陰陽師のあまり知られていない世界。陰陽の基礎知識とパワースポット

2018.11.10

『陰陽師』や『安倍晴明』といった言葉は、ドラマや映画に多く取り上げられているので、1度は耳にしたことがある人は多いと思います。今回は、聞いたことはあってもあまり知られていない陰陽師の基礎知識とパワースポットを紹介します。

再び、陰陽師にスポットライトが当てられた

『陰陽師』は、平安時代に活躍していた『安倍晴明』が『式神などを行使する・妖怪を退治する人』というイメージを持っている人が多いと思います。しかし、実際の陰陽師は『学問に基づいて研究を行う研究者』だったと言われています。

そんな陰陽師が、最近になって再びスポットライトが当てられた理由から確認していきましょう。

五輪で陰陽師の楽曲が使用された

五輪フィギュアスケート男子シングルで五輪連覇を成し遂げた羽生結弦選手が演じたフリー演技『陰陽師』は、安倍晴明をイメージして作られた衣装や美しい演技・音楽が話題となりました。

演技に使われた楽曲は、野村萬斎さんと伊東英明さんが主演の映画『陰陽師』のサントラで、平安時代の陰陽師である安倍晴明をイメージして作られた2枚組・全50曲が収録されたものから使われています。

サントラ1曲目の『陰陽師・メインテーマ』は、羽生選手がフリー演技で使う際に『SEIMEI』として編集使用した曲の元となっています。陰陽師のサントラを使用したことで、演技を見た多くのファンからCDの注文が殺到、追加生産に乗り出すという大きな反響を巻き起こしました。

羽生選手の美しいフリー演技と衣装・音楽によって彩られた『陰陽師』は、その美しさと壮大さから再び注目され、話題になっています。

陰陽師とは、元々官人であったとされる

式神を操る・妖怪退治をするなどのイメージがある陰陽師ですが、「元々官人だった」とされています。官人とは、細かい分類や種類にわかれてそれぞれの分野で活躍する『役人』の仕事をする人のことです。

では、なぜ陰陽師が式神や妖怪退治といった役割という映画やドラマなどのイメージになったのか。これには陰陽師が行っていた研究が関係していました。

陰陽師は、専門の研究を続けることでより深くなった知識と経験によって『祈祷・占い・厄払いなどの儀式的な行為』を主に行っていたからと言われています。皇室関係や公的機関からの国家案件の占いや、怪異の原因追求・対処をしていたこともありました。

このことから、今の陰陽師のイメージに繋がっているのではないかと言われています。今でも、陰陽師にどのような歴史があるのかは、さまざまな方面から研究が続けられている分野です。

後に貴族以外の占いや祈祷も行うように

陰陽師の行っていた儀式的な行為は徐々に貴族から武士などに伝わっていきました。徐々に陰陽師の占いや祈祷は広がっていき、貴族以外の占いや祈祷も行うようになったと言われています。

幅広く活躍をし始めた陰陽師の印象と実績は、今でも数々の文献をベースに多くの研究者によって論議が繰り返されています。

次は、陰陽師と深い関わりのある『陰陽』とはそもそもどのようなものなのかについて知っていきましょう。

そもそも陰陽とは?

陰陽師に関わりの強い『陰陽』とは、中国の陰陽説がベースとなった考え方の1つと言われています。現在残っている日本の陰陽道については、中国の陰陽説と日本の神道が密接に関わっているのです。

まずは、陰陽道の原点とも言われている『中国の陰陽説』についてチェックしていきましょう。

中国の陰陽説がベースとなった占術など

陰陽とは『中国の考え方から生まれた概念』です。日本での陰陽道は、陰陽説を元にした占いを行う理論体系が『日本独自の文化を取り入れて』できあがっています。

ベースとなっている中国の文化では、月や太陽、水や火などの自然現象を対立関係として作られた『陰陽』という概念と、五遊星と呼ばれる土星や木星などの惑星の発見と生活必須要素の木・火・土・金・水をベースに『五行説』が生まれたと言われています。

