『オセロー』シェイクスピアの悲劇とは?鑑賞のポイントや名言を紹介

2019.10.12

シェイクスピアによる悲劇『オセロー』は、人間の感情の動きを見事に捉えた傑作として長く愛されてきました。この記事では、『オセロー』のあらすじや鑑賞のポイントから名言までをご紹介します。

悲劇『オセロー』の概要を知ろう

『オセロー』は、1603年に初演されたシェイクスピアの四大悲劇一つで、登場人物の心情がわかりやすく、四大悲劇中で最も平明な構造と考えられています。ここでは、ボードゲーム「オセロ」の名前の由来にもなった悲劇『オセロー』の登場人物とあらすじをご紹介します。

『オセロー』の主要登場人物

  • オセローヴェニスの将軍でムーア人
  • デズデモーナオセローの恋人で名前の意味は「不運」
  • イアーゴオセローの部下で騎手
  • ブラバンショーデズデモーナの父親でヴェニスの元老院議員
  • キャシオオセローの部下で副官
  • ロドリーゴデズデモーナに恋をしていた間抜けな紳士
  • エミリアイアーゴの妻でデズデモーナの侍女

『オセロー』のストーリーを要約

ヴェニスの将軍でムーア人のオセローは、ブラバンショーの娘デズデモーナと愛し合い、密かに結婚します。一方、旗手のイアーゴは、自分より新参のキャシオを昇進させたオセローに恨みを抱き、デズデモーナに惚れていたロドリーゴと結託して、オセローと娘の関係をブラバンショーに告げ口します。

やがて2人の結婚が認められると、イアーゴはデズデモーナとキャシオが密通しているとオセローに信じ込ませようと企みます。まず、キャシオを酒に酔わせ刀傷沙汰によって失墜させ、デズデモーナに復職の口利きをしてもらうよう薦めることで2人を接近させます。イアーゴはさらに、妻エミリアを利用して、オセローからの贈り物であったデズデモーナのハンカチを、オセローがキャシオの部屋で見つけるように仕向けます。

オセローは、嫉妬にかられデズデモーナを絞殺してしまいますが、姦通の証拠となったハンカチについてエミリアから真実を告げられると、自らも命を絶ちました。

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『オセロー』の鑑賞のポイントを解説

シェイクスピアの悲劇の中でも比較的分かりやすいとされる『オセロー』ですが、複雑な筋書きやセリフ回しについて行くのは少し難しいかもしれません。そんな『オセロー』を楽しむためのポイントをご紹介します。

影の主人公イアーゴに注目

タイトルにもなっている主人公オセローに対して、影の主人公とも言えるのが部下のイアーゴでしょう。正直者のふりをして登場人物すべてを思い通りに動かし、彼らの弱みにつけ込んでは罠にかけていく。典型的な悪役ですが、物語の原動力でもあり、セリフもオセローより多くなっています。

嫉妬の感情の恐ろしさ

『オセロー』は、人間の感情、とりわけ嫉妬の感情の生々しい描写において高く評価されてきました。物語の序盤、オセローは人々に尊敬されるような英雄的な性格の持ち主として描かれていますが、次第に嫉妬の感情に支配され、最後には罪を犯してしまいます。イアーゴはそうした感情の動きを利用しただけとも言え、追い詰められて悪に身を委ねるオセローの変貌が一つの見どころとなっています。

エリザベス朝の人種観

シェイクスピアの時代、ムーア人(アラブ人か黒人か諸説あり)が演劇の主人公になるのはめずらしいことでした。異教徒の典型的なステレオタイプとして描かれたオセローは、劇中で肌の色をデズデモーナの白い肌と比べられることがあります。研究者によっては、オセローが嫉妬の感情を直情的に発露させることも、肌の色同様に暗い情念のうごめきを象徴していると解釈しているようです。

『オセロー』の名言を紹介

シェイクスピアの多くの作品同様、『オセロー』にも人生に役立つ数々の名言が散りばめられています。その一部をご紹介します。

To mourn a mischief that is past and gone is the next way to draw new mischief on.

過ぎ去った不幸を嘆くのは、すぐにまた新しい不幸を招くもとだ。ー第1幕第3

デズデモーナがオセローとの結婚の許しを請いにきた後に、父ブラバンショーがヴェニスの公爵から言われた一言です。覆水盆に返らず、ですね。

But jealous for they’re jealous. It is a monster Begot upon itself, born on itself.

嫉妬は、自分で生まれて自分で育つ、化け物でございます。ー第3幕第4

エミリアがデズデモーナに対して、嫉妬の不合理な性質を説明する際に語られたセリフです。

Poor and content is rich, and rich enough, But riches fineless is as poor as winter

貧乏でも満足している人間は金持ち、それとも非常な金持ちです。だが、大金持ちでも、いつ貧乏になるかとびくついている人間は、冬枯れのようなものです。ー第3幕第4

イアーゴがオセローに妻デズデモーナの不実を匂わせる会話の中で語られるセリフです。正直者をよそおうための名言って、なんだか怖いですね。

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不朽の名作『オセロー』はオペラや映画でも

『オセロー』は戯曲として読まれ、舞台で演じられるだけではなく、ヴェルディがオペラ『オテロ』として翻案したり、繰り返し映画化されたりして、広く楽しまれてきました。翻訳本を読むも良し、舞台のDVDを見るも良し、様々な『オセロー』に触れてみてはいかがでしょうか。

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