競馬の賞金の仕組みを解説。高額賞金を勝ち取った競走馬と騎手

2018.12.04

競馬の賞金の仕組みを知っていますか?高額賞金を勝ち取った場合の競走馬や騎手の賞金内訳や、賞金の仕組みまでわかりやすく紹介します。今までとは違った目線で競馬の成り立ちを学んで、より楽しみを深めてみましょう。

競馬の賞金のギモン

競馬は、大きな金額が毎日のように動いている世界ですが『賞金や運営費用』はどのように流れているのでしょうか。普段あまり知ることのない『競馬の賞金や税金』について確認していきましょう。

お金はどこから出ているのか

普競馬場の運営資金や払戻し金はどこから出ているのでしょうか。

結論からいうとJRA日本中央競馬会(以下JRA)では、購入した馬券の代金が『競馬場の運営と国への支払い、的中馬券の払い戻し』に使われています。

JRAを含む日本の公営競技は『控除率約25%』で運営が行われています。100%の収益から、購入者に払い戻される率は約75%、残りの約25%が『控除率約25%の部分』です。運営資金はこの控除率約25%の中から支払われています。

JRAが他の公営競技と違うのは『控除率が約25%、売上の約75%は的中者への払戻し』が行われていますが、『国の全額出資』で設立された公営競技なので、残りの約25%の中から国庫(国家資金の保管所)に『税金として売上の10%』を納めている点です。

次は、JRAが国庫に納めている税金と、競馬にかかっている税金について確認していきましょう。

税金はかかっているのか

JRAでは、一般で使われている『〜税』といった名前ではなく、『国庫に入れる金額』が事実上の税金という形で納付されています。JRAが国庫に入れる金額は『第1・第2』に分けられています。

『第1』では、『各競技開催ごとに、売上の10%』が国庫に入れられています。国庫に入れる『第2』の金額はJRAの法人税に近いもので、最終的に運営に使って残った『剰余金』のことです。

他にも、競走馬を購入するときの取引にも、馬主が厩舎に支払う預託金にも消費税が含まれます。このように『競馬場の運営や競走馬の購入、競走馬の保有でも税金がかかっている』と言えるのです。

馬主の税務は複雑?

競走馬を保有している馬主は、税務が課せられています。馬主の税務は複雑で、ここから少し難しい話ですが、『所得税法施行令第1項第1の規定に基づき、その規模、収益の状況その他の事情に照らして判定』されています。

国税庁の『個人馬主の競走馬の保有にかかる所得の税務上の取り扱いについて』は以下の通りです。

その年以前3年間の各年において競馬賞金等の収入があり、その3年間のうち、年間5回以上(2歳馬については年間3回以上)出走している競走馬を保有する年が1年以上ある場合には、競走馬の保有に係る所得は、所得税法施行令第178条に規定する規模、収益の状況等に照らし、事業所得に該当

出典:競走馬の保有に係る所得の税務上の取扱いについて(通知)|国税庁

規定に該当した競走馬を保有している場合、規模や収益の状況によって『税金』の額面が左右されます。このことから、近年の個人馬主はたくさんの競走馬を出馬させて稼ぐよりも『1頭の実力のある競走馬』で競馬賞金を狙う方が良いという考え方が増えてきているのです。

この考え方が出てきたのには、競走馬を減らすことで『規模』を減らし、税務を簡単にできるほか『税金』を抑えるという目的があるからと言われています。

賞金は内税となっている

競馬場で開かれるレースに決められている『賞金や手当』は内税で消費税が含まれています。1997年には消費税の増額で賞金が上がるというケースもありました。身近な消費税を含む税金は『競馬にも関係している』ということです。

次は、本賞金と取得賞金の違いについて確認していきましょう。間違えて覚えていることもあるので、知っている人も1度は目を通しておくと安心です。

間違えやすい本賞金と収得賞金の違い

本賞金とは『競走馬がレースで1着から5着に入着したときの獲得賞金』のこと、取得賞金は『競走条件(クラス)を区分するための賞金』のことです。

本賞金は競走馬が獲得する賞金ですが、取得賞金は競走条件を区分するための賞金なので実際に支払われるものではありません。

競走馬には競走レースのクラス分けがあり、上から順番に以下の通りに決められています。

  • G1
  • G2
  • G3
  • オープン特別
  • 1600万以下(1001万〜1600万)
  • 1000万以下(501〜1000万)
  • 500万以下
  • 新馬・未勝利

