井伏鱒二の代表作を紹介。20世紀を代表する直木賞受賞作家の作品を読もう

2019.10.26

19世紀から20世紀は、今なお人気作家として名を馳せる文豪たちが数多く生まれた時期であり、日本文学が大きく発展した時期とも言えるかもしれません。この記事ではそんな20世紀の文豪の1人である井伏鱒二(いぶせますじ)の代表作品とその魅力をご紹介します。

井伏鱒二とは

井伏鱒二とは一体どのような作家だったのでしょうか。まずは森鴎外、芥川龍之介、谷崎潤一郎、安部公房とともに日本が誇る文豪となった井伏鱒二の素顔や交流関係をご紹介します。

20世紀を駆け抜けた文豪

井伏鱒二は20世紀の日本文学において多大な功績を残した文豪ですが、作家としてブレイクしたのは40代近くと遅咲きで苦労の人生を歩んだ人物でもあります。戦前戦後と激動の時代を生きながらも執筆活動を続け、数々の賞を受賞した井伏は、多くの弟子を取り、後進の作家たちの育成にも力を入れ、人格者としても知られる作家でした。

あの有名作家との交流

井伏鱒二と聞いて同じく20世紀の文豪である「太宰治」を連想する方も多いことでしょう。井伏は世の中に知れ渡る前の太宰に出会い、生涯の弟子として可愛がりました。名前が売れる度に堕落していく太宰を見て去った人が多い中、井伏鱒二は最後の最後まで太宰を気にかけていたと言われています。

ちなみに太宰治最後の妻である津島美知子を紹介したのも井伏鱒二であり、結婚式も井伏の自宅で行われました。井伏鱒二と太宰治の関係性が伺い知れますよね。

井伏鱒二の代表作

井伏鱒二はどのような作風の作家なのでしょうか。井伏鱒二の代表作を通してご紹介します。

井伏鱒二代表作「山椒魚(さんしょううお)」

山椒魚は井伏鱒二が初期に発表した作品です。国語の教科書にも採用されるほど大々的なヒットを記録した作品でもあります。自分の巣の中で大きく成長し、そのまま出られなくなった山椒魚が外の世界を眺めつつ悲観にくれる姿を描いています。

井伏鱒二代表作「ジョン万次郎漂流記」

ジョン万次郎漂流記は、井伏鱒二がその名を世間に知らしめるきっかけとなった作品です。本作は「直木賞」を受賞したことでも知られています。江戸時代に遭難した土佐漁師が、アメリカに渡った後、幕末における開国交渉で活躍した実在の人物の姿を伝記的に描いています。

物議を醸した代表作

井伏鱒二は、社会問題を題材とした作品も執筆しており、その中で社会的に物議を醸した作品もありました。

井伏鱒二代表作「黒い雨」

黒い雨は井伏鱒二の後期作品です。被爆した被害者の不自由な日常生活を描いた作品ですが、実際に戦時中に広島で被爆した親族の日記を元にしていたことから「本作はその日記を写しただけではないか?」といういわれのない指摘を受けてしまいます。後年その指摘が誤りであったことが認められていますが、それほど注目度が高かったとも言えます。この作品は過去地上波でも映像化されています。

井伏の筆跡に何を見る?

井伏鱒二は20世紀を代表する作家です。数多くの文豪を弟子にとり、その中には太宰治も含まれていました。彼の残した筆跡はいずれも現代文学の基礎となった偉大なものばかりです。井伏にしか描けなかった活字の園へと足を踏み入れてみてはいかがでしょうか?

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