日本の世界遺産を学ぼう「福岡編」。「神宿る島」沖ノ島など見所を紹介

2019.10.29

九州には数多くの世界遺産があります。「屋久島」を始め、「天草地方の潜伏キリシタン遺跡」など、どれも後世に残したい物ばかりです。そんな世界遺産ですが、福岡県には2つの世界遺産が存在しています。福岡県にある世界遺産はどのような遺産なのかを紹介します。

沖ノ島と関連遺跡群

福岡県には「神宿る島」と呼ばれる沖ノ島があります。沖ノ島はどのような世界遺産なのでしょうか?

沖ノ島は「神宿る島」

沖ノ島は、九州と対馬の間にある小さな島です。島全体が御神体として国の史跡に指定されているという珍しくも神々しい島でもあります。

沖ノ島は、もともと航海の支えとなる道標でした。古代東アジアとの貿易・交流において、旅の安全と商売の成功を願って祀られていたのです。当時は奉献品を用いた祭祀も行われており、約500年に渡り信仰され続けていました。

奉献品は今でも残っており、発掘された約8万の出土品がすべて国宝に指定されています。他にも、沖ノ島の原始林は国の天然記念物に指定されており、文化・自然を含めた島全体が価値のある島だということがわかるでしょう。

また、神が宿る畏れ多い地でもあることから、現在、一般の人の上陸は禁止されてもいます。沖ノ島を知るためには、構成資産として選ばれている「沖津宮遥拝所」などを訪れる必要があります。

登録理由は「発展の助け」と「信仰」

沖ノ島が世界遺産に登録された主な理由は、航海に対する「発展の助け」と安全を願う「信仰」にあります。

直接的な助けとなったわけではありませんが、航海の安全を見守ることで古代東アジアとの貿易・交流を活発化させました。

また、継承され続けてきた信仰は文化的伝統の類い稀な例でもあり、沖ノ島の中津宮、大島の中津宮、九州本土の辺津宮の三つの信仰の場における宗像三女神への崇拝という形で、今もなお残り続けています。

これら出来事が、「人類の価値の重要な交流を示すもの」と「文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠」という登録基準に該当し、周辺施設も含めた「「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群」として、登録されたのです。

福岡県三池エリアにある世界遺産

福岡県にはもう一つ世界遺産があります。「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」です。明治時代に発展の助けとなった世界遺産群とはどのようなものなのでしょうか?

明治日本の産業革命遺産

福岡県にある文化遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」は、単一の建築物ではなく、複数の施設を合わせた世界遺産になります。

簡単にいってしまえば、施設が世界遺産に登録されているのではなく、工程や概念が世界遺産に登録されているということです。明治時代の日本で起きた産業革命に当たって必要不可欠な役割を果たした施設が、すべてまとめて登録されています。

また、遺産は、山口・福岡・佐賀・長崎・熊本・鹿児島・岩手・静岡の8県に点在しています。その規模の大きさから、日本の産業革命にどれだけ貢献したかが想像がつくでしょう。

福岡県には、「三池エリア」と「八幡エリア」と呼ばれる範囲に、それぞれ世界遺産登録されている施設があります。

三池炭鉱・三池港

三池エリアは福岡県大牟田市周辺を示すエリアです。エリア内には、三池炭鉱と三池港があります。1873年に操業を開始し、多くの石炭を輸送していました。

三池炭鉱である「三原坑」「万田坑」。石炭や資材を運ぶ「専用鉄道敷跡」。石炭の積出港である「三池港」が、三池エリアにある福岡県の世界遺産です。

三池炭鉱で採掘された石炭を専用の鉄道で港まで運び、そこから各鉄鋼施設などへ輸送していたということです。

八幡エリアにある世界遺産

福岡県の文化遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」は、複数の施設が合わせて登録された世界遺産です。三池エリアだけではなく、八幡エリアにも世界遺産登録された施設があります。

官営八幡製鐵所

八幡エリアにはもう一つ登録施設があります。北九州市にある「官営八幡製鐵所」です。産業革命により増加し続ける鉄不足に対して増設された、日本国内で2番目の製鉄所になります。

施設内には「八幡製鐵所 旧本事務所」「八幡製鐵所 修繕工場」「八幡製鐵所 旧鍛冶工場」があり、修繕工場は現在でも稼働中です。また、旧本事務所は使用されていませんが、旧鍛冶工場は創業当時からの資料室として使われています。

ただ、安全面などの理由から、現在内部の見学は禁止されています。その代わり、眺望スペースが設けられ、遠くからではありますが景観が眺められるほか、個人的な写真撮影も行うことができるようになっています。

遠賀川水源地ポンプ室

八幡エリアである中間市には「遠賀川水源地ポンプ室」があります。鉄鋼生産に必要な工業用水を遠賀川上流から取水し、八幡製鐵所に送水するために1910年に建設されました。

また、現在でも稼働中の施設で、八幡製鐵所で必要な用水の約7割を補っています。

操業開始時は蒸気ポンプとボイラーが使用されていましたが、現在では電気ポンプに変更されています。鉄骨骨組みのイギリス式煉瓦積みの建物は、モダンで歴史を感じられるでしょう。

ちなみに、八幡製鐵所同様、安全面などの理由から内部の見学は禁止されています。

文明発達の助けとなった文化遺産

福岡にある文化遺産は、どちらも文明発達のための助けとなった世界遺産です。沖ノ島は東アジアとの貿易に、造船や炭鉱は製鉄による産業革命に、といったように、どちらも日本の発展に欠かせないものでした。

どちらの世界遺産も、たとえば富士山や屋久島のように、あるいは姫路城や厳島神社のように、「美しさ」や「雄大さ・壮大さ」を感じられるわけではないかもしれません。しかし、そこには確かに日本が歩んできた長きにわたる歴史が感じられることでしょう。ぜひ、福岡に訪れた際は、これら世界遺産に訪れてみてください。

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