ヘッドホン難聴について知っておこう。耳の健康を守るための予防方法

2019.10.25

ヘッドホン難聴は、ヘッドホンを使い大音量で長時間音を聞き続けることにより引き起こされる難聴の一種です。重症化すると回復が困難な病気であるともいわれています。難聴に対する理解を深め、ヘッドホン難聴にならないための効果的な予防法を紹介します。

ヘッドホン難聴に注意

近年問題になっている『ヘッドホン難聴』について、症状や世界の状況などを解説します。

ヘッドホン難聴とは

『ヘッドホン難聴』とは、ヘッドホンで大きな音を聞き続けることにより引き起こされる『音響性難聴』のことをいいます。

ヘッドホン難聴は、ゆっくりと進行し、両方の耳の聞こえが少しずつ悪くなっていきます。そのため、初期の段階では難聴を自覚しにくいことが特徴です。

ヘッドホン難聴における他の症状としては、耳が詰まった感じや耳鳴りを伴うことが挙げられます。重症化すると聴力の回復が困難なため、このような耳の違和感を覚えた場合は、できるだけ早めに専門医を受診することが大切です。

WHOも警鐘を鳴らす

国際連合の専門機関である『WHO(世界保健機関)』は、10億人を超える世界の若者たちが、ポータブル音楽プレーヤーやスマートフォンによる音響性難聴のリスクにさらされているとして、主に先進国の若者に対して警鐘を鳴らしています。

現在、世界では既に3億人を超える人々が日常生活に支障をきたす聴力障害を抱えており、中・高所得国における12~35歳の年齢層では、約半数がヘッドホンなどで危険レベルの音響にさらされているといわれています。

ヘッドホン難聴予備軍の若者たちに向けて、WHOからさまざまな予防策が提案され、難聴者を増やさないための啓発活動が盛んに行われているのが現状です。

ヘッドホン難聴(イヤホン難聴)|厚生労働省eーヘルスネット

難聴について知ろう

ヘッドホン難聴は、さまざまな種類に分類される難聴の一つです。耳の部位を知り、難聴の種類や難聴による弊害について理解を深めましょう。

耳の部位

耳は、大きく分けて三つの部分から成り立っています。

  • 音を集めて鼓膜まで伝える『外耳(がいじ)』
  • 音を増幅する『中耳(ちゅうじ)』
  • 音の振動を電気信号に変換する『内耳(ないじ)』

また、音が耳を伝わるときは、以下の順でそれぞれの部位を通ります。

  1. 『耳介(じかい)』が空気の振動を音として集める
  2. 『外耳道(がいじどう)』が音を鼓膜に導く
  3. 『鼓膜(こまく)』が音を受け振動する
  4. 『耳小骨(じしょうこつ)』が振動を増幅する
  5. 『蝸牛(かぎゅう)』の中のリンパ液が振動する
  6. 『有毛細胞』が刺激を受け、その刺激を電気信号に変える
  7. 『蝸牛神経』が電気信号を脳に伝える

その他、耳には、鼓膜の裏にある空間『中耳腔(ちゅうじくう)』や、体の平衡感覚を保つために必要な器官『半規管』などの部位があります。

難聴の種類

難聴は、音を聞き取りにくくなる原因により、大きく三つの種類に分けられます。

伝音性難聴 鼓膜の損傷や中耳炎の後遺症などで、音が伝わりにくくなることにより起こる難聴です。外耳道炎や急性中耳炎などでは一時的な症状である場合も多く、薬物投与などで改善することがほとんどです。
感音性難聴 老化による衰えなどにより、神経や脳などの感覚器に障害が発生した場合に起こる難聴です。突発性・騒音性・加齢性・先天性難聴などがあります。補聴器を使用することにより音の聞こえ方が改善する可能性があります。
混合性難聴 伝音性難聴と感音性難聴の両方の特徴を併せ持った難聴です。一般的に、症状に応じて治療をしたり補聴器を利用したりします。

