『スコッチウイスキー』のすべて。味わいの特徴や魅力、代表銘柄まで解説

2020.02.19

『スコッチ』とは、アイルランドと並び、ウイスキー発祥の地とされるイギリス・スコットランド地方で醸造されたウイスキーです。スコッチには多くの種類があるため、その定義や種類を知っておくとよりウイスキーを楽しむことができるでしょう。

スコッチウイスキーとは?

ウイスキーというと『スコッチ』『バーボン』『ライ』といった名前がよく聞かれます。バーでも必ずといっていいほどメニューにあるこれらの種類ですが、その種類を正確に説明できる人は少ないものです。

まず、ジャパニーズウイスキーの元祖であるスコッチは、イギリス北部のスコットランドで蒸留されたウイスキーです。

しかし、それだけで『スコッチ』というわけではなく、イギリスの法律で細かく定義された条件すべてを満たしたものが『スコッチ』を名乗れます。

ウイスキーの定義

『スコッチ』は、『スコッチウイスキー』の略で、アイリッシュ・カナディアン・アメリカン・ジャパニーズと並び、世界5大ウイスキーといわれています。

ウイスキーと似た製法の蒸留酒で、同じ穀物(芋・米・麦)を1回蒸留し、樽詰めしないお酒を『焼酎』、ブドウやチェリーなどの果実を蒸留・樽詰めしたものは『ブランデー』と呼ばれます。

ウイスキーの定義は国によって多少異なりますが、一般的には『穀物を原料・麦芽の酵素で糖化・2回以上の蒸留・木製の樽で熟成されたお酒』と覚えておきましょう。

スコッチウイスキーの産地

スコッチの産地は、イギリス北部のスコットランド地方で六つに分かれています。

スコットランド北部の『ハイランド』は、古くからの蒸溜所が並ぶ地域です。スペイ川周辺の『スペイサイド』は、大きな蒸留場が多いため、安定した製品供給に適しています。有名な『マッカラン』もスペイサイドで作られています。

ハイランドと対照的に平地の『ローランド』は、大都市に供給しやすい立地から、見学しやすい蒸留所が多く存在しています。

かつて30以上の蒸留所があった『キャンベルタウン』、スコッチの聖地といわれる『アイラ』、アイラ島以外の島を示す『アイランズ』、この6カ所で、今も昔も世界で愛されるスコッチウイスキーが作られています。

スコッチに多いウイスキーの種類は?

ウイスキーには大きく分けて『シングルモルト』『グレーン』『ブレンデッド』の3種類がありますが、これらは原料や産地によっても味も香りなどの特色に違いがあります。

スコッチウイスキーに挑戦しようと思っても、どれを選べばよいのかでつまずいてしまう人もいるでしょう。

チーズやコーヒーを『香り』『味の濃さ』『パッケージ』『クセやコク』など、視覚・嗅覚・味覚で選ぶのと同じ感覚で、かた苦しく考えずに好みのスコッチを見つけてみましょう。

個性の強いシングルモルト

ウイスキーの製法はいろいろありますが、原料に大麦だけを使用したウイスキーは『モルトウイスキー』と呼ばれます。中でも単一の蒸留所で蒸留されたウイスキーのことを『シングルモルト』と呼びます。

シングルモルトは、伝統的な手法で単一の蒸留所で蒸留されるため、生産数が非常に少ないのが特徴です。それぞれの蒸留所の個性がはっきり現れるため、ハムやチーズなどコクが強い食べ物が好きな人におすすめです。

スコッチで多いのが、この『シングルモルト』。個性が出やすいシングルモルトウイスキーの中でも、スコッチのシングルモルトは特に独特の製法にこだわった銘柄が多く、一般に「クセが強い」といわれます。しかしそれだけにファンも多く、一度ハマったら病みつきになってしまいます。

【関連記事】ウイスキーの『シングルモルト』って何?知っておきたい特徴と代表的な銘柄

クセの少ないグレーン

『GRAIN=穀物』の名前の通り、(大麦以外の)ライ麦・小麦・トウモロコシなどの穀物によって作られるのがグレーンウイスキーです。

シングルモルトに比べて一般的にアルコール度数が低く、香りもまろやかなので、初心者にもなじみやすいウイスキーです。

単式蒸留釜で2〜3回蒸留するシングルモルトに比べ、連続式蒸留器で大量に蒸留できるグレーンは、シングルモルトに比べ値段が手頃なのも嬉しいポイントです。

グレーンウイスキーは主にブレンデッドウイスキーの原料となるため、それ自体の販売数はそれほど多くありませんが、飲み口が優しいグレーンを愛飲する愛好者も多く存在します。スコッチにおいてもグレーンは主流とはいえませんが、いくつかの銘柄が販売されています。

