眼鏡の歴史を辿る。日常の必須アイテムのルーツや雑学を解説

2019.10.16

視力の矯正はもちろん、レジャーやスポーツ、仕事など、日常生活のさまざまな場面で欠かせないアイテムとなっている「眼鏡」。この眼鏡はいつどのように生まれ、どのように発展を遂げてきたのでしょうか。あまり知られていない眼鏡の歴史をご紹介します。

レンズの発見と眼鏡の誕生

眼鏡の機能そのものをつかさどる「レンズ」は、驚くほど昔に発見され、使われていました。そんなレンズを使って本格的な「眼鏡」が作られるようになったのは、中世ヨーロッパからになります。

紀元前から存在したレンズ

「レンズ」という存在自体は紀元前のはるか古代から知られていたようで、この頃から一部の石が「太陽光の集積」などの目的でレンズとして使われていたことが分かっています。

また、古代ローマの闘技場では皇帝が観戦の際に「太陽のまぶしさを抑えて試合を見る」ためにエメラルドのレンズを使っていたという記録があります。

他にも、「水を入れたガラス球を通すとものが拡大されて見える」という現象が古代から知られており、文字を大きくして見るために使われたり、「水を入れたガラス容器の中に商品を沈めて展示する」という用途で使われたりしていたそうです。

現在とはやや違ったかたちですが、レンズの存在や効果は大昔から認識されていたと分かります。

中世ヨーロッパで眼鏡が誕生

視力の矯正器具としての眼鏡は、中世ヨーロッパで誕生します。

最も初期の眼鏡は13世紀イタリアで誕生したといわれていますが、その形はいわゆる「ルーペ」のようなものでした。

その後、14世紀からガラス技術の発展もあって眼鏡開発が進められ、手に持って両目にあてる「リベット眼鏡」や鼻の頭に乗せて使う「鼻眼鏡」が作られるようになっていきます。

一方で、教会が軸をなす当時の社会のなかでは「視力が悪くなるのは神のあたえる試練」「試練をさまたげる眼鏡は悪魔の道具」という考えが根強く語られるなど、中世~近世ヨーロッパならではの要因も眼鏡の発展に関わりました。

日本への眼鏡到来と眼鏡研究の発展

中世ヨーロッパで誕生した眼鏡は、キリスト教宣教師とともに日本にもやってきます。また、レンズの仕組みについての研究も近世に大きく進みました。

宣教師とともに眼鏡も来日

日本に眼鏡が本格的に伝わったのは、16世紀に宣教師フランシスコ・ザビエルが来日したときだと言われています。このような宣教師たちが各地の大名などに献上品のひとつとして眼鏡を贈ったことがきっかけで、日本でも眼鏡が知られ、使われるようになりました。

江戸時代になると日本でも眼鏡が作られるようになり、高価な道具として広まっていきます。

レンズの仕組みについて探求したケプラー

16世紀後半には、それまで経験則などで知られていたレンズの仕組みや目との関係がより論理的に探究され、明かされていきます。

レンズの仕組みを詳細に調べたのは意外にも「ケプラーの法則」で知られる天文学者のヨハネス・ケプラーで、天体望遠鏡をきっかけにレンズを研究し、その成果が後世のレンズ研究や眼鏡の発展に多大な影響を与えることになりました。

眼鏡の普及とさらなる進化

近代以降になると、眼鏡はより普及してさらに進化していきました。そして、単なる視力の矯正器具を超えたアイテムとして知られるようになっていきます。

眼鏡フレームの誕生と眼鏡の普及

17世紀に入ると、レンズをはめ込んだ「眼鏡フレーム」が作られ、それに紐をつけて頭の後ろで結んだり、耳にかけたりする、現代の眼鏡の原型となるものが作られます。

18世紀に入るとさらに眼鏡は普及・発展し、視力を矯正するアイテムとしてはもちろん、自分が文字の読める知識人であることを示すアイテムとしても知られていきます。

当時は「目上の人の前で眼鏡をかけるのは、自分の博識をひけらかす行為になるので控えるべき」というマナーもあったそうです。

さまざまな場面で使われていく眼鏡

18世紀末から19世紀になると、眼鏡は使用目的によってさらにカテゴリが分かれて進化していきます。

鉄道の機関士がつける煤よけの眼鏡や、ライフル射撃用の眼鏡など、いわゆる「業務用」ともいえる実用性重視のものも登場しました。

ファッションアイテムとしての眼鏡が広まったのもこの頃で、主に貴族の間で片メガネや柄つきの鼻メガネ、装飾のほどこされた単眼鏡などが「ユニークさをアピールするアイテム」として流行しました。

このようにしてさまざまな場面で使われるようになった眼鏡は、より安価に、機能的に発展して現代の形になっていきます。

長い歴史の上に成り立つ現代の眼鏡

こうして眼鏡の歴史をふり返ってみると、現代の眼鏡が誕生するまでには多くの試行錯誤があって、社会との関わりも経て眼鏡が進化してきたことが分かりますね。

また、紀元前からレンズが使われていて、何百年も前に現在のような眼鏡が作られていたというのは、驚きのポイントだったのではないでしょうか。

眼鏡を使うときには、現代の眼鏡が長い歴史の上に成り立っていることをときどき思い出してみるのも楽しいかもしれませんね。

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