画家ボナールの描く女性の愛らしさ。人気の絵画の理由に迫る

2019.10.08

19世紀から20世紀にかけて活躍したピエール・ボナールは、後期印象派の流れを組むナビ派に属している画家です。彼の作品は学術的にも素晴らしいのですが、現代日本女性の心をくすぐるのもが多く、2018年には展覧会も行われました。その特長を見ていきましょう。

色彩の魔術師と言われる色使い

ボナールの描いた絵画は、印象派の流れを組み、光をとらえた表現と、新しい色彩感覚に特長があります。具体的に何が新鮮な表現だったのか紹介しましょう。

愛する妻を、優しい色味で描く

ボナールの妻・マルトは彼にとって、最大のミューズ(美の女神)で、彼女をモデルにした絵画は、数多く残されています。このマルト、大の入浴好きで入浴姿の彼女の絵も多数残っています。

描かれた入浴中のマルトの裸体には優しい光があたり、エロティシズムより穏やかな気持ちに。画中の彼女も柔和な視線をこちらに向け、愛しい夫(描いている画家)をみつめていることもあり、優しい気持ちになれる絵画です。

おしゃれな室内の絵が多い

ボナールの妻マルトは病弱で、ボナールは彼女によりそうために、多くの印象派の画家と違い室内をモチーフにした絵画を多く残しています。この室内が、とてもおしゃれ!絵柄のある壁紙も、ふわふわのソファも、レースのインテリア使いも新鮮。これらを優しい色使いとタッチで描いており、インテリアイラストを見ているような楽しさもあります。

日本人にとっては親しみやすい題材

当時のパリでは、浮世絵を代表とした日本画が大流行していました。ボナールも、その影響を大きく受けた画家のひとりです。

「ナビ・ジャポナール」と呼ばれるほど日本好き

画家仲間たちから「ナビ・ジャポナール」(日本かぶれ)と呼ばれるほど、ボナールは日本好きと言われていました。とくに、縦長の構図で、当時の最先端の洋服をきた美女の立ち姿を描いているのは、日本の掛け軸を連想させます。

そのほかにも、浮世絵のような平面的な表現、線画的な植物の描き方などにも影響が見られ、ウサギを描いた屏風なども残されています。

愛らしい犬や猫がたくさん登場

ボナールの絵画には、犬や猫など現代もペットとして大人気の動物が多数登場します。リズミカルな動きがつたわってくる動物たちの動きや、人間との信頼関係をうかがわせる室内での様子などは、現代のペットの姿と重なります。

つまり、現代女性にとっては、ペット画として楽しめる要素もあるのです。

流行にのって、ポスターや写真の代表作も

ボナールは当時の最先端だったポスターでもすぐれた作品を多く残しています。また、当時、一般の市民がやっと手にすることができるようになったカメラを使い、写真も多く残していました。

19世紀末のパリはポスターが大流行

当時のパリは、産業革命に伴う消費社会が成熟しはじめたころで、夜な夜なにぎやかな街中の歓楽街は、成長し続けていました。その最先端の店をアピールするのが店頭ポスター。現代では、斬新な構成や思い切った文字表現などを使った芸術作品として扱われています。

大のスナップショット好き

対象をそのまま「写す」写真の登場は、絵画表現を一時脅かすこととなりましたが、絵画表現同様、古い肖像画の方法でしか写真を撮ることができないアーティストも多い時代でした。

そんな中、ボナールは、現代では当たり前の日常生活を切り取ったスナップショットを多く残しています。当時の人たちが気軽にお茶を飲んだり、リビングでくつろいだり。おしゃれなオフショットの源を、ここに見ることができます。

ボナールの愛らしさ、気さくさ、親密さ

ボナール自身は、意欲的に多くの絵画表現の挑戦をおこなってきたのですが、一方で、人気ある作品はいずれも親密感のあるもの。実際、室内絵画を多く残した彼は、当時から「アンティミスト」(親密派)と呼ばれた画家で、その親ある画風は愛されたものでした。現代にも通じるボナールの作品の実物を、ぜひ一度は鑑賞してみてください。

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