難聴による弊害

難聴になると、社会生活においてさまざまな支障をきたす可能性があります。

  • 必要な音が聞こえなくなるため、日常生活における多くの場面で悪い影響を及ぼす
  • 車が近付く音や踏切の音などが聞こえず、危険を察知する能力が低下する
  • 家族や友人とのスムーズな会話ができなくなり、コミュニケーションがうまくいかなくなる
  • 耳から入る情報の量が減り、内容も不確かになるため、自分に自信が持てなくなる
  • イライラするなどストレスを溜めやすくなり、精神的に不安定な状態になる

これらの他に、難聴は加齢・高血圧・肥満・糖尿病などと共に、認知症を発症する要因の一つとされています。

難聴により脳への刺激が少なくなり、脳が萎縮したり神経細胞の弱まりが進んだりすることが、認知症を引き起こす原因になると考えられています。

音量や時間の目安

難聴にならないために理解しておきたい音圧と時間の関係を解説します。

音圧に耐えられる時間の目安

『OSHA(米国労働安全衛生庁)』により定められた、音圧のレベルごとに耐えられる最長限度時間の目安は以下の通りです。

90db 8時間 カラオケ店内の音
100db 2時間 電車通過時の高架下の音
11db 30分 車のクラクションの音
120db 耳を傷めるおそれがあるため回避 飛行機のエンジン音

難聴のリスクと推奨される音量や時間

自動車の騒音程度である85dB以上の音を聞く場合、音量と聞く時間に比例し、徐々に難聴を引き起こしやすくなります。また、100dB以上の音量なら、急に難聴が生じる可能性もあります。

約80dBで1週間当たり40時間以上、約100dBで1週間当たり75分以上聞き続けると、難聴になりやすいとされるため、目安として覚えておくとよいでしょう。

難聴のリスクがほとんどないといわれる音量は、ヘッドホンを装着した状態でも外からの会話が聞き取れる程度の音量で、数値で表すと65dB程度です。

ヘッドホンの最大出力は100-120dB程度であるため、常に最大音量の60%以下に音量を設定すればよいということになります。

ヘッドホン難聴の予防策

ヘッドホンで音楽などを聴く場合に、難聴を防ぐための効果的な予防法を紹介します。

音量や時間の制限

日頃聞いているヘッドホンの音量が大きい場合は、音量を下げることが重要です。ヘッドホンを装着し音を聞いている状態で、外部の音がわずかに聞こえる程度か、その音量から少し上げた音量を目安にしましょう。

最初は物足りなく感じるかもしれませんが、慣れてくれば気にならなくなります。

また、ヘッドホンで音を聞く時間を減らすことも大事です。音量の大小に関わらず、長時間のヘッドホン利用は、それだけで難聴を引き起こすリスクが高まります。

1時間使用するごとに15分程度休憩を取り、できればヘッドホンを外して耳を休ませるよう心掛けましょう。

連続日数を減らす

ヘッドホンを毎日のように使い続けていると、気付かないうちに音量が大きくなりがちです。長時間利用を避けるだけでなく、ヘッドホンを使わない日も設けるようにしましょう。

定期的に耳を休める日を作ることで、難聴のリスクを下げるだけでなく、ヘッドホンの継続利用による聴力の低下をおさえる効果も期待できます。

毎日のようにヘッドホンを使い続け、聴力が徐々に低下していくと、聞き取るためにヘッドホンの音量を上げざるを得ない悪循環に陥る可能性もあります。

ヘッドホンの機能

ヘッドホンの中には、周囲の騒音を低減する『ノイズキャンセリング機能』を搭載した製品も多く販売されています。

外部からの騒音をおさえることにより、ヘッドホンの音量を上げ過ぎることが少なくなり、結果として難聴の予防に役立ちます。

機能だけでなく、密閉型のヘッドホンを選ぶなど、形状や構造によっても遮音性を高められるため、できるだけ音量を上げずにヘッドホンの音を聞く環境を作れるよう心掛けることが重要です。

耳の健康を守ろう

ヘッドホン難聴とは、ヘッドホンで大きな音を聞き続けることにより引き起こされる難聴です。音量の上げ過ぎや長時間利用などが、ヘッドホン難聴の主な原因とされています。

音量や使用時間を制限したり、ヘッドホンを使わない日を設けたり、音量の上げ過ぎをおさえる機能を搭載した製品を使用したりすることで、ヘッドホン難聴のリスクを低減することが可能です。耳の健康を守りながら音楽を楽しみましょう。

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