世界遺産「富士山」が、自然遺産ではなく文化遺産で登録された理由とは?

2019.10.18

日本の山といえば富士山です。その美しさは日本を代表するといって過言ではありません。そんな富士山ですが、世界遺産に登録されています。ですが、富士山は自然遺産ではなく文化遺産だということを知っていますか?富士山の構成資産や問題について紹介します。

富士山は文化遺産?その登録理由とは

一般的に山は「自然遺産」に登録されます。山は自然なのですから当然といえるでしょう。ですが、富士山は文化遺産に分類されています。なぜ、富士山は文化遺産なのでしょうか?

正式登録は「信仰の対象と芸術の源泉」

富士山が文化遺産な理由は、富士山そのものが世界遺産に登録されているのではなく、富士山に対する信仰や芸術面で登録されているからです。

正確な登録記名は「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」であり、富士山だけではないことが分かります。富士山を信仰している神社や関係建築物。富士山も含めた芸術的な数々の自然も、遺産の構成範囲となっているのです。

富士山は昔から様々な芸術で使われてきました。古くは「万葉集」を始め、「古今和歌集」「源氏物語」「浮世絵」など、数多くの文学や芸術に登場します。日本古来の芸術の源泉ともいえる富士山は、その景観の美しさから、信仰の対象になることも多々ありました。それら「芸術」「信仰」「景観」の3つの観点から、世界遺産の評価基準に満たしていると判断されたため、富士山は世界遺産となったのです。

つまり、富士山の世界遺産登録は、富士山という一つの山が登録されたというよりも、富士山を取り巻く一連の日本の文化が登録されたということです。これが、富士山が自然遺産ではなく文化遺産で登録された理由です。

文化遺産に含まれる構成資産

富士山の構成資産は数多くあります。まとめている部分もありますが、構成資産の紹介です。(順不同)

  1. 富士山域
  2. 冨士御室浅間神社
  3. 山宮浅間神社
  4. 村山浅間神社
  5. 須山浅間神社
  6. 冨士浅間神社
  7. 河口浅間神社
  8. 富士御室浅間神社
  9. 御師住宅(旧外川家住宅)
  10. 御師住宅(小佐野家住宅)
  11. 山中湖
  12. 河口湖
  13. 忍野八海(出口池・お釜池・底抜池・銚子池・湧池・濁池・鏡池・菖蒲池)
  14. 船津胎内樹型
  15. 吉田胎内樹型
  16. 人穴富士講遺跡
  17. 白糸ノ滝
  18. 三保松原

引用:富士山とことんガイド

富士山をよく知るためには?

富士山は「日本一高い山」であり、これは誰でも知っていることだと思います。ですが、富士の自然や信仰など、周辺知識に関しては意外と知らないということも多いでしょう。富士山をより知るためのおすすめなガイドを紹介します。

静岡県富士山世界遺産センター

静岡県富士山世界遺産センターは、「永く守る」「楽しく伝える」「広く交わる」「深く究める」の4つの基本コンセプトから富士山学を伝える施設です。

施設では、富士の景色を映したシアターや、富士に関する信仰、美術や文学に表された富士山などが紹介されています。また、富士山に関するライブラリーなども設立しており、富士山の歴史や魅力を余すことなく知ることができます。

特に、景色を映したシアターは実際に富士山に登っているような気分にさせます。展示賞を移動するためにはらせんのスロープを登る必要があり、より登山らしさを実感できるでしょう。手軽に富士山を体験できる、子供やお年寄りに優しい施設です。

  • 店舗名:静岡県富士山世界遺産センター
  • 住所:静岡県富士宮市宮町5−12
  • 最寄りの駅:JR身延線富士宮駅から徒歩8分
  • 電話番号:0544-21-3776
  • 営業時間:9:00〜17:00
  • 定休日:毎月第三火曜日(祝日の場合は翌日休館)
  • 公式HP

富士山とことんガイド

富士山とことんガイドは、富士山の登頂をサポートする静岡県富士山世界遺産課公認のサポートサイトです。

富士山の登頂方法やルール、安全対策だけではなく、富士山の自然を満喫できるルート紹介なども行っています。

また、世界遺産登録についても詳しく紹介されています。登録までの経歴や芸術の源泉の紹介、構成資産なども知ることができ、富士山への理解が深まるでしょう。

マナーを守って楽しく登頂するためにも、事前に確認しておきたい公式サイトです。

近年の富士山問題

連日多くの登山客が訪れる富士山。芸術的ともいえる景色を見に、日本人だけではなく多くの外国人観光客も訪れます。ですが、そんな富士山に、近年ある問題が生じています。いったいどのような問題なのでしょうか?

ゴミの放置問題

近年、文化遺産に登録されたこともあって、多くの登山客が訪れるようになりました。これに応じて、近年特に重大な問題となっているのが「ゴミ問題」です。

本来、富士山に関わらず、登山をする際のゴミの持ち帰りは基本です。山の自然を守るためですので、それは当然といえるでしょう。ですが、そのようなマナーを守らない登山客も多くいるのです。

もちろん、ボランティアや管理委員会による定期的な清掃作業は行っていますが、後から捨てていく人も多く、ゴミ問題が解決することは難しくなっています。さらには、電化製品やタイヤなどを不法投棄する人もおり、こちらも深刻な問題となっています。

将来的に文化遺産取り消しになるかも

深刻なゴミ問題によって、文化遺産が取り消しになる可能性もあります。

世界遺産は登録することで終わりではなく、6年ごとに定期的な監査が入ります。「登録した時の状態と変わりはないか?」を確認し、管理状況によっては世界遺産登録を取り消すこともあるのです。

富士山登録の際、ユネスコの諮問機関「イコモス」から「景観の保全」と「登山客(観光客)への対応」を指摘されました。ですが、ゴミ問題によって景観の保全が難しくなるだけではなく、「ゴミの始末ができていない」と対応が疑われています。

根本的なゴミ問題を解決しないことで、近い将来、富士山は世界遺産登録から外される可能性があるのです。

ゴミを片付けるだけでは、いつまでも変わることはありません。各個人がゴミ問題に向き合うことで、富士山の景観を守って行く必要があります。

日本一の文化遺産

富士山が美しいのはもちろんですが、忍野八海や河口湖など、自然豊かで美しい場所は沢山あります。もちろん、浅間神社や人穴富士講遺跡など、歴史が感じられるのも見所の一つです。すべて合わせて文化遺産というのも納得といえるでしょう。

しかし近年のゴミ問題は、せっかくの世界遺産登録のための努力を水泡に帰してしまう可能性をも含んだ深刻な問題です。近い将来、富士山は世界遺産から取り消しになるかもしれないのです。そうならないためにも、また日本が誇る富士山の景観と自然を守る意味でも、私たち一人一人が自覚をもってマナーを守ることが大切ですね。

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