ナイトホークスの意味は、夜の街を過ごす人。今に通じるクールな絵画

2019.10.27

1942年に描かれたアメリカの絵画「ナイトホークス」は、日本では「夜更かしする人々」とも呼ばれる油彩画です。まるでイラストのように単純化された構図と色使いで、その夜の一場面は、まるで映画のように印象的。現代でも数々のオマージュを捧げられた人気の秘密を紹介しましょう。

ナイトホークスはホッパーの有名絵画

(画像はイメージ)

ニューヨーク在住のエドワード・ホッパーによって描かれた「ナイトホークス」は、タイトルを直訳すると「アメリカヨタカ」。アメリカに生息する夜行性のタカのことで、スラングとして「夜更かしをする人」の意味があります。

絵画「ナイトホークス」を観る:こちら

ニューヨークの深夜、ダイナーにて

夜、誰も歩いていないストリートにポツンとひかるアメリカン・ダイナー(安価な食堂)。白熱灯の光にさらされ、カウンターだけの店内の様子は、まるで映画の一場面のようにストリートから丸見えです。

中には初老のコックのほかに、客が三人。視線の交差しない男女と、背を向けた男性。酒を飲むこともなく、カウンターには、マグカップコーヒーだけがぽつんと置かれています。始発の電車をまっているのでしょうか、冷え切った時間が、ただ止まっているかのようです。

人工の光の効果とは

ホッパーは、本作品では、自然光(太陽の光)ではなく、都会の人口的な明るさを絵画に取り入れ描いています。ダイナーからこぼれる光は、暗いストリートを照らし、その一帯だけは、白々しい光にあふれています。

実際にニューヨークに住んでいた彼には見慣れた風景だったのかもしれませんが、それを写実的ではなく、イラストのようにデフォルメして描いたところが、新しい表現だったのです。ホッパーは、画家になる前にイラストレーターとして活躍しており、その片鱗が垣間見える画風です。

ナイトホークスだけじゃない!1920年代にはじまるアメリカン・シーン絵画

この時代のアメリカの絵画は、どことなく哀愁や不安感などを醸し出す作品が多く残されています。1920年代〜30年代のアメリカの振興都市、変わりゆく田舎を写実的に描いた絵画は、その不安定さを色濃く反映した表現がされています。

世界恐慌の不安を背景に

1929年に世界恐慌が起こり、建国以来、右肩上がりの成長を続けていたアメリカ合衆国も、そのあおりをうけて倒産する会社が続出して失業者が増え、街も田舎も一気にすさんでいくことになります。そんな姿をリアルに描いた絵画がアメリカン・シーン絵画といわれ登場しはじめます。

アーティストによっては、社会派のテーマや貧困のテーマとして描いたり、それぞれのモチーフを追い求めますが、ホッパーは、あえて人物を大きく描くことなく、孤独や疎外感を感じさせる作品が多数残っています。

ナイトホークスの登場人物はあなたかもしれない

ホッパーは、都会だけでなく田舎の風景の中に、ポツンと置かれた人物を描く作品も多く残しました。現代でも、各分野からオマージュを受けるホッパー作品の人気の秘密は、何なのでしょうか?

現実をドライに描く

ホッパーの画題の中心は、アメリカの何気ない風景です。ニューヨークの小さなオフィス、田舎のガソリンスタンド、季節外れのホテル・・。自然光も人工の光も分け隔てなく使って陰影を描き、表情の読めない登場人物が何を考えているか想像してしまう・・。もし、これが自分だったらと想像力を働かせる力が、ホッパーの作品にはあるのかもしれません。

モデルとなったニューヨークのダイナー

そのため、熱狂的なファンがおり、登場する風景が実際にはどこだったか研究している文献が散見できます。「ナイトホークス」で登場するダイナーは、実際には、どのストリートか?まで、研究されているのです。

ナイトホークスに惹かれる人々

「ナイトホークス」というスラングにも、オマージュを向ける人がたくさんいます。映画タイトルや、日本の楽曲タイトルにもなっているほど。シカゴ美術館に所蔵されている「ナイトホークス」をはじめ、現代に通じる人間の孤独を描いたのが、ホッパーの作品とも言えるでしょう。

シカゴ美術館の公式サイトはこちら

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