蝶々夫人『ある晴れた日に』を解説。曲の意味とあらすじまとめ

2019.11.20

オペラ「蝶々夫人」劇中歌で、世界的に有名な名曲「ある晴れた日に」。蝶々夫人の夫に対する深い愛と信頼が美しい旋律に乗せられたアリアです。この記事では、蝶々夫人のあらすじや「ある晴れた日に」の歌詞について解説します。

オペラ「蝶々夫人」の概要とあらすじ

蝶々夫人は、明治時代の長崎を舞台にした、プッチーニ作のオペラです。若くして芸者になった蝶々さんと、アメリカ海軍兵ピンカートンの恋愛が描かれています。

劇中には「君が代」「さくらさくら」など、誰もが知っている日本音楽のモチーフが使用されています。オペラを良く知らなくても、日本人なら誰もが楽しめる不朽の名作です。

第一幕のあらすじ

アメリカ兵のピンカートンは、軽い気持ちで15歳の娘・蝶々夫人と結婚します。蝶々夫人はその結婚を大変喜び、キリスト教に改宗までして生涯の愛を誓いました。

改宗の事実を知った僧侶の叔父に縁を切られても、自分は幸せだと語ります。ピンカートンはそんな彼女を慰めます。

第二幕のあらすじ

結婚式から3年の月日が立ちました。日本での任務を終えたピンカートンはアメリカに帰ってしまいます。蝶々夫人は大変寂しがりますが、彼が戻ってくるのをひたすら信じて待ち続けます。

彼女にはピンカートンとの間に授かった子供が生まれていました。一方ピンカートンはアメリカ人女性のクリスと結婚してしまいます。とある日、長崎の港にアメリカ軍の船が到着し、蝶々夫人は「彼が帰ってきた」と喜びました。しかし朝まで待っても結局彼は帰ってきません。

第三幕のあらすじ

朝になり、疲れ果てた蝶々夫人は部屋に戻り休みます。その後、ピンカートンとケイトが表れ、女中のスズキに「子供を預けてくれ」と申し出ます。

スズキは激怒し、ピンカートンはやっと自分がしたことの罪を感じ、彼女に合わせる顔が無いとそこから立ち去ります。蝶々夫人はクリスの姿を見てすべてを悟り、子供を受け渡すことを了承します。

そして、子供と最後の挨拶を交わした後、父の形見である短刀を取り出し自害してしまいます。

Un bel dì,vedremo(ある晴れた日に)

ある晴れた日には、美しい旋律と、蝶々夫人の純粋な思いを描いた歌詞が魅力のナンバーです。世界中で親しまれており、最も有名なオペラの一つと言われています。

「ある晴れた日に」が歌われるシーン

ある晴れた日には主人公蝶々夫人が、第二章の前半で歌うアリアです。女中のスズキは蝶々夫人に「ピンカートンはもう帰ってこないのではないか」と伝えますが、彼女はそれでも夫を信じて待ち続けます。夫を信じる純粋な思いを描いたナンバーです。

作曲者はジャコモ・プッチーニ

「ある晴れた日に」は蝶々夫人の作者であるプッチーニによって作曲されました。プッチーニの曲は、覚えやすく滑らかな旋律が特徴で、クラシックやオペラ初心者の方にも親しみやすい魅力があります。蝶々夫人以外にも「トスカ」や「ラ・ボエーム」などを手掛けた偉大な音楽家です。

「ある晴れた日に」の 歌詞の意味を解説

「ある晴れた日に」は全編イタリア語の歌詞のためどのような意味があるのか、聴いただけでは分かりにくいと思います。そこでイタリア語歌詞と日本語歌詞の対訳をご紹介します。

Un bel di, vedremo

Levarsiun fil di fumo

Dall’estremo confin del mare

E poi la neve appare.

Poi la neve bianca

entra ne porto,

romba il suo saluto.

Vedi? È_venuto!

(訳:ある晴れた日

海のはるかかなたに

煙がひとすじ見え、

船の姿が現れる

真白い船が

港に入ってくると

礼砲が響きわたる

見える?帰ってらしたのよ!)

(出典:これだけは聴いておこう♪ クラシック音楽)

歌い出しから、ピンカートンを乗せた船がやってくる情景を想像している歌詞となっています。まるで本当に帰ってきたかのようにリアルな描写です。

Io non gli scendo incontro.Io no.

Mi metto là sulciglio del colle

E aspetto, E aspetto gran tempo

E non mi pesa,la lunga attesa.

E uscito dalla folla sittadina

Un uomo, un picciol punto

s’avvia per la collina…

(訳:でも迎えには行かないのよ。行かないの。

向こうの丘の端に立って待つの

待ち続けて…

どんなに長く待っても辛くないわ

まもなく町の人々の間から

ひとりだけ抜け出して

この丘をのぼってくるわ

(出典:これだけは聴いておこう♪ クラシック音楽)

ピンカートンを自ら迎えにいかず、彼が来るのを待ち続けるという、どこまでも純粋な気持ちが描かれています。

ここまで純粋な気持ちで待っているのに、夫は他の女性と結婚してしまうなんてどこまでも悲劇です。「再会した喜びで死んでしまわないように」という部分で、いかに蝶々夫人が夫を愛しているかが分かります。

Tutto questa avverrà, te lo prometto.

Tienti la tua paura,

io con sicura fede l’aspetto.

(訳:お前に話しておくけれどきっと実現するわ

お前が心配していても

わたしは信じているのだから)

(出典:これだけは聴いておこう♪ クラシック音楽)

ここでいう「お前」とはスズキのことです。他の訳によっては「あなた」と訳されていることもあります。スズキが蝶々夫人に「外国人の夫が帰ってきたことはない」と伝えても信じ続けると歌っています。

楽曲の意味を知ると物語の理解が深まる

蝶々夫人の劇中歌で最も有名な「ある晴れた日に」は、物語のキーとなる愛や純粋な気持ちを歌っています。曲の歌詞や意味を知ることで、物語の理解が深まり、より作品を楽しめるようになりますよ。オペラ好きの方はもちろん、これから蝶々夫人をご覧になる方はぜひ曲をチェックしてみて下さいね。

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