映画化もされたカクテル『雪国』。秘められた歴史とストーリーに迫る

2019.11.18

1958年に日本で誕生したウォッカベースのカクテル「雪国」。その生みの親であるベテランバーテンダーの半生と、名作カクテル誕生の秘話を描いた映画「YUKIGUNI」が公開されたのを機に、全国のカクテル好きの間で「雪国」が新たな注目を集めています。

ウォッカベースの「雪国」はコンクールの優勝作

「雪国」は、ウォッカとホワイトキュラソー、コーディアルライム(加糖したライムジュース)をシェイクし、ふちに砂糖をまぶしたスノースタイルのカクテルグラスに注いで、緑のミントチェリーを底に沈ませたカクテル。ウォッカのほろ苦さとホワイトキュラソーの甘さ、コーディアルライムジュースの甘酸っぱさが程よく融け合った、女性でも飲みやすい甘口の優しいお酒です。

「雪国」は、1958年にサントリー(当時は壽屋)が主催した「全日本ホーム・カクテル・コンクール」で、応募作品約24,000の中から見事第1位を獲得。60年以上経った今も全国で愛されています。

プロのバーテンダーなら誰しもオリジナルレシピを持っているものですが、全国に普及するカクテルになれるのはほんの一部だけ。では「雪国」が、海外でも提供されるほどのスタンダードカクテルになれたのはなぜか?もちろんカクテルとしての美味しさは言うまでもありませんが、ウォッカ、ホワイトキュラソー、ライムジュースという、どのバーにでも置かれている材料で作れることも要因の一つとなっています。

「雪国」を生んだバーテンダーは93歳の今も現役

「雪国」を考案したのは、93歳の今もなお現役のバーテンダーとして店に立っている、山形生まれの井山計一さん。1955年に故郷である山形県酒田市内で喫茶「ケルン」を開業して以来、60年以上にわたってシェイカーを振り続けています。

「雪国」が改めて脚光を浴びることになったのは、20191月から全国公開されたドキュメンタリー映画「YUKIGUNI」がきっかけでした。「雪国」誕生にまつわる秘話を描きつつ、約2年半の歳月をかけて井山さんの半生を追ったこの映画は、激動の時代を経ても古びない「美しさ」「愛おしさ」を巡る珠玉の物語として静かな反響を呼び、「雪国」という名作カクテルの存在を改めて世に知らしめました。

ちなみに「雪国」誕生の経緯についてご本人が語るところによると、たまたまウォッカとホワイトキュラソーとライムジュースが店に並んでいたので、この3つでいいやと思ったのがきっかけとのこと。レシピも初めは適当で、ミントチェリーも当初はグラスのふちに添えていたものの、先輩バーテンダーの助言でグラスの中に沈めるようになり、今の完成形ができ上がったそうです。

ウォッカカクテルの名作「雪国」の作り方

今ではスタンダードカクテルとして、お店によって様々なレシピが工夫され、個々のバーテンダーの持ち味が生かされている「雪国」ですが、ここでは映画「YUKIGUNI」のホームページ上で紹介されているレシピを元に、オリジナルの「雪国」の作り方をご紹介します。

なお考案者の井山さんは、ウォッカとホワイトキュラソーは昔ながらのサントリー製を使い続けているそうです。

材料

  • ウォッカ:2/3
  • ホワイトキュラソー:1/3
  • コーディアルライム:2tsp
  • ミントチェリー:1
  • 砂糖とレモン:適量(グラスをスノースタイルにするため)

作り方

  1. カクテルグラスのふちをレモンで濡らし、砂糖でスノースタイルにする。
  2. ウォッカ、ホワイト・キュラソー、ライムジュースをシェイクしカクテルグラスに注ぐ。
  3. ミントチェリーを沈めてできあがり。

「雪国」の名はあの名作小説から…ではなく

「雪国」と聞けば、誰しも川端康成の名作小説から名付けられたと思われがちですが、日経新聞に載った井山さんのコメントによると、バーの壁に誰かが書いた一節「人里離れた雪国の宿」が由来とのこと。

そんなちょっとした話のネタを懐に忍ばせつつ、今宵は行きつけのバーで、「雪国」をオーダーされてみてはいかがですか。

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