競馬で的中させたら税金発生?一時所得と経費が認められる雑所得

2018.12.01

競馬で大きな金額を的中させたときには嬉しいものですが、実は税金がかかるって知っていましたか?ここでは競馬の配当金を『一時所得』と『雑所得』のどちらとするのかを説明します。また併せて的中馬券の配当の仕組みや納税についても確認してみましょう。

時には非常に高額な配当が出る競馬

競馬で良く耳にする『万馬券』は高額な配当が出る競馬の醍醐味といっても過言ではない部分です。非常に高額な配当なので、狙って的中させるのも難しいので万馬券が何度もでるほど甘くありません。

過去の高額な配当のレースから確認していきましょう。

WIN5の最高額は4億円超

WIN5とは『JRA日本中央競馬会(以下JRA)が指定する5つのレースのそれぞれで1着になる競走馬を全て当てる馬券』です。5レース全ての1着を当てるので的中率も低く、その分の配当が非常に高く設定されているため『高額配当』が期待できる馬券の1つです。

JRAの公式ホームページで掲載されている払戻金ランキングでは最高額として4億円を超える配当がでたケースが紹介されています。このケースは、2016年8月21日に行われた5つのレースを的中させて『4億2012万7890円』の高額配当がでました。

地方競馬も波乱は起きる

WIN5は中央競馬で行われていますが、地方競馬でも高額配当が出て注目されたケースがあります。2017年6月27日に大井競馬場で行われた12R・B3クラス・ロマンティックナイト賞(ダート・1700m)では『3連単が確定し2669万3120円』の高額配当がでました。

他にも、トリプル馬単というジャンルで地方競馬では『9091万5440円』という記録も過去に残っているので『地方競馬であっても万馬券』の可能性は十分にあるのです。

窓口での払い戻しはいくらでも現金で

そこで気になるのが『高額配当』を的中させたときの払戻しです。高額配当の基準は『100万円以上』からで、100万円以上の配当金になっている馬券は有人窓口でのみ受け取りが可能で、自動払戻機では対応できません。

窓口に馬券を持っていくと、番号札を渡されて待ちます。金額が増えるほど待ち時間が増えるので注意しておきましょう。

ここで忘れてはいけないのが、100万円でも1億円でも『現金での手渡し』のみの対応という点です。銀行振込に対応していないので、高額配当を持ち歩く覚悟を持って受け取りにいきましょう。的中馬券の払戻の期間は『60日間』あるので、準備をして窓口にいくのも1つの方法です。

ここまで高額になると、税の申告が必要なのかという点にたどり着きます。そこで次は、申告をしている人はいるのかについて確認してみましょう。

払戻金を申告している人は実際にいるのか

高額な払戻金を得たときに気になるのが、税金の必要性や払い方です。競馬の配当金に税金が必要なのか、払わなかったらどうなるのかを確認しておきましょう。

グレーな部分が多いと言われている

結論からいうと競馬で得た払戻金にも、『税金はかかります』。

的中した馬券の配当金が大きいほど、税金の金額も増えます。しかし、トータルで負けていても『税金を払わなければならない』となると、手元に配当金が残っていなくても払わなくてはいけなくなり、競馬を心置きなく楽しむことができなくなってしまいます。

競馬離れが進んでしまうきっかけとなる『税金の部分』は、JRAや競馬場のいろいろな事情が重なり、一種グレーな部分として認識されています。税金の支払いについてきちんと理解したうえで、クリーンに競馬を楽しみましょう。

ただし税金の時効は5年間

税金の時効は、期限内に正しい手続きを行った場合は『申告期限の翌日から3年』と決められています。期限後に申告した場合の『時効は5年』です。

ここで注意したいのが、途中で督促や差し押さえがあった場合は『その日から時効のカウントが再スタート』で計算されます。虚偽・不正行為である脱税の時効は7年なので、督促や差し押さえが行われた日から7年経たなければ『時効』になりません。

では、この税金を申告しないで『脱税』となってしまったらどうなるのかについて次は確認していきましょう。

払戻金を申告しないとどうなるか

払戻金を正しい手順で申告しなかったらどうなるのかという疑問がでてきます。これについては、法律で決められた『ペナルティ』が課せられます。実際にあった事例も含めて確認してみましょう。

脱税となり多額の追徴金が発生する可能性有

グレーな部分だからといっても、申告をしなかった場合は『脱税』を行ったと認定されます。申告しなかった場合には『無申告加算税』と呼ばれるペナルティが課せられていくのです。

また、隠蔽した場合や納付に延滞が起きた場合にはどんどんペナルティが課せられて『多額の追微金』が発生してしまいます。場合によっては配当金で得た獲得金額を全て税金として収めたケースもあるのです。