中国の『陰陽という概念』と五行説に、仏教や神道を取り入れることで、独自に進化したものが現在の日本に残っている『陰陽道』呼ばれているものです。

陰陽道の神々をご紹介

それでは陰陽道にはどのような神々がいたのでしょうか。陰陽道の神々は、大きく分けると『方位神・十二天将(十二神将)・土公神(どこうしん』の3つに分類されています。

方位神は名前の通り、九星術とよばれる生年月日の九星と干支・五行を合わせた神々で、方位に関わる神々と言われています。恵方巻きに関係する『歳徳神』やその年の富福を司る『最禄神』などがいます。

十二天将は星や星座に起源を持つと言われる神々で、よく耳にする四神『朱雀・玄武・青龍・白虎』はこの十二天将の神々です。最後に、土公神は土を司る神と言われていて、仏教における大地を司る堅牢地神(けんろうじしん)と同体と言われています。

陰陽師の主な占い方

陰陽師は昔から陰陽道に基づいて『呪術』や『占術』を行っていました。相談者に合わせて吉日や現状、吉凶や不調などについて伝え、1000を超える術を占いの結果に応じて使ってきたと言われています。

まずは、陰陽師の主な占い方から詳しくみていきましょう。

易経に基づいて占う易占

陰陽師が行う占術・呪術は、『易経(えききょう)』に基づいて行う『易占(えきせん)』が主流でした。易経は中国の古典の五経の1つで、占いを通して森羅万象・天地・自然のあらゆる現象以外にも、人事百般・人間社会問題などを含めて占うことができると言われています。

江戸時代には、安倍晴明の子孫に当たる土衛門家を中心に、配下の者や全国の陰陽師がこの『易占』を主な占いとして使っていたそうです。この頃から易占を主に使う『易者(えきしゃ)』が現れたことで、一般人にも普及して全盛期を迎えています。

大安や仏滅でお馴染みの六曜は暦注の1種

私達が普段生活に使っているカレンダーや暦にも記されている大安や仏滅などにも陰陽道は深い関わりを持っています。記載されている『大安・仏滅・先勝・友引・先負・赤口』と呼ばれる『六曜』は諸葛孔明が発明し、多彩な軍略に活用していったことで『孔明六曜星』とも呼ばれているものです。

この六曜は、陰陽道や十干十二支(じっかんじゅうにし)に基づいて時刻や方位から運勢を占うための暦注の1種です。その日の運勢がどのような日なのかを知らせる指針という考え方が『お馴染みの六曜』ということです。

地相を判断する風水

運気を上げるとして色々なところで取り入れられている『風水』の基本は陰陽道の『陰陽五行説』によって作られたといわれています。

風水は、大地の気の流れと土地の相の陰と陽を観察して判断していくものです。風水の方位についても『五行説』をベースに考えられており、それぞれの方位の運気とカラーを司って占いの指針を示しています。

地相を判断する風水は、建築を行う時の吉日の選定や土地・方角を風水で占うことで、都を他の地に移す『遷都』で重要な役割を果たしていました。特に、長岡京から平安京への遷都は『陰陽道の風水の力が大きく関わった物事』ともいえます。

安倍晴明とはどのような人物だったのか

陰陽師の代名詞とも言える人物が『安倍晴明』。平安時代の最も有名な陰陽師と言われており、数々の伝承を残していることがわかっています。受け継がれるさまざまな逸話や伝説は映画やドラマ、小説など幅広い分野で取り上げられています。

スターのような存在感のある安倍晴明は、実際どのような人物だったのかを見ていきましょう。

平家物語などに登場するスター的存在

安倍晴明は、鎌倉時代の『平家物語』『宇治拾遺物語』のほか、江戸時代の『人形浄瑠璃』や『歌舞伎』の題材など数々の物語に登場しています。その圧倒的な知識と技術によって、スター的存在感を持った陰陽道のエキスパートだったと言われています。

当時の最先端の呪術・科学の『天文道』や占い・陰陽道を知り尽くし、平安貴族からの信頼も厚いものでした。安倍晴明は陰陽道を通して、貴族との信頼を得て徐々に有名になっていったのです。

実は出世が遅かった?