取得賞金はこのクラス分けに必要な金額に加算されるもので、新馬・未勝利で1着(重賞の場合は2着まで)になると『取得賞金が加算され500万以下のクラス』へ出走できます。勝てなかった新馬は加算されず、そのまま未勝利として同じクラスのままです。

再度確認しますが、取得賞金は実際に受け取るものではなく、競走馬のクラス分けに必要な『強さのステータスという形で加算されるもの』ということを覚えておきましょう。競走馬が実際に賞金として手に入れられるのは『本賞金』だけです。

次は、受け取ることができる『本賞金』の内訳についてご紹介します。

馬主が受け取る賞金の内訳

競走馬が受け取ることができる賞金では、中央競馬の場合だと『全ての競走に共通する賞金・特定の競走に交付される賞金』という種類があります。これらを全て合わせて、競走馬が得た賞金を『馬主・調教師・騎手・厩務員』で配分します。

賞金の内訳の割合は決められており『馬主80%・調教師10%・騎手5%・厩務員5%』の配分です。

一体どのくらいもらえるのかを知るためにも、まずは全ての競走に共通する賞金の『本賞』『出走奨励金』『特別出走手当』について確認していきましょう。

5着までの馬に本賞

出走馬の中で『1〜5着までの馬』に交付される賞金が『本賞』です。クラスやレースによって異なる金額が決められています。1〜5着までの本賞の割合は『1着100%・2着40%・3着25%・4着15%・5着10%』です。

例えば、本賞で決められている金額が『3億円』の場合は以下の通りです。

  • 1着・・・3億円
  • 2着・・・1億2000万円
  • 3着・・・7500万円
  • 4着・・・4500万円
  • 5着・・・3000万円

本賞を1〜5着までの間で分けるのではなく、それぞれが決められた割合で受け取ります。

それ以降の馬は出走奨励金、特別出走手当

1〜5着に入れなかった競走馬の6〜8着(重賞の場合は10着まで)は、決められた比率に乗じた額の出走奨励金を受け取ることができます。定められている比率は『6着8%・7着7%・8着6%・9着3%・10着2%』です。

出走奨励金の金額は『本賞を基準とした比率』で交付されています。3億円の本賞で6着の場合だと2400万円が出走奨励金です。ただし『1着馬とのタイム差が一定以上』ある場合は、交付されません。

次に、特別出走手当とは『全ての出走馬に対して・競走の区分に応じて交付される手当て』です。以下の4種類の単価が決められています。

  • 重賞競走・・・43万1000円
  • 特別競走・・・42万2000円
  • 1勝以上の競走・・・41万8000円
  • 新馬・未勝利の競走・・・40万7000円

全ての出走馬に対してなので、1〜5着は『決められた比率の本賞+特別出走手当』が受け取れます。6〜8着(重賞は10着)までは『出走奨励金+特別出走手当』、それ以外は『特別出走手当のみ』です。

特定のレースに出走した場合

上記の『本賞・出走奨励金・特別出走手当』以外にも特定のレースに出走することでもらえる『距離別出走奨励賞』『内国産馬所有奨励賞』『付加賞』『馬主賞品』があります。

距離別出走奨励賞は『芝1800m以上の平地競走の1〜10着』に交付されるものです。それぞれレースに決められた交付額(60〜360万円)を1着100%、2着からは決められた割合で受け取ることができます。

内国産馬所有奨励賞は『平地の全ての競走で1〜5着になった内国産馬』が対象に、馬齢と着順によって決められた交付額(30〜300万円)が受け取れます。

また、内国産馬牝馬奨励賞と呼ばれるものもあり、新馬・未勝利の競走で1〜5着に30〜120万円の決められた金額が交付されます。

付加賞は、決められた特別競走に出走するための『特別登録・出馬投票』を行った競走馬が1〜3着を取ると交付されます。馬主賞品は全ての競走優勝馬主に対して50〜400万円の決められた交付額と競走記録のDVDが交付されます。

たくさんありますが、『出馬した競走馬が該当した賞を全て合算した額』が受け取れる金額です。受け取った金額を馬主たちで決められた割合で分け合っているのです。

騎手が受け取る賞金は?