では、次に脱税となってしまった『ネット競馬で3億円的中した事例』をご紹介します。

実際にあった事例

脱税と刑事罰を問われた男性は、高額当選を2度も実現させて3億円近くの払戻金を手にし『所得税法違反の罪』で在宅起訴されました。この事件について被告人は「誰もが確定申告をしていないのに」という憤りを表していました。

確かに、競馬場や場外馬券場、窓口での払戻しには支払先が記録されていないので、実際には『ほとんどの人が確定申告を行っていない』という事実があります。

裁判の論点となったのは『課税の公平性や国税調査の是非』をどうするのかという点が注目されました。結果、この裁判では、『懲役1年、罰金1900万円』の求刑が言い渡されたのです。

この事例からもわかる通り『多額の配当金を受け取ったのに税金を収めなかった』場合には、上記で紹介したように『刑事罰や多額の追微金』が発生することは否定できないのです。

高額配当の馬券、なぜバレたのか

では、なぜ氏名の記入や記録が残されていないのに高額配当の馬券がバレたのでしょうか。そこには『意外な理由』がありました。次は、バレる原因となる理由をチェックしていきましょう。

メディアでの公言でバレる

高額配当の馬券がでたときに、テレビや新聞に出てしまい話題になった人は『税務署の目にも入る』ので、税務署からの調査が行われて通知が届く場合があります。また、SNSやブログでの公開もバレるきっかけになってしまうことも忘れないようにしましょう。

しかし、注意してメディアでの公言を避けていてもバレることがあります。それが『ネット投票』で馬券を購入した場合です。

ネット投票の場合は証拠が残る

ネット投票の場合には、馬券を購入したときに証拠が残ってしまいます。購入時と払戻しの金額のやり取りの履歴が『銀行口座に残っている』ので証拠として機能してしまうので『バレる可能性』としては十分にあり得るのです。

普段から、WINSや競馬場などに直接足を運んで馬券を購入すれば、名前などの記名もなく購入できるので証拠が残りません。このように購入する場所もバレる原因と考えられるのです。

銀行口座の入金は税務署に調査されている?

通常の場合、税務署は一般の銀行口座の入出金の調査をすることはできません。調査できるのは税務調査中の個人・法人のみなので、配当金を口座に入金してもチェックされていることはないはずです。

しかし、実際にバレてしまったケースが報告されていることがあります。このあたりは『守秘義務の関係』で理由は明確にされていないため、『調査されない』と言い切ることはできない部分です。

はずれ馬券が経費と認められた判例

馬券の税金を計算するときの経費は『的中馬券の購入金額のみ』です。一般的に『はずれ馬券は経費として認められない』ものですが、過去の裁判では『はずれ馬券が経費として認められた』ケースがあります。

はずれ馬券が経費として認められた、大阪と北海道での裁判について確認してみましょう。

大阪の男性の裁判

2013年5月23日に判決が言い渡された『競馬払戻金課税』での裁判は、馬券のプロとして『馬券で利益を一定以上得る行為』が、雑所得として認められるきっかけになりました。

この裁判では、大阪に住む男性が脱税行為を問われていましたが、税金を計算するための『はずれ馬券の購入費』を経費として認めるかが最大の論点となったのです。

大阪の男性が好成績を残した方法は、独自で多数の競馬のデータを集め、自動で馬券を購入するシステムを作り上げたことです。毎回、40以上の要素を分析して100通りの馬券を購入することで『高額配当を的中させて一定の利益』を得ていました。

はずれ馬券が認められた背景には、効率的に的中させるために、はずれたレースも含めて馬券を購入してきた過程があることから、『はずれ馬券の代金も一定の利益を得るために必要な経費』として認められたのです。

北海道の男性の裁判

次に、北海道の男性に対して行われた裁判はどうでしょうか。2017年12月15日に判決が言い渡された裁判でも、大阪の裁判と同様に、はずれ馬券も経費として認められるのかが争われました。北海道の男性も、独自でデータを集め、馬券を幅広く購入していました。

結果、被告の男性の回収率は100%を越えている期間が一定以上あるので、一時的な『一時所得』ではなく『雑所得』に当たるという結論から、はずれ馬券も経費として認められたのです。

1審では認められていなかった

北海道の裁判が大阪での内容と違う点は、『1審では経費として認められていなかった』という部分です。1審から経費であると主張を続けていましたが、国税局から一時所得に当たると否定され、認められませんでした。

しかし、男性は諦めず『処分の取消』を求め裁判を続け、最高裁で争われるまで続いたのです。結果的に、裁判では国税局の上告を棄却し、男性の主張が通ったことで『はずれ馬券は経費の一部』として認められました。

今回で取り上げた2つの裁判では、『一時所得』ではなく、徹底的に調査して効率よく高配当を狙い、仕事として一定の利益を得ていた行為が『雑所得』として認められることで『はずれ馬券が経費』として含まれることを証明したものです。

