大人も子供も楽しめる!アメリカ文学の傑作「ハックルベリー・フィンの冒険」

2019.10.16

マーク・トウェインが書いた「ハックルベリー・フィンの冒険」は、「トム・ソーヤの冒険」の続編ともいうべき小説です。人として生きていく自由を求めてミシシッピ川を筏でくだるハックの冒険は大人もワクワクします。どんな内容なのか簡単に解説していきます。

「ハックルベリー・フィンの冒険」とは

「ハックルベリー・フィンの冒険」は、マーク・トウェインの書いた小説「トム・ソーヤーの冒険」に続く物語として発表されました。当時としては非常に珍しく、語り部であるハックルベリー・フィンがしゃべっている内容をそのまま文字にしたという形式であり、文章に口語体が用いられたほぼ初めての小説といわれています。

ハックルベリー・フィンの冒険のあらすじ

ハックは定職にも就かず飲んだくれてばかりいる父親と2人で暮らす、貧しい少年です。しかし、前作「トムソーヤーの冒険」で、トム・ソーヤー(以後トム)とハックルベリー(以後ハック)は、泥棒たちが洞穴にかくした金貨をみつけ、大金持ちになりました。お金は判事に預けられ、利息としてハックは日に一ドルずつもらえることになりました。また、ろくでなしの父親から引き離され、ハックはダラス未亡人の養子になり毎日学校に通うことになります。

しかし、これまでの人生を浮浪者同然に暮らしてきたハックにとって、きちんとした家庭できちんとした食事をし、毎日学校に行くという規則正しい生活は次第に窮屈なものになっていきます。

ある日、お金持ちになったハックを探しに父親が現れ、ハックを拉致して連れ戻してしまいます。ハックには内心ほっとしたところもあり、最初は学校に行かずタバコを吸ったり、勉強もせずボロボロの服を着て日々を気ままに過ごしますが、やがてアルコール中毒の父親からの暴力に身の危険を感じるようになります。

そこでハックは一計を案じ、父親が酔いつぶれて寝ている間に、自分が殺されたように見せかけ、そのまま筏(いかだ)に乗って逃げだします。もともとダラス未亡人のところに戻る気のなかったハックですが、その逃避行の最中、奴隷として奉公していた家庭から逃げだした顔なじみの黒人奴隷・ジムと会い、二人は自由を求めてミシシッピ川を筏で下る旅に出ます。

当時のアメリカは黒人差別は今と比べ物にならないほど激しく、特に大規模農業の発展した南部では黒人奴隷の地位は著しく低いものでした。一方工業の発展した先進的な自由州にまで逃亡できれば、ジムは自由の身になれるかもしれませんでした。しかしその逃亡を助けると犯罪として厳しく処罰されることを知っていたハックは、悩みながらも、友人であるジムの逃亡を助け、様々な困難を乗り越えていきます。

登場人物

単なる少年の冒険譚にとどまらず、奴隷制に対する批判など当時の社会情勢をも含んだ本作を彩る登場人物たちをご紹介しましょう。

ハックルベリー・フィン

働かずにお酒を飲んでは暴力をふるう父親から逃げ、家を飛び出し野宿をしている少年。ハックは学校にも行かずに気ままに暮らしています。母親は死別しているという設定で、物語には登場しません。ハックはダラス未亡人のもとで教育を受けることになりましたが、自由に生きてきた彼にとっては窮屈な毎日でした。

トム・ソーヤ

村で一番やんちゃでイタズラ好きな少年。学校には遅刻常習犯で先生に怒られ、授業は聞かずに学校が終わるとみんなを率いて山や野を駆け回り、夜遅くなるまで家に帰らない冒険好きな男の子です。前作では主役だったトムですが、本作では登場シーンは少なく、物語終盤になって重要な役割を果たします。

ジム

ワトソンさんのところで働いている黒人。彼がオーリンズへ売り飛ばされるという噂を耳にした彼は、妻や子供と生き別れるのを恐れて、身一つで逃亡することを決意します。奴隷制を無くした自由州へ向かう途中でハックと出会います。

パップ・フィン

働こうともせずお酒を飲んでばかりの、ハックに暴力をふるうハックの父親です。ハックが未亡人に取られても何も感じるところはなかったようですが、ハックに大金があることを知るとやにわにハックを取り戻そうとします。このとんでもない父親から逃げ出すため、ハックは死を装って筏に乗り、大冒険が始まります。

ダラス未亡人

おそろしく几帳面で上品な人柄の未亡人で、ハックを養子にして教育を受けさせます。ハックに対しては深い愛情を持ちつつ、きちんとした人間になってもらうために厳しく接します。

「ハックルベリー・フィンの冒険」の作者と作品について

作者はマーク・トェイン

マーク・トウェイン(1830年~1910年)は、アメリカの作家です。判事の父のもと都会から遠く離れたミズリー州のフロリダで生まれました。4年後、一家はミシシッピ川のほとりにあるハンニバルに移りました。大河の自然やそこで暮らす人々の生きざまが物語の舞台になります。

12歳のとき父親は多額の借金をして亡くなります。彼は学校をやめて印刷工となり方々を渡り歩きました。22歳のときミシシッピ川の水先案内人になりました。やがて南北戦争が起きて、彼は編集部員となります。35歳のときに「ジム=マイスカリーとその跳びガエル」という作品を発表すると、大評判になり一躍有名になりました。

アーネスト・ヘミングウェイの評価

パパヘミングウェイの愛称で知られるアメリカの人気作家ヘミングウェイは、小説「アフリカの緑の丘」の中で、あらゆる現代アメリカ文学は、マーク・トウェインの「ハックルベリー・フィン」一冊に由来すると、高く評価しています。

近代アメリカ文学の巨匠であり、ノーベル賞作家でもあるヘミングウェイにこれほど絶賛されるとは、いかに本作が傑作と目されているかが分かりますね。

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閲覧制限や禁書にも

「トム・ソーヤの冒険」の続編と捉えられている「ハックルベリー・フィンの冒険」ですが、差別用語になっているニグロ(黒ん坊)という言葉が200回以上も使われたり、人種差別に対する痛烈な批判があったりといった事情から、何度も閲覧制限になり、禁書として扱われてきました。しかし、この作品以上に真実を書いた作品はないとたびたび擁護され、現在のように名作として知られるようになりました。

考えさせられることが多く詰まっている名作

「ハックルベリー・フィンの冒険」は大人が読んでも面白く、また黒人問題など考えさせられることが多く詰まっている物語です。アメリカ文学を代表する傑作と目されており、「子供のための冒険譚」だとタカをくくっていると思わぬ感動があることでしょう。まだ読んだことがない人は是非、この機会に手に取ってみてください。

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