ベルクソン哲学における『時間』とは?内容をわかりやすく解説

2019.11.10

時間とは何か?わたしたちがこのことを考えるとき、ベルクソンの哲学はひとつのヒントを与えてくれます。この記事ではベルクソンの時間論を、哲学用語を使わずにわかりやすく解説します。

ベルクソンが目指した哲学

まずはベルクソンという哲学者と、彼の哲学のテーマを紹介します。

哲学者ベルクソンとは

アンリ=ルイ・ベルクソン(1859-1941)はフランスの哲学者です。19世紀末から20世紀前半にかけて活躍し、世界的にその名が知られました。

主著は『時間と自由』『物質と記憶』『創造的進化』『道徳と宗教の二源泉』など。またその文章が評価されて、1927年にはノーベル文学賞を受賞しています。日本でも西田幾多郎などがベルクソン哲学の影響を受けました。

ベルクソンの関心

ベルクソンの関心は、哲学がずっと昔から扱ってきたテーマにありました。つまりこの世界の真実とは何かです。

真実を知ろうとするとき、科学はこの世界を外側から眺めます。しかしベルクソンの方法は違いました。わたしたちの精神や意識そのものに入り込み、そこから見てとれる真実を把握しようとしたのです。

このような態度をとると、わたしたちの意識には「時間」というものが深く関係していると、ベルクソンは気づきます。

ベルクソンの考える時間とは

わたしたちは過去の記憶にもとづき、未来を予想しながら、いまこの瞬間を生きています。つまりわたしの心には、わたしの生には、時間が土台にあるのです。

空間的な時間は本質ではない

たとえば人と待ち合わせをして相手がなかなか現れないとき、手持無沙汰で何もすることがなく、ふと腕時計をみて、時間の進みが遅れているように感じたことはないでしょうか。そんなときわたしたちはふつう、「まだ5分しか経っていない」と、時計の刻む時間のほうを正しいと思います。

でもベルクソンは時計の時間を本質ではないと言います。時計にかぎらず、太陽の運行も、素粒子の振動も、あらゆる時間がただ「空間的に捉えられた時間」だとして、時間の本質ではないと切り捨てるのです。

純粋な時間こそ本質だ

考えてみると、時間というのは空間的にしか捉えられません。時計の針や太陽の周期といった運動によって、連続しているはずの時間を人工的に区切っています。また「はるかな過去」「遠い未来」といった表現もやはり、時間を空間的に表しているにすぎません。

そんな空間的に捉えられた時間とは別に、純粋な時間が存在するとベルクソンは主張します。それは直観によってしか捉えられないけれど、わたしたち生命体にはなじみ深いはずだ、それこそが「持続」だと言うのです。

「持続」と「自由」

持続とは、ベルクソンによれば、「いまこの瞬間」という意識の絶え間ない流れです。

持続とは切断できない意識の連続性

時間というのはどこか外側にあって、わたしたちとは無関係に流れている、こういう見方にベルクソンは反対します。むしろ時間とはわたしたちの内側にある、より正確にいえば、わたしたちの意識が瞬間ごとに絶えず質的に変化しながらそれでいて続いている、この続いているというところにこそ時間というものがある、と言います。

つまり時間とは持続、切断できない意識の連続性なのだということです。運動によって区切られる二次的なものじゃなく、意識の運動そのものが時間だとも言えます。

自由とは意識の運動そのものに立ち返ること

ところでわたしたちは、わたしたちの意識の運動そのものを捉えることはできません。捉えようとしたときには、その瞬間はもう過ぎ去ってしまっているからです。人間の知性は固定したものしか扱えないようになっています。

であるなら、そんな知性を重視するよりも、意識の運動そのものに立ち返ろう。それが人間本来の自由であるとベルクソンは説きました。だから彼は、自由意思の問題を言語によって固定して論じることなどできないとも言ったのです。

科学的な時間とベルクソン時間

まとめると、物質の運動を外側から量的に把握するための均等な流れ、というのが科学的な時間。そして、精神の運動を内側から質的に把握するためのダイナミックな流れ、というのがベルクソン流の時間です。

ベルクソンは、科学全盛の時代にわたしたちが感じる時間というものを哲学的に体系立てて提示してくれた、ともいえるかもしれません。

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