シェイクスピアの全喜劇。タイトル一覧から特徴まで紹介

2019.10.22

偉大な戯曲作家シェイクスピアは、ハムレットやリア王などの悲劇だけでなく、愉快で奥深い名作喜劇も数多く生み出しています。この記事では、シェイクスピア喜劇の作品一覧から、それぞれの簡単なあらすじまで全貌をご紹介します。

シェイクスピア喜劇の特徴

シェイクスピアの記したとされる戯曲37作品は、歴史劇、悲劇、喜劇の大きく3つに分類することができます。

歴史劇と悲劇はタイトルに主人公の名前を冠しているのに対して、喜劇ではタイトルに個人の名前が出てくることはありません。そして、喜劇のなかでも、笑いの本質があまりに苦く問題をはらんだ作品を「問題劇」、最晩年の4作品を「ロマンス劇」と呼んで区別しています。

シェイクスピア喜劇の特徴は、観客が登場人物を俯瞰的に眺めるという点です。悲劇においては、観客は主人公に感情移入し、その目線で劇の世界に身を投じています。

一方で、喜劇の観客は登場人物の群像劇全体を見渡しながら、人間の絡み合いの滑稽さや、行き違いの面白さなどを楽しみます。シェイクスピアの喜劇は、制作年代が晩年になるほど、ユーモアと哀愁が加えられた複雑な味わいへと変化しています。

シェイクスピア喜劇のタイトル一覧とあらすじ

続いて、現在もシェイクスピアの喜劇として分類されている作品を、シェイクスピアの初期と中期の作品に分けてご紹介します。 

シェクスピア初期の喜劇

間違いの喜劇』(Comedy of Errors1592 – 1594年)

幼い頃生き別れた双子の兄弟と、それぞれに仕える同じく双子の召使いたちによる取り違えの喜劇。

『じゃじゃ馬ならし』(Taming of the Shrew1593 – 1594年)

じゃじゃ馬の姉が夫の手によって従順な妻に仕立て上げられ、最後には夫に従わないお淑やかな妹に説教をするという逆転の喜劇。

『ヴェローナの二紳士』(The Two Gentlemen of Verona1594年)

ミラノ大公の娘シルヴィアを巡って対立するヴァレンタインとプローテュース、プローテュースの恋人で男装をして様子を伺うジューリアの4人をめぐるドタバタラブコメディ。

『恋の骨折り損』( Love’s Labour’s Lost1594 – 1595年)

恋愛禁止の誓いを立てたナヴァル王とその家臣たちは、フランスの王女と貴婦人たちがやってくると、たちまち誓いを破り互いに隠れてアプローチします。

シェイクスピア中期の喜劇

『夏の夜の夢』(A Midsummer Night’s Dream1595 – 96

妖精王と女王が仲違いする森のなかで、妖精パックの惚れ薬を使ったイタズラで混乱する2組の男女の関係を描いた幻想的な喜劇。

『ヴェニスの商人』(The Merchant of Venice1596 – 1597年)

ヴェニスの若者バサーニオと架空の町ベルモントの美女ポーシアをめぐる恋物語と、キリスト教徒の商人アントーニオとユダヤ人の金貸しシャイロックの命をかけた裁判を軸にした物語。

『ウィンザーの陽気な女房たち』(The Merry Wives of Windsor1597年)

女たらしで金欠の老騎士フォルスタッフがウィンザーの女房たちを誘惑してお金を巻き取ろうとするも仕返しにあうというシェイクスピア唯一の同時代劇。

『から騒ぎ』(Much Ado About Nothing1598 – 1599年)

普段は口ゲンカばかりのベネディックとビアトリスが友人たちの計略で互いに両想いだと思い込み恋に落ちます。

『お気に召すまま』(As You Like It1599年)

宮廷から追放され、男装して森へと向かう元公爵の娘ロザリンドと、ロザリンドに恋をしていて、兄に命を狙われたオーランドー、それに悪役や道化を交えて最後には大団円へと向かう複雑な喜劇。

『十二夜』(Twelfth Night, or What You Will1601 – 1602年)

海で遭難した男女の双子の片割れで、男装して公爵オーシーノーに仕えるヴァイオラと、伯爵令嬢のオリヴィア、双子の兄セバスチャンをめぐる恋の堂々巡り。

シェイクスピアの問題劇とロマンス劇

最後に、かつては喜劇(一部は悲劇)とされながら、内容から新たに「問題劇」「ロマンス劇」というカテゴリーに分類された作品をご紹介します。

シェイクスピアの問題劇

作家の死後すぐ喜劇に分類されていた作品のうち、3作品がその後「問題劇」に分類されるようになりました。

『終わりよければすべてよし』(1602 – 1603年)と『尺には尺を』(1604年)では、暗闇に乗じた入れ替わりによって女性たちが困難を脱する筋が共通しますが、他の喜劇のような純粋な恋の成就には終わりません。『トロイラスとクレシダ』(1601 – 02年)は、主人公の男女が死なないという点では他の悲劇とは異なるものの、女性の心変わりによって二人が引き裂かれたまま物語は幕を閉じます。

シェイクスピアのロマンス劇

ロマンス劇に分類される『ペリクリーズ』(1607 – 1608年)、『シンベリーン』(1609 – 10年)、『冬物語』(1610 – 1611年)、『テンペスト』(1611年)の4編は、シェイクスピアの4大悲劇の後に書かれた最晩年の作品群です。

いずれの作品も、登場人物が、不運や嫉妬、疑念が要因で離別したり、命を奪われたりする点で、悲劇と同様の筋書きを持ちます。但し、劇の結末は、誤解や怒り、困難が解消し、親子や夫婦が再会するという希望に溢れたものとなっています。

シェイクスピアの喜劇は現代にも通じるエンターテイメント

『ハムレット』などの悲劇で知られるシェイクスピアですが、ご紹介したように喜劇においても多くの名作を残しました。生き別れの双子や男装した女性の活躍など、その後のエンターテイメントの元となったような設定や展開をシェイクスピアはこの時すでに生み出していたのです。

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