超有名絵画『アダムの創造』にはどんな意味がある?隠された解剖学的知識とは

2019.11.23

レオナルド・ダ・ヴィンチ作「最後の晩餐」と並んで称される宗教画といえば、ミケランジェロ作「アダムの創造」です。また、アダムの創造には、解剖学的な意味が隠されているという話もあります。この記事では、そんな宗教画「アダムの創造」についてご紹介します。

アダムの創造とは

アダムの創造は、ルネサンス期の芸術家ミケランジェロが、ヴァチカンのシスティーナ礼拝堂の天井に描いたフレスコ画の一部です。(完成は1511年頃)

この絵は、白い衣服を身にまとった神と最初の人類であるアダムを中心に描かれており、神がアダムに生命を吹き込む場面を表現したものだと言われています。

また、神の周囲に数人の人物が描かれており、長い間「これらが誰なのか」という議論がなされています。

有力なものとしては、最初の女性であるイヴであるという説や、聖母マリアであるという説、人間の魂の象徴であるという説、天使であるという説などがありますが、正確なことは謎のままです。

指が触れ合うポーズの意味とは

アダムの創造で象徴的なのは、神とアダムがとっているポーズです。

互いが手を伸ばし、指先が触れ合うかのようです。旧約聖書には「神が触れた物には特別な力が宿る」と書かれています。モーセがシナイ山で神から授かった石版にも、特別な力があったと語り継がれています。

そんな特別な力が働いてアダムに生命が宿った…アダムの創造はまさにその瞬間をとらえた絵だといえるでしょう。

アダムの創造に秘められた解剖学的意味とは

アダムの創造には他にも謎があります。それは、絵の随所に「解剖学的知識が散りばめられているのではないか」ということです。

というのも、神の周囲の人物とその後ろに描かれている布が、人間の脳の解剖図にピッタリと一致しているという説があるのです。

この説を検証した医学博士のマーク・リー・アプラーによると、神が描かれた部分は大脳表面の脳溝、脳幹、前頭葉、頭蓋底動脈、脳下垂体、視交叉と一致するそうです。

複雑な脳の構造とミケランジェロが描いた神が、偶然一致したとは考え難く、ミケランジェロは少なくとも脳の構造を知っていたと言われています。

アダムの創造には子宮も描かれている!?

アダムの創造に解剖学的意味が秘められているのであれば、脳以外にも表現されたものがあるかもしれません。その意味で有力な説となっているのが、子宮です。

神のまわりに浮かぶようにして赤い布が描かれているのですが、これが女性の子宮を表しているという説があるのです。

さらに、その赤い布から緑の帯が垂れ下がるように描かれており、その配置と関係性からへその緒を表したのではないかと考えられています。(このことから、布は子宮のマントと呼ばれることもあります)

以上を考慮して、「ミケランジェロは非常に高度な解剖学の知識を有していた」と考える学者も大勢います。

かのレオナルド・ダ・ヴィンチも高度な解剖学の知識を持っていたとされていますから、ミケランジェロがそれと同等かそれ以上の知識を持っていたとしても不思議ではないでしょう。

アダムの創造のパロディは多数。ETなど

世界的に有名なアダムの創造ですが、その有名さゆえに、様々な場面でパロディ化されています。

たとえば2018年6月に公開された映画「デッドプール2」の特別画像では、主人公のデッドプールが、ケーブル(演:ジョシュ・ブローリン)の銃口に、左腕の指を突っ込んでいます。

この画像の構図はまさにアダムの創造そのものであり、一部では「やり過ぎ」と非難の声が上がったほどです。

また、1982年公開の映画「ET」では、クライマックスで主人公の少年とET(地球外生命体)が指先を触れ合わせるシーンがあります。

この象徴的なポーズからアダムの創造をイメージする人は多かったようで、いまだにネット検索では「アダムの創造  ET」と表示されることがあります。

その他、Tシャツやバッグなどのデザインに用いられることも多いのですが、これらはアダムの創造が有名な宗教画であることの証明といえるでしょう。

宗教画の傑作「アダムの創造」

世界で最も有名な宗教画の一つであるアダムの創造。そこには、高度な解剖学の知識が秘められているのかもしれません。神の背後に描かれた女性が誰なのかという疑問と合わせて、アダムの創造は非常に興味深い絵画だといえるでしょう。

知名度の高さからたびたびパロディとして用いられていますが、これを機に、もう一度原画を確認してみるのも面白いのではないでしょうか。

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