安倍晴明の出世について確かな『記録』として残されているのは960年頃、安倍晴明が40歳前後の話です。天文道を学ぶ職を努めていた安倍晴明が、当時の天皇『村上天皇』から占いを命じられたのが『出世の始まり』ではないかと考えられています。

当時の天皇からだけではなく、貴族からの信頼を集めていた安倍晴明は、貴族社会から依頼を受けるほど『研究内容や人柄について評価が高かった』のがわかります。40歳前後と出世は出遅れたものの、この後は『天文博士の官に就く』などの出世をしていったと言われています。

陰陽道を研究し、独自の形を生み出した

当時の陰陽道は全て中国から輸入された『文献資料を手本にして生まれてくるもの』が一般的でした。その中から安倍晴明は最先端の学問をそのまま使うのではなく、中国と日本の環境の違いや条件を取り入れて『安倍晴明独自の形』を作りあげることで名声を得ました。

今までの常識を振り払うかのような大きな変化を起こした安倍晴明は、貴族の間でも話題になり有名になっていきます。この話は藤原実資が残した『小右記』に記されている逸話です。

さまざまな逸話を残している安倍晴明が『史料』に初めて出てくるのは47歳の頃と言われており、天皇や貴族の間で才能を遺憾なく発揮したのは『60代後半から85歳の寿命を全うするまでの間』と言われています。

このことからも安倍晴明は若い頃から活躍したのではなく、数々の知識を取り入れて独自の形を生み出した後に活躍した、というのが正しいと言われています。

安倍晴明にゆかりのあるスポット

安倍晴明にゆかりのあるスポットは、かつて陰陽師が活躍してきた場所がたくさんあります。中でも知っておきたいスポットを集めてみました。それぞれのパワースポットを巡って『安倍晴明と陰陽師の軌跡』を感じてみましょう。

京都の下鴨神社、真如堂

京都にいくつかある安倍晴明に関係する神社やお寺の中でも有名なのが、『下鴨神社』と『真如堂』です。

『下鴨神社』は世界遺産にも登録されている安倍晴明とゆかりのある伝統行事が行われていた神社です。安倍晴明に関する行事から、縁結び・お祓いのお社・契約のお社・美麗祈願など見どころが多く、今でもたくさんの観光客でにぎわっています。

『真如堂』は、正式には『真正極楽寺』と呼ばれるお寺で、安倍晴明が1度他界した時に閻魔大王との面会で授けられたとされる五芒星の印判『決定往生の秘印』が保管されています。秘印は本堂内陣で常時拝観することができるため、1度は足を運びたいスポットです。

奈良の安倍文殊院

奈良県桜井市にある『安倍文殊院』は大化の改新の始まった645年に作られた日本最古に属する寺院知られている名所です。阿倍倉梯麻呂(あべのくらはしまろ)が左大臣となり、一族の氏寺として建立したと言われています。

こちらに残されている『家系図』によると、安倍晴明は阿倍倉梯麻呂の子孫と言われています。また、『竹取物語』でかぐや姫に求婚した右大臣のモデルになった阿部御主人(あべのみうし)の子孫や、唐の玄宗皇帝に仕えた阿部仲麻呂とも、安倍晴明は同じ一族とも言われています。

安倍文殊院は安倍晴明がよく訪れたお寺としても有名で、山にあるカラト古墳に安倍晴明が追葬されたとする逸話も残っています。

大阪の安倍晴明神社

京都の堀川通り一条戻橋のところにある『安倍晴明神社』は有名ですが、大阪の阿倍野区にある、安倍晴明誕生の秘話が伝えられている安倍晴明神社も忘れてはいけない有名なスポットです。

一条天皇によって創建された大阪の安倍晴明神社では、安倍晴明を占いの神様として信仰しており、占いの先生に相談ができるコーナーが設けられています。良心的な価格なので安心して相談できると人気のスポットとなっています。また、入り口にある安倍晴明の銅像なども見どころの1つです。

陰陽道を攻略できる?陰陽についての本3選

ここまで陰陽道のお話をしてきましたが、ここでは陰陽道を題材としたロングセラーとなっている本や、わかりやすく解説されている本などを中心に、勉強になる1冊をチェックしておきましょう。

身近な疑問を解決 現代に息づく陰陽五行

ロングセラーで増補改訂版として出版されているのが『現代に息づく陰陽五行』です。伝統的なしきたり・生活様式などを学ぶにも最適な1冊となっており、著者のわかりやすい解説が初めての人でも読みやすいと人気があります。