【関連記事】「グレーンウイスキー」ってなに?気になる味わいや人気銘柄を紹介

手頃で飲みやすいブレンデッド

モルトウイスキーにグレーンウイスキーをブレンドしたのが『ブレンデッドウイスキー』です。熟練のブレンダーによってブレンドされた繊細かつ調和された味わいは、初心者におすすめです。

ブレンドすることで、製品の品質や味の安定を図っており、世界中どこでも簡単に手に入るため、長年愛飲する人も多いウイスキーです。

ブレンドによって無限の種類が楽しめるのも、ブレンデッドの特徴のひとつです。ブレンデッドスコッチは、スコッチらしい複雑な味わいを残しつつ、バランスの取れた繊細な味わいが魅力。リーズナブルな銘柄から高級品まで幅広いラインナップが販売されているため、スコッチ初心者でも手を出しやすいといえるでしょう。

スコッチの味の違い

スコッチには『本場の』『正統の』というかた苦しいイメージもあり、最初は敷居の高さを感じるかもしれません。

しかし、スコッチウイスキーはジャパニーズウイスキーのベースでもあるため、日本人に非常になじみやすいウイスキーであるともいえます。

一口に『味の違い』といっても、好みは人によって千差万別です。スコッチは『6カ所の生産地』によって味の特徴が異なるため、生産地に沿って味の方向性を見極めると、細かい味の違いを楽しめるようになります。

産地による違い

イギリス文化のキルトやバグパイプ発祥の地『ハイランド』から生まれるスコッチは、山脈の豊かな水源から生まれる、力強い重厚な味が特徴です。

大きな蒸留場が多い『スペイサイド』は、華やかで、安定したバランスのよい風味が特徴で、『ローランド』はその穏やかな地形同様、飲み口の優しいモルトが有名です。

現在わずか3カ所の蒸留所が稼働する『キャンベルタウン』は、オイリーでどっしりした厚めの飲み口が特徴です。

『アイラ』は、独特の燻製の香りが好まれており、イギリス北西部をぐるっと囲む『アイランズ』は、海独特の潮の味や香りが楽しめます。

熟成する樽による違い

近代では輸送用のコンテナなど、保存や運搬方法が発展していますが、昔は保存や運搬を『樽』に頼っていました。保存のための『樽』こそ、ウイスキーの味や香りの鍵を握っています。

ウイスキーの熟成で最も一般的だったのが、ナラやカシなどで作られた『オーク樽』で、淡い黄金色と、甘い香りが特徴です。

昔、樽材が不足した時に、アメリカからの輸入品であった『バーボン樽』を使用したスコッチは、独特の酸味と焦げた風味が深い味わいを醸し出しています。現在販売されているスコッチは、バーボン樽が主流です。

1700年代にグレートブリテン王国がウイスキーに高い酒税をかけたことで、ワインやブランデーの樽に入れて「これはシェリー酒です」と、いい逃れしたことから発展したのが『シェリー樽』のスコッチです。

『シェリー樽』で熟成されたスコッチは、ルビー色と、キャラメルのようなかぐわしい香りが人気です。

ピートによる違い

先述の通りスコッチの味わいは千差万別ですが、それでもあえてスコッチの味に傾向をもとめるとするなら、この「独特のピート香」が挙げられるでしょう。

ピートとは『泥炭』とも呼ばれ、炭化があまり進んでいない石炭のことです。スコットランドでは地質的にピートが多く産出されることから、伝統的なスコッチの製法では「ピートを燃やした煙で大麦麦芽(モルト)をいぶし、匂いをつける」という工程が用いられています。

このため、ピートの香りづけがされたスコッチは「煙のよう」「薬のよう」などと表される独特の味わいをもちます。ちなみに、こうした味わいのことを表現して『ピーティな・スモーキーな』といういい回しが良く使用されます。

元々ピートは海藻・シダ類・コケ類など、さまざまな植物から泥化した炭のため、当然、海藻由来のピートなら潮の香りが、草原地帯から生まれたピートなら草由来のスモーキーな香りが楽しめます。

【関連記事】ウイスキーの「ピート」とはいったい何?ピートの香りや特徴を詳しく解説

スコッチの雑学

スコッチはテイストやフレーバーを分析し、自分の好みのボトルを見つけることで、さらにその魅力にはまっていくウイスキーです。

中でもスコッチにまつわる雑学や歴史は、思わず「へえ!」とうなってしまうものや、他人に話したくなるストーリーが満載です。

味や香りだけでなく、スコッチの魅力の一つでもある『ヒストリー』を紹介します。

WHISKYとWHISKEYの違い

カタカナで書く『ウイスキー』には、2つのスペルが存在します。主に、Eのない『WHISKY』はスコッチウイスキーを指し、Eのある『WHISKEY』はアイリッシュウイスキーを指します。

ウイスキー発祥の地を巡るイギリスとアイルランドが『区別のためにスペルを変えた』という説もあります。ただ、正確なことは不明なままです。

開拓時代のアメリカで貴重品だったウイスキーを、鍵をかけて保管したことからEのある『WHISKEY』を『鍵付き』と呼ぶ場合もあります。

日本やインドなど、イギリスの影響を強く受けたウイスキーは『鍵なし』、アイルランドの影響を受けたアメリカは『鍵付き』と大別されます。

しかし、アメリカの『アーリータイムズ』は鍵なしの『WHISKY』のため、必ずしも産地による違いではありません。

スコッチの歴史

200カ国以上で愛飲され、イギリスの代表輸出品目であるスコッチは、どのように生まれたのでしょうか?

