ニーチェは名言の宝庫。ニーチェの残した言葉から読み解く彼の哲学とは

2019.11.18

ニーチェという名前を知っている人は多いことでしょう。ニーチェはドイツの哲学者であり、現在にまで名を残す偉大な思想家でした。ニーチェの名言や格言には、人の心を動かすものが多く、現代においても人気があります。この記事では、ニーチェの名言や心に残る言葉についてご紹介します。

ニーチェの有名な格言とは

ニーチェの有名な格言は数知れず。後に紹介するように、彼自身が詩作や文学的な表現で自身の思想を著すことも多々あったことから、「ニーチェといえば名言」といわれるほど、端的で魅力的な言葉をたくさん残しています。

まずはニーチェが残した数ある名言・格言の中から、3つをピックアップしてご紹介します。

「神は死んだ」

「神は死んだ」とは、ニーチェの代表的な著書の1つである『ツァラトゥストラはこう言った』の中にある言葉です。

この言葉は、キリスト教を痛烈に批判したニーチェの名言として知られています。ニーチェは、「キリスト教の教えは、強者を弱者に引き下げることを強要するものだ」としています。

これはなぜかというと、キリスト教の求める隣人愛や、善行による神からの赦し、死後の世界における救いといった考え方は、ニーチェが重視する「現世において、強く生きていくこと」を否定するものであるからです。「神や宗教に頼らず、自分の現実を積極的に受け止め、強く生きていく」というニーチェの思想を端的に表す名言と言えるでしょう。

ニーチェは、既存の価値観にとらわれない、全く新しい価値観を提示した思想家でした。19世紀ヨーロッパというまだまだキリスト教の影響が強い世界の中で、堂々と「神は死んだ」と発言したことそれ自体も、ニーチェのすさまじい精神力を表しているといえます。

「人間は、大体何にでも耐えられる」

ニーチェの1887年の著作『道徳の系譜』であらわされた名言です。単純なようでいて、響く一言ではないでしょうか。

現実と相対した時に、そこに絶望し何かに頼るのではなく、その現実を受け止めたうえで積極的に自分の人生を引き受け、いま・ここを大切にしながら強く生きる。これがニーチェが提示した人間観であり、ニーチェはそうした「人間の強さ」に対し期待していたのでしょう。そのことがよくわかる名言です。

「君の魂の中にある英雄を、放棄してはならぬ」

ニーチェの根底には、人間という存在に対する強い期待があったといえます。人間は本来的に素晴らしく、強いものなのだという一種の人間賛美の考え方です。

本来的に強い存在である人間はしかし、社会との相克の中で弱められてしまいます。それではだめだ、もっと自分の意志を大切にし、自分の中にある強い心を取り戻すべきだとする彼の哲学を表す名言です。

自分の判断に自信が持てないときや、社会の中で生きづらいと感じたとき、心に思い浮かべることでちょっと勇気をもらえるかもしれません。

名言を生み出すニーチェの思想とは

ニーチェの名言や格言を生み出す、根本的な思想や用語についても解説していきます。

「ルサンチマン」

「ルサンチマン」とは、弱者が強者に対して抱く、恨みや妬みなどの感情のことを言います。キリスト教にはこのルサンチマンの感情が入っているとニーチェは言います。

先述した通り、キリスト教が強調する道徳とは、隣人に対し施しを与えることであったり、現世での苦境は来世において救われるとする世界観であったり、神の御心に沿うように行動することこそが重要だとする価値観であったりします。しかし、ニーチェはこれらを真っ向から否定します。

ニーチェによれば、キリスト教が強調するこうした道徳は、弱者のルサンチマンが反映されたものに過ぎないといいます。一人では生きていくことのできない弱者は、助け合うことを求めたり、現実の世界において苦境を克服することを諦めたり、自分の意志でなく神の意思に判断を委ねたりする、そしてキリスト教はそれを肯定する教えであるというのです。

