦だけを使用して蒸溜された原酒のことを指します。一方グレーンウイスキーはというと、グレーンが英語で「穀物」のことを指す言葉であることからもわかるとおり、大麦以外の様々な穀物(トウモロコシや小麦、ライ麦など)から作られた原酒の総称です。

モルトとグレーンの蒸溜方法と味の違い

モルトウイスキーとグレーンウイスキーは原料だけではなく、実は蒸溜の方法も違います。モルトウイスキーはポットスチルと呼ばれる単式蒸溜器で蒸溜されて作られます。単式蒸溜器とは、昔からある蒸溜方法でもあり、蒸溜するたびに液体を入れ、エタノールの蒸溜が終わったら液体を排出する仕組みです。

単式蒸留は一般に原料のクセや特徴が残りやすいといわれ、この方式で蒸溜されるモルトウイスキーは、原料となる大麦麦芽の深みやコクが強く、独特のクセがあるのが特徴です。

一方、グレーンウイスキーはほとんどの場合連続式蒸溜器が使われます。お酒のもろみを連続で蒸溜し、不純物を取り除きエタノールが作られます。こちらの方式で精製されたウイスキーは、原料由来の不純物が混じらず、すっきりとした軽い味わいが特徴です。連続蒸溜器の方が手間がかからず、蒸留にかかる時間も早いため大量生産に向いており、原価も安く収まる傾向があります。

ウイスキーはモルトとグレーンの比率で個性が出る

そんなモルトウイスキーとグレーンウイスキーの違いは、ウイスキー作りにどんな関係があるのでしょうか?

2つを混ぜた『ブレンデッドウイスキー』

かつて、市場に出回るウイスキーの多くは『ブレンデッドウイスキー』でした。これは何かというと、クセの強いモルトウイスキーと穏やかで滑らかなグレーンウイスキーを混合することで味の調和を取り、飲みやすく仕上げたウイスキーのことを指します。

つまりもともとウイスキーは、2つの異なるウイスキーを混合して仕上げるものだったのです。現在もブレンデッドウイスキーはウイスキー界で重要な一角を担っています。

モルトウイスキーだけで作られる『シングルモルト』『ブレンデッドモルト』

もっとも、近年になってその風潮に新たな波が加わりました。それが『シングルモルト』ブームです。もともとスコッチなどではシングルモルトの銘柄は数多くありましたが、その独特でクセが強く、蒸溜所によって大きく異なる特徴をもつモルトウイスキーの人気が徐々に高まり、いまやモルトウイスキーのみから作られるウイスキーはブレンデッドウイスキーに匹敵する人気のタイプとなっています。

ちなみに、単一蒸溜所で作られたモルトウイスキーだけを使用してボトリングされるウイスキーを『シングルモルト』といい、複数の蒸溜所で作られたモルトウイスキーを混合してボトリングされるウイスキーを『ブレンデッドモルト(ヴァッテッドモルト、ピュアモルトとも)』と呼びます。

近年はグレーンウイスキー単体での販売も

さらに、ウイスキーブームの盛り上がりから、もともとはほとんど単体で飲まれることのなかった『グレーンウイスキー』の人気も高まっています。味わいが平坦で穏やかなグレーンウイスキーは、ストレートなどでじっくりと楽しむというよりは、ハイボールなどでさっぱりと楽しむのがおすすめ。

たとえばサントリーが販売する初のシングルグレーンウイスキー『知多(ちた)』は、公式サイトなどでもとにかく「ハイボールにして飲む」ことを推奨しています。もちろんそのままでも楽しめないということはなく、グレーンウイスキーならではのクセのないすっきりとした味わいを楽しむことができます。

バーボンとスコッチの違いも気になる

モルトウイスキーとグレーンウイスキーの違いは、世界的に人気の高いウイスキーの2大巨頭『バーボン』と『スコッチ』の違いにも大きく影響を与えています。

バーボンはアメリカ、スコッチはスコットランドで作られるウイスキーですが、それだけではなく、それぞれの名を名乗るために細かな規定がなされています。

バーボンは多くがブレンデッドウイスキー

アメリカ・ケンタッキー州生まれのバーボンを名乗るために必要な規定のひとつに、「原料の51%以上にトウモロコシを使用する」という決まりがあります。つまり、この時点でモルト100%のウイスキーは作ることができず、バーボンの有名銘柄のほとんどはトウモロコシ由来のグレーンウイスキーをベースにモルトウイスキーを混合した『ブレンデッドウイスキー』にあたります。

このため、バーボンはモルトの風味が前面に出た個性の強い味わいというよりは、トウモロコシの風味が感じられるまろやかで調和がとれた味わいとなるのです。代表的な銘柄に、「ジャックダニエル」「ジムビーム」「ワイルドターキー」などがあります。

【関連記事】『バーボンウイスキー』のすべて。世界中で愛される味わいの秘密に迫る

スコッチはシングルモルトも人気

一方スコッチの原料については、スコットランドの規定で「原料はモルト100%であること、またはグレーンウイスキーを混ぜる場合60%以上モルトを使うこと」という決まりがあります。

このこともあり、スコッチにおいてはモルトウイスキー100%の『シングルモルト』の生産が非常にさかんで、良く知られる「マッカラン」「グレンリベット」「ラフロイグ」などの銘柄はすべてシングルモルトウイスキーにあたります。

また、グレーンウイスキーを混合する場合であっても、バーボンと違って60%以上はモルトの使用が義務付けられていることから、クセの強いモルトウイスキーをベースにした味わいとなります。このため、スコッチはモルトの香りが強く感じられる個性的でコク深い味わいとなるのです。

ちなみに、スコッチのブレンデッドウイスキーも有名銘柄の目白押しで、代表的なものに「バランタイン」「ジョニーウォーカー」「シーバスリーガル」などがあります。

【関連記事】スコッチウイスキーの聖地「アイラ島」。概要と人気銘柄を紹介

モルトとグレーンの違いを知ってウイスキー通に

モルトとグレーンの違いを知るだけでウイスキーを飲むのが楽しくなってきましたね。今度ウイスキーを飲むときは、ぜひ原料にも注目してみましょう。いままで気づかなかった味の違いや微妙な濃淡を感じ取ることができるようになるかもしれませんよ。

その他のテーマ

ART

CULTURE

CRAFT

FOOD

TIME