中東で生まれた蒸留酒の技術が伝来し『AQUA VITAE(命の水)』というラテン語で、スコットランドの歴史上にウイスキーが登場したのが1494年です。

当時のウイスキーは医薬品で、修道院が製造販売を一括独占していました。宗教改革による修道院解散で、ウイスキーは一般に広がったものの、スコットランドはイギリスに併合され、高い税金が課せられるようになりました。

製造者たちは高い税金を払いたくないため、樽に入れて役人の目から隠すようになりました。これが琥珀色のウイスキーが生まれるきっかけになります。

そんなとき国王ジョージ4世が、密造酒だった「スミスという男の作ったウイスキーが飲みたい」という仰天発言をし、1824年税逃れのための密造酒が政府公認を得、今に続くスコッチとなりました。

プレゼントにもおすすめのスコッチ

スコッチは知名度も抜群で、おしゃれなデザインも多いため『お世話になった人に贈るギフト』に最適です。しかし、スコッチの銘柄は多く、金額もピンキリのため、どのようなスコッチが贈り物にふさわしいのか、悩むところです。

普段からウイスキーを嗜む人なら、「スモーキーな〜」「シングルモルトが〜」など、キーワードを発しているはずなので、それに沿った銘柄を選ぶとよいでしょう。

「贈り物で失敗したくない!」という人のために、『ワンランク上』のスコッチを紹介します。

シングルモルト マッカラン12年

1824年、密造酒が横行していた時代に、スペイサイドで2番目に政府登録蒸溜所のライセンスを取得したのが『ザ・マッカラン蒸溜所』です。

高級百貨店ハロッズが「シングルモルトのロールスロイス」と讃えた、名門中の名門のスコッチ・ウイスキーです。

『ザ・マッカラン』のスタンダードであり、マッカランの象徴でもある華やかな香りと、かすかに感じるスパイスの調和が絶妙の逸品です。

原木から整樽まで、自社一貫管理の厳選されたシェリー樽で、12年以上熟成された歴史が織りなすラグジュアリーさを、贈ってみてはどうでしょうか?

  • 商品名:シングルモルト マッカラン12年
  • 価格:6650円(税込)
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ブレンデッド シーバスリーガル 12年

1801年創業の『シーバス・ブラザーズ』が、創業90年時に発売したのが『シーバス・リーガル』です。今ではウイスキーの定番となった『12年』という熟成年数を定着させたのが、この『シーバス・リーガル12年』といわれています。

2015年のインターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティションで金賞を受賞し、正統スコッチ・ウイスキーの不動の座を確立しました。

バニラ・ヘーゼルナッツ・フルーツの柔らかな香りと、口の中に広がるハチミツの優しさが、正統スコッチ・ウイスキーの余韻を長く堪能させてくれます。

  • 商品名:ブレンデッド シーバスリーガル 12年
  • 価格:2678円(税込)
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高級品ならジョニーウォーカー ブルーラベル

ジョニーウォーカーは、キングジョージ5世からロイヤルワラント(英国王室御用達)の称号を受け、年間出荷本数1億本にものぼる、スコッチ・ウイスキーの代表格です。

『ジョニ赤』『ジョニ黒』の愛称でも親しまれているラベルのトップに君臨するのが、この『ブルーラベル』です。

『1万樽に1本』という希少な原酒をブレンドし、19世紀当時の瓶のデザインを復刻、創業者が作ったレシピを元に当時の味わいが再現されています。

製造番号が刻印されているレア感、芳醇さと重厚さが織りなすVIPな逸品のため、お世話になった人へのプレゼントに最適です。

  • 商品名:ジョニーウォーカー ブルーラベル
  • 価格:14,293円(税込)
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スコッチウイスキーを楽しもう

スコッチは長い時間をかけて発展してきた、由緒あるウイスキーです。創業者やブレンダーの歴史、樽に使われる原木の歴史、熟成期間、それらのロマンが琥珀色の液体に凝縮されています。

ウイスキーは仲間とわいわい、たまにはバーで、自宅でゆっくり、どんなシーンにも合う『大人のお酒』です。その中でもスコッチは、香りも味も飲み方も千差万別です。

スコッチの歴史に敬意を払いながら、あなたのために作られたスコッチを、時間をかけて探すのもまた一興ではないでしょうか。

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