吉川英治の傑作「宮本武蔵」。あの人気漫画の原作にもなった作品を紹介

2019.10.17

言わずと知れた天下無双の剣豪「宮本武蔵」。現代においてもその武名は最強の称号として世界規模で認知されています。しかし伝説の剣豪のエピソードが大衆にも広く知られるようになったのは、少なくとも昭和初期からです。そのきっかけとなった作品が、20世紀を代表する時代小説家の「吉川英治」による長編小説「宮本武蔵」なのです。

吉川英治の宮本武蔵

三国志を日本で広めたことでも知られる吉川英治は、既存の時代小説を新しい観点で大衆向けにアレンジし、数々の名作を生み出しました。そんな彼が戦争へと傾いていく日本で発表したのがのちの代表作「宮本武蔵」でした。ここからは宮本武蔵の概要と、出版当時の時代背景や作品による大衆への影響などについて解説していきます。

吉川英治の大出世作

当時、徐々に作家として頭角を現わしつつあった吉川英治にとって、爆発的な人気を獲得した宮本武蔵は生涯一番といってもいい出世作品でした。

現代において形作られている宮本武蔵のイメージを確立したともいえる本作は、「最強の剣豪」「天下無双」「二刀流」といった要素を世に広く知らしめたと言われています。本作が発表されなければ、「宮本武蔵」というテーマは、今ほどの人気を獲得してはいなかったかもしれません。

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発表時期の時代背景

宮本武蔵が発表された時期は、日本が太平洋戦争へと向かっていく1935年からの4年間であり、日本における最強の侍という武人としてのイメージは意欲高揚などに繋がるため、専門的な立場の人間以外に当時の時流に乗った大衆の間でも人気を集めていました。

なお本作が執筆されたのは、当時の文豪同士による宮本武蔵の論争がきっかけと言われています。

宮本武蔵のストーリー

一般的に知られる宮本武蔵のイメージは、二刀流の他に巌流島の決闘など大まかな部分のみです。しかしそれらは本来の宮本武蔵のストーリーの1要素に過ぎず、伝説の剣豪のイメージとしてはあまりに物足りません。そこでここからは参考として、宮本武蔵の大まかな内容や構成などについて紹介していきます。

剣豪の成長

宮本武蔵のストーリーは田舎のやんちゃものから、立派な侍へと成長していく姿を描いています。しかし決して宮本武蔵単体を描くわけではなく、数々の強敵や恋人などとの出会い、別れ、宿命など様々な要素を交えつつ様々な敵に打ち勝っていく群像劇的な成長譚となっています。二刀流などの要素はそのストーリーにおける一種の「アイテム」とも呼ぶべき存在です。

ラストはあの島

宮本武蔵のラストは前述でも触れた、武蔵同様の剣豪である「佐々木小次郎」との決闘で幕引きとなります。一般的には巌流島の戦いなどと呼ばれており、「小次郎敗れたり」などの名台詞はこの場面から知られるようになりました。勝敗が決した場面はまさに「大円団」とも呼べる歴史的なラストシーンとなっています。

派生作品について

吉川英治による宮本武蔵はその圧倒的な影響力からか、出版後のメディアミックスが頻繁に行われています。ここからはそんな宮本武蔵の派生作品などを紹介していきます。

時代を貫くメディアミックス

宮本武蔵のメディアミックス作品は映画、ドラマ化などの映像化作品だけでも数十作以上存在しており、歴代の日本の小説の中でも屈指の人気を誇るといっていいでしょう。

また近年では、あのスラムダンクを描いた漫画家・井上雄彦氏が描く人気マン「バガボンド」は、本作を原作としています。ストーリーやキャラクター設定自体は原作とはかなり違った部分もあるのですが、登場人物たちや基本的な人間関係はこの作品をベースにしている部分が多く、原作を読んでいればより楽しめることでしょう。

宮本武蔵は、現代においてもなお、その人気までもが天下無双であると言えるでしょう。

剣豪の生き様を文豪に知る

吉川英治による宮本武蔵は、現代における武蔵のイメージを作り上げた大作です。遥か昔の日本を生きた剣豪の生き様は、現代の日本人にとっても胸を打たれる「侍」のあり方を表現しています。気になる方はこの記事を参考に、20世紀の文豪の筆跡に触れてみてください。

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