一番有名なシェイクスピア作品『ロミオとジュリエット』の魅力を見なおす

2019.11.04

近代英文学の祖「シェイクスピア」が手がけた作品で、現代人が一番知っているストーリーは「ロミオとジュリエット」。悲しい結末の障害のある愛の物語は、世界中で愛されオマージュを捧げられています。その魅力を、もう一歩踏み込んで見なおしてみましょう。

人気の秘密。ロミオとジュリエットのあらすじを見直す

「ああ、あなたはどうしてロミオなの?」ジュリエットの有名セリフと共に、敵の家同士の男女の恋愛悲劇として著名な「ロミオとジュリエット」。その物語を当時の世相とともにご紹介します。

ロンドン市民にもヒットしたシェイクスピア戯曲

「ロミオとジュリエット」は1595年に完成したといわれています。それまでのお芝居は、貴族の館などで特別に催されていましたが、それを一般の市民にも受け入れられるように物語性を高めたのがシェイクスピアでした。

貴族でも庶民でも、恋する気持ちは同じ。特に、恋愛結婚などほとんどなかった貴族社会で「自分の気持ち」を貫こうとする2人の姿は、庶民にとっても共感しやすい人気作品でした。

思い詰めるふたりの姿は普遍的

キャプレット家とモンタギュー家は、街を二分する仇同士の家。ところが、各家の娘ジュリエットと息子ロミオは出会って恋に落ちます。両親は当然ながら、誰も2人に共感してくれません。そのような中2人を救おうとアドバイスをくれるのが修道僧ロレンスでした。

両家の争いは加速し、殺人や計略などによって、ふたりの距離はどんどん離れていきます。それをとめるべくロレンスが驚くべき計画を企てますが、最後はお互い死んでしまったと勘違いして、後追い自殺を図ります。5幕でまとめられたストーリーは、シェイクスピアにしてはシンプルなストーリーで、スピード感のある展開になっています。

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ロミオとジュリエットの時代背景は14世紀イタリア

「ロミオとジュリエット」は、じつは実話をもとに作られています。古代ギリシアや西欧の言い伝えをまとめつつ、当時の貴族の姿を基にした芝居はとても世相を皮肉ったものでした。

1300年ごろの実話がベース

敵対するキャプレット家とモンタギュー家は、1300年ごろにヴェローナに実在した家がモチーフ。当時、そこの御曹司と令嬢が恋に落ち、最後にはふたりとも死にいたりました。 この両家の争いは根が深く、11世紀ごろにはじまったドイツの聖職叙任権闘争にはじまる「教皇派」と「皇帝派」をバックにした争いでした。つまり家同士だけでなく、政治や行政も含めた大きな争いだったのです。

イギリスの芝居なのに、なぜイタリアが舞台?

シェイクスピアは、若い頃から、ヨーロッパ中の文学に触れる裕福な家庭に育ちました。そのため、ヴェローナの古いお話を聞く機会もあったようです。いろんな言い伝えやおとぎ話など聞きながら、自分の中に芽生えた物語の芽を育ててきたのでしょう。 そして、当時イタリアはルネサンス全盛。世界中の芸術の芽が、この国で生まれている時代です。当時最先端の芸術が集まったイタリアを舞台に、古いお話をベースにして制作されたのが「ロミオとジュリエット」でした。

ロミオとジュリエットは名言の連続!2人が紡ぐ言葉を英語で

シェイクスピアの戯曲は、有名なセリフのオンパレード。今でいう歌の歌詞のように、象徴的なセリフが現代の観客にも突き刺さります。その中から代表的なものをご紹介します。

初めての夜を過ごした朝の「恨み節」

ロミオはジュリエットの部屋に、深夜、壁をよじ登りやってきます。そしてふたりで過ごした明朝、ロミオがジュリエットにこう伝えるのです。

“Look, love, what envious streaks.  Do lace the severing clouds in yonder east.”

(ほら愛しい人よ、あの東のほうの、雲を繋ぐ嫉妬深い光の筋)。

「もう行かなきゃ、誰かに見つかる前」に、という言葉を詩的に情緒豊かに、そして芝居っ気たっぷりな言葉で表しています。

後追い自殺を測るジュリエットの愛の言葉

ジュリエットは、2人が結ばれるために、仮死状態になって周囲を騙すロレンスの計画を受け入れます。ところが、仮死したジュリエットを見て、ロミオは後追い自殺を図ってしまうのです。ジュリエットの仮死計画が、手違いでロミオには伝わっていなかったためでした。 本当の毒薬で死に至ったばかりのロミオを見つけたジュリエットの言葉です。

”To make me die with a restorative.  Thy lips are warm.”

(私を殺して、あなたのキスで。あなたの唇は、暖かいわ)

restorativeは回復や癒しの意味。あなたの癒し、暖かさで死に至ると表現で、愛する人への気持ちを述べています。それをあえて唇が暖かいという言葉をそえて、これからキスをする意味をこめています。

ロミオとジュリエットは芝居っ気たっぷりの悲恋物語

「ロミオとジュリエット」が愛されるのは、ちょっとベタと言われる「くさいセリフ」が、かえって若い2人の恋を盛り上げる役割をしているからかもしれません。セリフや当時の状況を感じながら、原作や舞台、映画などを見返してみると、また一層深くロミオとジュリエットの魅力に気付くことができるでしょう。

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