では、実際に騎手が受け取る賞金はどのくらいあるのでしょうか。細かい金額と内訳を確認していきましょう。

騎乗手当と騎手奨励手当がメイン

騎手の収入は『騎乗手当て』『騎手奨励手当て』が中心です。騎乗手当と騎手奨励手当はレースのグレードによって決められており、1レースあたり約4〜8万円前後が支払われています。

実力をもった騎手では、1日に複数のレースに騎乗することがあるのでレースに騎乗した分だけ手当てを受け取ることができます。場合によっては1日で10万円以上の手当てをもらっている騎手もいます。

中央競馬会での騎手は、平均年収が『1000万円前後』といわれています。実力を認められて、騎乗回数が増えれば2000万円以上の場合もありますが騎乗できなければ年収は減っていきます。

ただし、厩舎に所属していれば、手当の他にも厩舎から毎月の給料が別でもらえるので騎乗できないからといっても全く収入がないということにはなりません。

賞金額のうち5パーセントが進上金となる

賞金額から騎手が受け取れるのは、騎乗していた競走馬が獲得した賞金額のうち『5%が騎手に配分される金額(進上金)』です。騎乗手当てと騎手奨励手当てとは別に受け取れます。基本的には勝利しなければ進上金はもらえないので、成功報酬のようなものと覚えておきましょう。

賞金ランキングでトップクラスの競走馬と騎手

獲得賞金ランキングでもトップクラスの競走馬と騎手はどうなっているのでしょうか。賞金ランキング歴代1位に輝いた『キタサンブラック』と『ディープインパクト』の相棒ジョッキー武豊騎手を参考にして確認していきましょう。

有終の美を飾ったキタサンブラック

2017年に行われた第62回有馬記念で優秀の美を飾ったキタサンブラックは、当時の賞金ランキングの歴代1位を獲得したことでも注目されました。G1レース7勝という快挙を成し遂げて通算成績は20戦12勝で稼いだ金額は『18億7684万円』です。

賞金ランキングに掲載されている競走馬は『オルフェーブル』『ディープインパクト』などの名馬ばかりで、その中にキタサンブラックが入るという快挙を成し遂げました。

現在では新しくランキングが更新されていますが、当時の反響は凄まじく『新聞の一面を飾る』ほどの大きな反響を呼んでいます。

ディープインパクトの相棒ジョッキー

ディープインパクトの相棒ジョッキーともいえる有名な騎手が『武豊騎手』です。獲得賞金は海外や地方を合わせると『780億円』を超えるといわれており、歴史に名を残す名ジョッキーです。

一般的な騎手の平均年収は約1000万円前後ですが、武豊騎手の場合は1987年のデビューから2017年までを計算して算出された平均年収は『1億6000万円』でした。騎手の中ではトップといえる年収をもらっていたのがわかります。

次は、世界有数の驚きの賞金額が話題となっているレースをチェックしてみましょう。

世界の凄い賞金事情

世界には、日本の中央競馬場で行われている最高賞金額『3億円』の有馬記念・ジャパンカップよりも大きな金額で行われているレースも存在しています。

2017年に行われた第2回ペガサスワールドカップでは『1600万ドル(約17億6000万円)』の総賞金が設定されていました。他にも海外には驚きのレースがあるので確認していきましょう。

アメリカ、ドバイの高額賞金レース

アメリカ、ドバイで行われる『ドバイワールドカップ(G1)』の総賞金が2019年に『1200万ドル(約13億2000万円)』に引き上げされます。これによってドバイワールドカップでの賞金総額は『3500万ドル(約38億5000万円)』程度になるといわれています。

2017年に賞金額が引き上げられて開催され、賞金額1位に輝いた『第2回ペガサスワールドカップ』やドバイワールドカップなど、海外では驚きの高額賞金レースが開催されているのです。

ラッセル・ベイズは2億ドル弱を獲得

北米最多勝を獲得していたジョッキーの『ラッセル・ベイズ』、北米最多の1万2842勝を果たして『約2億ドル弱』の賞金を獲得しています。1974年10月28日に初勝利を挙げてから獲得した賞金は、世界でもトップレベルに入る金額です。

日本では考えられないほどの金額ですが、海外でも簡単に稼げる金額ではなく、実力と勝利の積み重ねで得た功績なのです。

競馬投票は競走馬と騎手の応援になる

難しい話もありましたが、競馬投票は競走馬だけではなく騎手や厩務員、調教師の応援にもなっています。馬主や騎手たちの熱い想いが『数々の名勝負』を生み出しているのも競馬の魅力です。

購入した競馬投票が応援となって、さらにたくさんのドラマや名勝負が生まれるかもしれません。

その他のテーマ

ART

CULTURE

CRAFT

FOOD

TIME