源流から成立までわかる 陰陽道の発見

呪術師・魔術師としての陰陽師という存在に疑問を投げかけて紐解いていく内容となっています。安倍晴明を中心に陰陽師の日常や実像を描きながら、改めて陰陽道とは何かが学べる1冊です。

夢枕獏の陰陽師シリーズ

夢枕獏の陰陽師シリーズは30周年を迎え、漫画化・映画化などされている人気の作品です。陰陽師の代名詞となっている安倍晴明と笛の名手・源博雅のコンビが謎を解決していく流れは、つい引き込まれてしまいます。

野村萬斎さんと伊東英明さんが主演の映画『陰陽師』の原作となっているのもこの『夢枕獏の陰陽師シリーズ』です。

本だけではなく、陰陽師の不思議な世界はドラマや映画、ゲームなどのエンターテインメント作品でも取り上げられています。次は、どのような作品があったのかをチェックしていきましょう。

陰陽師を題材にしたエンターテインメント作品

映画・ドラマ・ゲーム・アニメなど多彩なジャンルから名作が生まれている陰陽師のエンターテインメント作品の中から、1度はチェックしておきたいおすすめの名作を紹介します。

ドラマ版 陰陽師のストーリー

市川染五郎さんと堂本光一さんが出演しているテレビ朝日系ドラマ『陰陽師』では、安倍晴明が奇怪な事件を解決していくストーリーとなっています。2度目となる安倍晴明を演じる市川染五郎さんと、源博雅を演じる堂本光一さんの『相棒』と呼べる名演技が話題となりました。

ドラマ『陰陽師』では、呪詛を受けて面妖な姿に変わり果ててしまった白拍子(山本美月)が巻き起こす『怪死事件』について調査していきます。法力で正体を追う安倍晴明と源博雅のストーリーは壮大な世界に引き込まれる楽しみのある名作です。

NHK版も

稲垣吾郎さんが安倍晴明を演じるNHK版『陰陽師』では、1話完結の連続ドラマとして放送されていました。若い視聴者に向けて制作された1話完結の物語なので、それぞれ違ったストーリーを楽しむことができます。

NHK版の陰陽師では安倍晴明が呪や式神を操ることで、都に現れる鬼や怨霊を鎮めていくストーリーです。源博雅が安倍晴明に相談事を持ち込み、解明と解決のために動いていく中での『戦いと葛藤』はつい見入ってしまいます。

1話完結なのでわかりやすく、初めての人でも陰陽師の世界を身近に感じることができる作品となっています。

映画版 陰陽師のストーリー

野村萬斎さんが安倍晴明を演じる映画『陰陽師』は、源博雅を伊東英明さんが演じ、この世とあの世が交差した、平安時代を生き抜く陰陽師の世界を表現したファンタジーにも似た物語となっています。

この世とあの世という世界の調和を保つ能力を持った安倍晴明を含む陰陽師の奮闘や苦悩を描いたストーリーは、周りを巻き込み大きな騒乱へと動いていきます。幾多の問題に振り回される安倍晴明と源博雅のコンビは1度見ると忘れられない光景があります。

『陰陽師』『陰陽師Ⅱ』と2作品が公開されており、今でも色褪せない普及の名作となっています。羽生選手が五輪シングルに使用した曲は、この映画版陰陽師のサウンドトラックに収録されています。

RPGゲームやアニメ陰陽師・平安物語も登場

陰陽師はドラマ・映画にこだわらずRPGゲームやアニメでも取り上げられる人気の題材です。DMM GAMESがサービスを提供している『陰陽師本格幻想RPG』やTOKYO MXで放送されたアニメ『陰陽師・平安物語』なども人気の作品です。

その他にもたくさんのゲームやアニメ、漫画などが不思議な世界観を持つ『陰陽師』を取り上げているので、探してみるというのも1つの楽しみにもなります。

歴史だけでなく現代生活にも関わる陰陽

『陰陽』の世界は、占いから信仰までさまざまな形で愛されています。捉える方向やイメージからたくさんの逸話が作られている陰陽師の不思議な世界は、各地にあるお寺や神社でも垣間見ることができます。

羽生選手によってバブルのように注目され始めた陰陽師の魅力と楽しさを1度は、音楽や映画などを通して楽しんでみるのはいかがでしょうか。

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