謎に包まれた農民の画家ブリューゲルの代表作を紹介

2019.10.20

ピーテル・ブリューゲル(1525年から1530年頃~1569年)は、ネーデルランドの画家で、多くの画家を出したブリューゲル一族の父です。農民の子として生まれ「百姓ブリューゲル」といわれました。謎が多い画家ブリューゲルの代表作をご紹介します。

ピーテル・ブリューゲルについて

ブリューゲルの生涯を知るための資料が極めて少ないため、彼の伝記は逸話が多く正確ではないともいわれています。

二人の息子

絵の才能があり画家になった二人の息子がいました。父ブリューゲルと同じ名前の長男であるピーテル・ブリューゲルは「地獄のブリューテル」、次男は「花のブリューテル」のあだ名でよばれました。父が亡くなってから二人の息子は父の作品をコピーしましたが、父親の腕前には及びませんでした。

イタリア旅行

アントワープで画家の組合に入ってからブリューゲルはフランスのリヨンを通ってイタリアに入ったと推測されています。ローマにもしばらく滞在してローマの名士に高く評価されます。

イタリアのシチリア島へ渡り、パレルモの宮殿にインスプレーションを得た彼は「死の勝利」などの傑作を描きました。

ブリューゲルの魅力

約4年後に再びアントワープに戻ったブリューゲル。「四方の風」という屋号の大きな出版社があり、一流の画家や版画師が働いていました。ブリューゲルもここで働き、「大きな魚は小さな魚を食う」(1556年)を最初に描きました。

現在はウィーンのアルベルティナ・アカデミーに所蔵されている作品は、魚を食べすぎて大きくなった魚が小さい人間たちにお腹を裂かれている様子が描かれています。遠くに街が見えるなど、細かな描写がブリューゲルの魅力であり特徴です。

ピーテル・ブリューゲルの代表作 初期から中期の作品

「子供の遊戯」1560年

現在のヨーロッパの子供たちにも通じる親しみのある遊戯。200人以上の子供たちが、約80種の遊戯を楽しんでいます。しかし、ブリューゲルは子供の遊戯の百科事典のようなものを展開したわけではありません。

人類の営みとは、子供の遊戯に他ならないということを諷刺的な視線で描きました。子供たちは遊びに没頭しながらも笑ってはいません。表情もなんだか子供らしくはありません。現在はウィーン美術史美術館に所蔵されています。

「狂女フリート」1562年

フリートは魔女のような醜い老女という意味です。数々の戦利品を抱えて剣を持った狂女は火の海のような地獄を恐れることなく、他の魔女たちも悪魔を征服します。

男の臀部から出される金を貪る女たとは強欲を、男の背中の青い船は「放縦」を、硝子玉は「虚栄」を、散乱する酒瓶は「酩酊」など、罪や悪を表わしています。現在はアントワープのマイエル・ヴァン・デン・ベルフ美術館に所蔵されています。

「死の勝利」1562年

イタリア旅行中に訪れた島、地中海に浮かぶシチリア島のパレルモにある宮殿にインスピレーションを得て描かれたといわれています。死の勝利とは、人間が過ちを犯す罪のことです。激怒、大食、情欲、食欲などに対しての懲罰は、さまざまな残酷な処刑で命を奪われている様子が描かれています。現在はマドリードのプラド美術館に所蔵されています。

ピーテル・ブリューゲルの代表作 後期の作品

「雪中の狩人」1565年

イタリア旅行の後にオーストリアのインスブルックで描かれたといわれている作品です。獲物のウサギを背負って犬を連れた狩人の姿が描かれています。広々とした谷間から冷たい空気を感じ、凍った池でスケートを楽しんでいる子供たちの歓声が聞こえてくるようです。現在はウィーン美術史美術館に所蔵されています。

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「怠け者の天国」1567年

学者、兵士、農民の階級の男性が代表が揃って、テーブルの下で寝ています。彼らは働かずに食べたいだけ食べ、眠りたいだけ眠っています。焼かれた七面鳥は銀の皿に横たわり、ナイフが刺さった豚が走り、食べかけの殻付き卵が歩いています。怠け者や、道徳のない人間を痛烈に風刺した作品です。現在はミュンヘンのアルテ・ピナコテークに所蔵されています。

「農民の結婚式」1568年

ブリューゲル最晩年の作品です。貧しい農民の結婚式を描いています。紙で出来た王冠を被っている花嫁、自分の頭のサイズより大きな帽子を被った子供は皿を指で舐めています。空腹の演奏者は羨ましそうに食べ物の方を凝視し、お客たちは運ばれてきたプティングを夢中で食べています。

花婿の存在が分からない作品で、プディングを配っている男性か、お酒を注いでいる若者ではないかといわれています。また、一番右側に座っている黒い服を着た男性はブリューゲル自身だともいわれています。現在はウィーン美術史美術館に所蔵にされています。

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「バベルの塔」だけではないブリューゲルの魅力

ブリューゲルの有名な作品に「バベルの塔」があります。旧約聖書の創世記にある「バベルの塔」は天に到達できるようにと建てられましたが、不可能で崩れてしまったという伝説の建物を彼はイマジネーションで見事に描きました。細部まで生き生きと鮮明に描写されているので、「いつまでも魅入ってしまう」ことが彼の作品の最大の特徴と魅力です。

米粒ほどの大きさを拡大してみると、その緻密な描写に圧倒されます。「バベルの塔」以外にも素晴らしい作品がありますので是非、興味のある方は鑑賞してみてはいかがでしょうか。

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