スポーツ界では賞金王となるとマスメディアに取り上げられ、ブランドのCMモデルやアンバサダーになるなど一気に注目されます。競艇の賞金王とはどのようなものか、決まるまでの仕組みや最後の賞金王決定戦について紹介します。
競艇の賞金王に関する基礎知識
まず競艇の賞金王がどのようなものか説明します。
賞金王とは何か
SGのレースとなると優勝賞金は数千万円以上にも達しますが、競艇選手は日々のレースでの賞金を獲得しています。それらを合わせ、1年間で最も多くの賞金を獲得した選手に贈られる称号が『賞金王』です。
賞金王決定戦の覇者が賞金王とは限らない
多くの選手にとって賞金王決定戦に出場し、そこで優勝して賞金王に輝くことが目標となっています。
しかし、賞金王決定戦で優勝しても、賞金王ということではありません。たとえば、それ以前のレースで多くの賞金を獲得していた選手がいた場合、優勝賞金1億円という多額の賞金を得ても、1年間の合計は少なくなることがあるのです。
ただし、賞金王決定戦の優勝戦に残った6名の選手は翌年のボートレースクラシック(3月)、ボートレースオールスター(5月)、グランドチャンピオン(6月)、オーシャンカップ(7月)、ボートレース メモリアル(8月)、ボートレース ダービー(10月)へ優先出場権が与えられます。
賞金王決定戦について
選手が賞金王を目指す上で、その高額賞金ゆえに出場を目標とする賞金王決定戦について紹介します。
現在はグランプリと呼ばれている
『賞金王決定戦』は毎年12月に行われるレースです。1986年に創設され、『グランプリ』とも呼ばれています。
なお年末は『グランプリシリーズ』も行われ、呼称が似ているので混同されることがありますが、レース自体は別モノです。
グランプリの出場資格は、その年の獲得賞金の上位18位までの選手です。
前述の通り、賞金王を目指す上ではぜひ出場したいグランプリですが、これに出場するためには、それ以前のレースで賞金を獲得していることが条件なのです。
一方で、グランプリシリーズの出場資格は、その年の獲得賞金の19〜60位の選手とされています。
レースのスケジュールと賞金額
グランプリは6日間のスケジュールで開催されます。
<1〜2日目> 獲得賞金ランキング7〜18位の選手12名で「トライアル1」を行います。その中で得点上位6名が「トライアル2」へ進出することができます。下位6名は3日目からグランプリシリーズに合流します。
<3〜5日目> 獲得賞金ランキング1〜6位の選手と、トライアル1で勝ち上がった6名と合わせて12名でトライアル2を行います。
<6日目> トライアル2の上位6名で「賞金王決定戦」を行い、下位6名は「順位決定戦」を行います。
グランプリともなると、その最高賞金額は1億円まで達します。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | |
優勝戦 | 1億円 | 4500万円 | 3100万円 | 2200万円 | 1900万円 | 1600万円 |
順位決定戦 | 1600万円 | 1000万円 | 700万円 | 500万円 | 400万円 | 350万円 |
トライアル2 | 53万円 | 42万円 | 34万円 | 29万円 | 26万円 | 24万円 |
トライアル1 | 45万円 | 34万5千円 | 27万円 | 19万5千円 | 16万5千円 | 13万5千円 |
2015年の競艇賞金王は山崎智也選手
ここでは、歴代の賞金王を紹介します。トップレーサーが一体どれくらい稼いでいるのか注目です。
2015年の競艇賞金王は山崎智也選手
山崎智也選手は当年度の賞金獲得順位1位でグランプリに出場し、予選と本選ともに堂々の1位。選手の目標ともいえる賞金王の座を手に入れました。山崎選手は2012年にもグランプリに輝き、これが2度目の獲得でした。
そんな山崎選手は1974年生まれで、1997年MB記念でSGレースデビューしました。続くダービーでSGレース初優勝を飾り、その年末には賞金王決定戦に出場した経歴を持つトップ選手なのです。