そのうえでニーチェは、ルサンチマンによらない強い人間観を提唱します。こうした思想が、ニーチェの根底にはあり、他人に対する恨みや妬みを持たず、自分の人生と向き合い、自らの意志で強く生きていくことの重要性を説いています。

「超人」

「超人」とは、ニーチェが提示した哲学的概念です。ここでいう「超人」とは、何もかもを超越したスーパーマンという意味ではなく、「人が次の段階に進んだ状態」のことを指しています。

人間は動物から超人になっていく一本の綱であるとニーチェは言います。ニーチェが提示した超人の概念は、一言でいうことが非常に難しいですが、極めて簡素に言えば「何物にもよらず、自分の価値観に従いながら生きていく人」だと言えます。

言葉にすれば簡単に思えるかもしれませんが、実際にそうすることはどれほど難しいことでしょう。自分は本当に何物にもよらず自分の意志で考えているのか、誰かが押し付けてきた価値観に盲目的に従っているのではないか。ニーチェの「超人思想」からは、そんな風に自分の人生を見つめなおすきっかけをもらうことができます。

「永劫回帰(えいごうかいき)」

ニーチェが提示した世界観の中に、「永劫回帰(えいごうかいき)」という概念があります。これは、簡単に言えば「人間は転生したとしても、全く同じ人生を生きるのだ」という思想といえますが、その意味するところは大変捉えづらく、議論のあるところです。

あえて解説を加えるとするなら、これは、ニーチェの哲学の根底にある「来世でも前世でもない、いまここにある現実を肯定すること」という態度の表れといえます。苦しい人生の救いを来世に求めるのではなく、いま・ここを重視して生きること。そしてその人生を肯定し、「もう一度この人生を」と思えるような人生を送ること。それこそが人間の最も素晴らしい姿だとニーチェは言います。

一度は読んでみたいニーチェの本

現在より100年以上も前に没したニーチェですが、その著作が示唆するところは現代でも新しく感じるものが多く、いまも多くの人に読まれています。そんなニーチェの著作の中でも、入門におすすめの2冊を紹介します。

ニーチェの解説書とも言われる『この人を見よ』

ニーチェ自身が書いた、ニーチェの解説書とも言われる著作です。ニーチェが晩年になって精神を病む前に最後に残した本でもあり、彼がそれまでに残してきた様々な哲学的思索や著作に関する総括的な内容となっています。

ニーチェの著作は、非常に複雑かつ難解なことでも知られています。そんな著作群の中でも、ニーチェの思想を概観し、入門書的に読むにはぴったりの本といえるでしょう。

  • タイトル:この人を見よ
  • 著者:ニーチェ(著)、手塚富雄(訳)
  • 価格:726円(Kindle版)
  • Amazon:商品ページ

気軽に読める『悦ばしき知識』

『悦(よろこ)ばしき知識』は、ニーチェの格言や思想が、いわゆる「アフォリズム」の形式で詰め込まれた著作です。短い文章でニーチェの思想が詩的に簡潔に表現されており、いわば名言集のような形で気軽に読み進めることができます。

ニーチェに手を出そうと思ったはいいものの、その難解さに挫折してしまったという人は、まずこの本で彼の思想をざっと追ってみるのもいいかもしれません。

  • タイトル:ニーチェ全集<8> 悦ばしき知識
  • 著者:ニーチェ(著)、信太正三(訳)
  • 価格:1,726円
  • Amazon:商品ページ

ニーチェの名言は、前向きになるものばかり

ニーチェの名言は、心が疲れている時や人間関係につまずいた時など、勇気付けられるものばかりです。短い短文の中にも深い意味が込められているニーチェの名言は、現在も多くの人に読まれ、文庫本にもなって販売もされています。前向きな気持ちになりたい時は、ぜひニーチェの名言を知っておくと少しは気持ちも晴れるかもしれません。

その他のテーマ

ART

CULTURE

CRAFT

FOOD

TIME