このことから、『雑所得』にあたる場合であれば、『はずれ馬券が経費』に認められるのであって、普段から『娯楽としての競馬』を楽しんで購入している場合『ほとんどは認められない』ということが明確になったとも言えます。

次は、『娯楽として楽しむ上で』配当に税金がかかるケースを確認してみましょう。

配当に税金がかかるケース その1

配当に税金がかかるケースを確認して、馬券の的中で得た配当金がどのような扱いになるのかを確認していきましょう。まずは『一時所得』の場合に適用される税金についてです。

一時所得にあたる配当が50万円を超える場合

一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます。

出典:No.1490 一時所得|国税庁

馬券を購入して的中し、入手した配当は継続的行為には当てはまらないので、この『一時所得』として扱われます。一時的に得たお金であっても、50万円を超える場合には税金がかかるのです。一時所得の金額の計算は以下の通りで算出されます。

  • 総収入金額−収入を得るために支出した金額(経費)−特別控除額(最高50万円)=一時所得の金額

この計算に『競馬のケース』を当てはめて、一時取得の金額が50万円以上だと、納税義務が発生するのです。

的中馬券が経費と認められる

一時所得の計算で『経費』の部分には馬券の購入金額が適用されます。しかし、はずれ馬券は『一時所得の場合』経費として認められていないので『的中した馬券の購入額』のみが経費です。計算式に競馬の場合を当てはめると以下の通りです。

  • 払戻配当金−的中馬券の購入金額−特別控除額=一時所得の金額

手元にお金が残っていない場合でも『年間の払戻配当金』で計算するため、計算式で算出した『一時所得の金額が50万円以上』であれば課税対象です。

所得税減額も5年で時効。早めに税金対策を

所得税減額は法廷申告期限等から『5年』が経過している場合、対応してもらえないので早めに税金対策をしておきましょう。一時所得は年間の配当で計算して計算するので、納税のタイミングを見逃さないためにも、的中馬券の購入額と配当金の記録を残すのがおすすめです。

他の収入と合算して税額計算

一時所得で税額を計算するときには、一時取得で得た金額の2分の1に相当する金額を、給与所得などの他の金額と合計して『総所得金額』を算出します。そこから個人の税率を当てはめて『必要な税金の金額』を決めていきます。

個人の税率は、収入額などの細かい情報から決められているので『全員一律』ではなく、いくらの納税が必要なのかは『申告してから』初めてわかります。金額を確認して納税を行いましょう。

具体的な計算方法や申告書の書き方は、こちらの記事で詳しく説明しています。

競馬の払戻しに税金はいくらかかる?計算方法と確定申告書の書き方

配当に税金がかかるケース その2

競馬で得た配当が『雑所得』に当たる場合についても紹介しておきます。いくつかの裁判で認められることで、定められた基準に当てはまる方法で得た『配当』が雑所得に当たるので、計算や扱いについて学んでおきましょう。

雑所得にあたる配当がある場合

雑所得とは、他の9種類の所得のいずれにも当たらない所得をいい、公的年金等、非営業用貸金の利子、著述家や作家以外の人が受ける原稿料や印税、講演料や放送謝金などが該当します。

出典:No.1500 雑所得|所得税|国税庁

上記は国税庁に記載されている雑所得の説明です。馬券での配当が雑所得に該当するケースは、本記事でも紹介した『裁判の事例』のように、一定期間『回収率が100%を超える』場合に『雑所得』として認められます。

雑所得という扱いになっても税金が課せられるので『計算式』をおぼえておきましょう。

所得の計算式

雑所得を求める計算式は下記の通りです。

「総収入金額 - 必要経費 = その他の雑所得」

総収入金額には配当で得た年間の金額、必要経費には、『的中馬券+はずれ馬券』の金額をいれて計算しましょう。計算式で算出したその他の雑所得から、個人の税率を当てはめて税金の金額が決定されます。

はずれ馬券も必要経費に含めることが可能

裁判でも取り上げられた『はずれ馬券』の扱いについてですが、雑所得については必要経費として計算することができます。一時所得の場合にははずれ馬券は経費に認められませんので注意しておきましょう。

雑所得も総合課税である

雑所得も総合課税なので、他の所得と合算して税金を計算していきます。個人によって税率が違うため、申告をして『税金の金額』がわかったら納付するようにしましょう。

知っていて損はない税金の知識

難しい税金の話ですが、グレーな部分といっても正しく納税をしておくことで気持ちよく競馬を楽しむことができます。

高額な配当金を得られても、脱税をしてしまうとせっかく的中した配当金のほとんどを失ってしまう可能性も捨てきれません。納税の義務と競馬のルールを守って競馬を楽しんでいきましょう。

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