ちなみに山崎選手の奥様もボートレーサー(横西奏恵選手)という夫婦揃ってプロレーサーです。
2016年の競艇賞金王は瓜生正義選手
瓜生正義選手は2016年の住之江競艇場で行われたグランプリで優勝し、当年度の獲得賞金2億1342万円を記録し、賞金王に輝きました。
瓜生選手は1976年に生まれ、1995年に若松競艇場で行われた一般レースでデビューしています。注目されるものの、当初はグランプリ出場ラインの12位と13位を行き来する年が続きました。
しかし、2016年、12回目のグランプリレース出場でついに初優勝をおさめ、賞金王を掴み取りました。
2017年の競艇賞金王は桐生順平選手
2017年の賞金王は2億1224万円を獲得した桐生順平選手でした。
桐生選手は1986年生まれ。当時31歳という年齢で、グランプリレースでは1号艇・1コースからスタートを決めて逃げ切り、グランプリレース初優勝とともに賞金王に輝きました。
2018年8月時点での獲得賞金ランキング
気になる今年の賞金王ですが、候補選手をチェックしてみましょう。まず、8月時点でのランキングトップ10は以下の順位です。
順位 | 選手名 | 登番 | 支部 | 獲得賞金 |
1 | 毒島誠 | 4238 | 群馬 | 1億1127万8500円 |
2 | 白井英治 | 3897 | 山口 | 7862万2000円 |
3 | 井口佳典 | 4024 | 三重 | 6928万7800円 |
4 | 中島孝平 | 4013 | 福井 | 6622万4000円 |
5 | 峰竜太 | 4320 | 佐賀 | 6561万7000円 |
6 | 吉川元浩 | 3854 | 兵庫 | 6012万8000円 |
7 | 岡崎恭裕 | 4296 | 福岡 | 4961万5000円 |
8 | 笠原亮 | 4019 | 静岡 | 4906万5000円 |
9 | 桐生順平 | 4444 | 埼玉 | 4839万3959円 |
10 | 赤岩善生 | 3946 | 愛知 | 4644万3000円 |
1位毒島誠選手 1億1127万8,500円
現在堂々トップの毒島誠選手は4度のSGレース優勝実績を持つ注目選手です。初優勝は2013年丸亀競艇場で開催された第59回モーターボート記念レースでした。
その後、SGレースでの優勝は期間が空いたものの、2017年に第20回チャレンジカップで優勝を果たしました。2018年は第23回オーシャンカップ、第64回ボートレースメモリアルでも優勝しています。
トップクラスのターンスピードを特徴に持ち、圧倒的実力を有するという意味で、2017年度賞金王の桐生順平選手、茅原悠紀選手とともに「NGT(ニュージェネレーション軍団)」と呼ばれているのです。
2位白井英治選手 7862万2000円
2位の白井選手はターンを得意としていることから『関門のホワイトシャーク』との異名を持ち、小学生の頃から父親と競艇場で観戦していた経歴を持つ選手です。
1997年にデビュー後は着々と実力をつけ、2001年にはSGレースのオーシャンカップに初出場を果たしました。
しばらくはSGレースの優勝戦にも出走するも、敗退が続き、2014年の第60回ボートレースメモリアルで初タイトルを獲得しました。2018年に第28回グランドチャンピオンで優勝を果たし、2018年は賞金獲得ランキング2位に位置しています。
3位井口佳典選手 6928万7800円
2位と1000万円ほどの差で3位に位置するのは、井口佳典選手です。井口選手は1999年にデビューし、2005年にSGレースで初出走しました。
SGレースでの優勝は2008年の第35回笹川賞が初めてで、その年の第23回賞金王決定戦でも優勝を果たし、2008年度の賞金王に輝きました。2018年に賞金王となれば10年ぶり、2度目の達成でした。
2018年も賞金王を目指す熾烈な競争に期待
競艇の賞金王について、選出される仕組みやレース、過去の賞金王、そして今年の賞金獲得ランキングを紹介しました。
9月以降も賞金の大きなレースを控えていることやグランプリの賞金が1億円ということを考えると、今年の賞金王もまだまだ見逃せません。