シェイクスピアの名作悲劇『マクベス』その翻訳本や名言を紹介

2019.10.14

イギリス・ルネサンスを代表する戯曲作家のシェイクスピアが、その円熟期に残した悲劇『マクベス』は、比較的簡潔なストーリーのためか、これまで繰り返し演じられるとともに、日本語訳も数多く出版されてきました。この記事では、『マクベス』の成立年やあらすじ、オススメの翻訳本、そして名言までをご紹介します。

シェイクスピアの悲劇『マクベス』とは

魔女や亡霊が登場しスリリングでスピーディーな展開が魅力の『マクベス』。ここでは、その成立年など基本情報とあらすじをご紹介します。

四大悲劇の1つ『マクベス』

『マクベス』は、シェイクスピアの全活動の後期である1606年頃に成立したとされ、『ハムレット』、『リア王』、『オセロー』とともに作者の四大悲劇に数えられる戯曲です。

シェイクスピアの他の史劇作品と同様に、ラファエル・ホリンシェッドの『年代記の記述を下敷きにし、11世紀のスコットランド王位を巡る争いを、彼なりの脚色を加えて書いたものです。

『マクベス』は、セリフのほとんどが韻文で書かれ、シェイクスピアの戯曲のなかでも3番目に短く、宮廷での上演に合わせて作者自らが書き直した可能性が指摘されています。

『マクベス』のあらすじ

いずれは王になると魔女に予言されたマクベスは、マクベス夫人に勇気付けられつつ、自らダンカン王を殺害して王座に着きます。

次いでマクベスは、魔女から「子孫が王になる」と予言されたバンクォーを手にかけますが、息子フリーアンスは辛くも逃亡。

次第に不安に陥っていったマクベスは、魔女から新たな予言を受けしばし安心しますが、有力貴族のマクダフ暗殺を仕掛け、その家族を惨殺しました。

マクダフ本人はダンカン王の息子で亡命中だったマルカム王子とともに打倒マクベスに立ち上がります。

マクベス夫人は良心の呵責から夢遊病に冒されて亡くなり、最後には、果敢に応戦したマクベスもマクダフの手にかかって倒され、マルコム王子が新王に迎えられるのでした。

どのバージョンで読む?『マクベス』のおすすめ翻訳本

シェイクスピア晩年の傑作『マクベス』は、過去10回以上翻訳されています。悲劇の中でも最も短く、ほとんどが韻文で記された『マクベス』は、どのバージョンで読むのが適しているでしょうか。おすすめの翻訳本をご紹介します。

長年のシェイクスピア翻訳の底本『マクベス』

1957年に『マクベス』を翻案し、『明智光秀』を演出した劇作家の福田恒存による翻訳です。福田の翻訳は、いかにも舞台にセリフという印象で、慣れていない方には少し読みづらく感じるかもしれませんが、シェイクスピア翻訳の底本として長らく読まれ、演じられてきました。戯曲としての『マクベス』を楽しむには基本の一冊と言えるでしょう。

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現在第一線の研究者による翻訳『新訳 マクベス』

日本で初めてシェイクスピアを翻訳した坪内逍遥の親類でもある気鋭の英文学者河合祥一郎氏による翻訳です。原文のリズムや言葉の多義性が忠実に再現されている上、すんなりと頭に入ってくる言葉遣いで、読みやすいと評判です。

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原文と読み比べができる資料・解説付き『マクベス』

このシリーズでは、原文のテクストを確認しながら物語を楽しめます。しかも、これまでのシェイクスピア研究の成果を踏まえて、英文テクストの編纂から翻訳、注釈までなされているため、初心者から研究者まで参考にできる本です。舞台写真などの図版や、創作年代などについての解説も豊富です。

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人生にも活かせる?『マクベス』の名言

シェイクスピアの晩年近くに制作された『マクベス』には様々な名ゼリフが登場します。ここでは、そのなかでも人生一般にも当てはまりそうな名言をピックアップしてご紹介します。

喜んでする労苦は、みずから痛みを癒す。

The labor we delight in physics pain.

第2幕第3場で、ダンカン王を饗応したマクベスを労うマクダフに対して、マクベスが返した言葉。王への敬愛が表れた言葉のように思えますが、実はこのときマクベスは既にダンカン王を殺害していました。一般的にも当てはまりそうな名言ですが、劇中の文脈では様々に解釈できそうです。

そうさ、生き身の人間、うぬぼれこそが、何より大敵なのよ。

And you all know, security/Is mortals’ chiefest enemy.

第3幕第5場で、魔術の女神へカティがマクベスに向かって放つ一言です。魔女たちの予言を信じて自分の勝利を過信するマクベスに対して警句を述べたこのシーンは、マクベスが敗北する結末の予言にもなっています。仕事にも勉学にも当てはまりそうな教訓です。

あすが来、あすが去り、そしてまたあすが、こうして一日一日と小きざみに、時の階(きざはし)を滑り落ちて行く、この世の終わりに辿り着くまで。

Tomorrow, and tomorrow, and tomorrow/Creeps in this petty pace from day to day/ To the last syllable of recorded time.

5幕第5場の『マクベス』のなかでも最も知られた独白の冒頭で、マクベスが夫人の死を知らされたときに述べた言葉です。日々が不毛に過ぎていく、そんな人生の虚しさを語るマクベスは、すでに身の破滅を予見しているようにも思えます。

映画版『マクベス』もおすすめ

シェイクスピア戯曲の傑作である『マクベス』ですが、舞台で見ることはなかなか叶いませんよね。そんなときは映画での鑑賞がおすすめです。近年、マリオン・コティヤールがマクベス夫人を演じたバージョンは高い評価を獲得しています。

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