銀河鉄道の夜の映画は猫が主役!?アニメならではの表現を解説

2019.10.25

1985年に映画化された「銀河鉄道の夜」は、宮沢賢治の原作と大きく違い、登場人物がほぼ擬人化された猫になっています。それでも、賢治の幻想的な世界にマッチし、当時も今も、賢治ファンや猫ファンからも含めた名作として愛されています。その表現に注目して映画を解説しましょう。

「銀河鉄道の夜」の映画原作は、宮澤賢治の不思議な童話

原作は、1934年宮澤賢治の死後に出版されました。賢治は、悩みながら何度もこの作品を書き直ししており、この童話の解釈については、研究者をはじめ熱心な賢治ファンも含めて様々な説があります。

少年2人が銀河鉄道にのって旅をする

孤独で貧乏なジョバンニが、星を見ながら丘の上で寝転んでいると、いつのまにか列車にのっている・・そして、そこには母を無くした親友・カムパネルラが同乗していました。ふたりは、いろいろな人に出会いながら、南十字星へと向かう旅を続けます。

「ほんとうの幸」を追求する物語

話中でなんども出てくるキーワードが「ほんとうの幸」(さいわい)。つまり、本当の幸せってなんだろうね?ということを、ふたりは考えながら旅をします。美しく幻想的な銀河の風景を見ながら、真剣に悩み続けます。

映画化された「銀河鉄道の夜」の登場人物が猫になったわけ

賢治の世界観を踏襲しながら、映画では人間のような猫が登場します。この思い切った原作の変更には、当時もいろいろ物議を醸したようです。

映画の原作は、漫画「銀河鉄道の夜」

映画化の下敷きになったのは、ますむらひろし作「銀河鉄道の夜」でした。ますむらは、この作品以外でも猫と人間が共創する世界を描いており、また「銀河鉄道の夜」以外の賢治の作品も同じ猫の姿を使って描いています。ますむらにとっても、宮澤賢治の作品を漫画化することはライフワークともいえるでしょう。

Amazon商品ページで本をチェックする:こちら

猫になったのは、賢治の影響

原作から大きく猫に変更することに、研究者などからは最初は反対されました。「猫にするなんてけしからん」ということです。これについて、ますむらはインタビューで、猫にしたのは思いつきではなく、賢治の影響と語っています。

「生きとし生けるものに命があるわけだから、人より猫が劣っているとか、そういうものの考え方自体がおかしいわけで。あらゆる生き物をモデルにして、あの人は書いているわけですからね」

引用:宮澤賢治のこと ますむらひろしインタビュー

あの人=賢治です。ますむら自身賢治の愛読者で、賢治の考えをもとに表現方法を変えたというわけでした。この漫画はすぐに話題になり、発売1ヶ月後には、映画化の企画がもちあがったということです。

「銀河鉄道の夜」は、子供にも分かりやすい映画に

アニメ映画「銀河鉄道の夜」は、猫が話すということもあり、子供にも親しみやすい、よりファンタジックな作品になりました。文部省(当時)推薦にもなり、子供の頃に見たことがある人も多いのではないでしょうか?

より具体的な銀河の世界を構築

想像を掻き立てる賢治の詩のような文章が魅力的な本作品。少年らしい生き生きとした猫が活躍する冒険活劇のようにも見えますが、謎につつまれたどこか哀切な雰囲気は、見事に表現されています。また、セリフが現代のアニメよりも少なく、映し出される銀河の風景を堪能できる構成ともなっています。

映画だから・・音楽にも注目!

映画内で流れる音楽は、細野晴臣が担当しました。無限を感じる音楽は、プラネタリウムで星をみているような穏やかな気持ちを起こします。音楽が楽しめるのは、映画ならでは。視覚聴覚をフル活動して、宮沢賢治の世界を楽しめます。映画は、現在でもDVDなどで見ることができます。

  • 音楽「銀河鉄道の夜・特別版」をAmazon商品ページでチェック:こちら
  • DVD「銀河鉄道の夜」をAmazon商品ページでチェック:こちら

擬人化された猫だからこそ、伝えやすいこともある

山形県生まれのますむらは、同じ東北岩手県出身の宮澤賢治に影響を受けて漫画家になったそう。猫を起用したのは、思い切った表現の変更でしたが、そのために多くの子供たちに親やすくなったことも間違いないでしょう。原作が分かりにくくて読めなかった方などの入門編としても、おすすめの漫画や映画です。

関連記事:銀河鉄道の夜を徹底解説。謎に満ちた宮沢賢治の童話小説の秘密

関連記事:宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を名作絵本で。幻想的な世界にひたる。

関連記事:多才な童話作家『宮沢賢治』の代表作を紹介!有名な詩作品も

その他のテーマ

ART

CULTURE

CRAFT

FOOD

TIME