世界遺産登録を司るユネスコとはどのような機関?日本の関わり方も解説

2019.11.23

世界遺産と対の関係でよく耳にするのがユネスコです。世界遺産登録に関して大きな役割を担っていますが、どのような役割をもった組織かご存知でしょうか。この記事ではユネスコと世界遺産の関係性やユネスコへの日本の関わり方などについてご紹介します。

世界遺産への登録を勧告するのはユネスコ

ユネスコ(UNESCO)は、国際連合内にある組織の一つです。教育、科学、文化の発展と推進を目的として、1946年11月4日に設立されました。

その一環として世界遺産に関する事業も行っており、申請があった物件について協議し、「世界遺産に登録すべき」と勧告する権限があります。

また、世界遺産とは別に、無形文化遺産に関する協議、勧告もユネスコの事業の一つです。

世界遺産と無形文化遺産の違いは?

世界遺産と無形文化遺産は混同されやすいですが、実は全くの別物なのです。世界遺産の種類の一つに「文化遺産」があるのも間違えられやすい要因かもしれません。ここでは、世界遺産と無形文化遺産の違いについてご説明します。

世界遺産の定義

ユネスコは、世界遺産を「建築物などの不動産」(移動しないこと)と定義しています。そのため、どんなに価値があっても、絵画や彫刻などは世界遺産の対象外となります。また、文化や伝統といった概念そのものも世界遺産にはなりえません。

無形文化遺産とは

世界遺産が不動産つまり有形物を対象としている一方で、無形文化遺産は、「伝統的な音楽」「祭りや儀式」「伝統習慣」などの無形物を対象としてます。

例をあげると、「インドのヨガ」や「中国の書道」などがあります。また、日本では「歌舞伎」や「能楽」、「和食」、「和紙」、「アイヌの古式舞踊」等が無形文化遺産に登録されています。

無形文化遺産には伝承も含まれる

「無形」であることからその範囲が非常に広い無形文化遺産。

興味深いのは、「伝承」つまり、言い伝えもその範囲に含まれていることです。(実際に、イタリアの「テノール風の歌の口承伝承」が登録されています)

日本にも地方ごとに祭りや伝統に紐づいた口承伝承がたくさんありますから、申請すれば、ユネスコから無形文化遺産の勧告を受けることができるかもしれません。

ユネスコを運営するお金はどこから?日本の関与とは?

ご紹介したように、ユネスコは世界の文化や伝統を保護する重要な役割を担っています。それゆえに組織の存続・維持にはお金がかかる訳ですが、実はそのお金は参加国からの「分担金」で賄われています。

分担金の支払額は日本が最大

参加国からの分担金で運営されているユネスコ。

その金額は一律ではなく、2011年まではアメリカが全体の22%で1位、日本が全体の9%で2位でした。

ところが、アメリカがその支払いを停止し、2018年に脱退してしまったため、2019年の時点では日本が最大の拠出国となっています。

アメリカが支払いを停止した理由

2011年に開かれたユネスコの総会において、パレスチナ国のユネスコ加盟が協議されました。しかし、この総会において、アメリカとイスラエルがパレスチナ国の加盟に強く反対。

結果としてパレスチナ国の加盟が認められたため、その対抗措置としてアメリカは分担金の支払いを停止し、ついにはアメリカとイスラエルが脱退したのです。(現在はオブザーバーとして参加しています)

一連の流れに対しては政治的な思惑を感じざるを得ないですが、そうした思惑が文化や伝統の伝承に少なからず影響をしていることはとても残念ですね。

ユネスコは文化や伝統を保護する組織

ユネスコは、世界遺産や無形文化遺産に関する事業を通して、世界の文化や伝統を保護しています。それは人類の歴史・未来にとって大変意義のある事業です。

新しい知識や技術を生活に取り入れることは人類の未来にとって大切な歩みです。一方で過去から現在に伝わる伝統や文化に、時には目を向け、大切に守っていく行為は、未来の人類に向けた、今を生きる人類の務めかもしれません。

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