万年筆のペン先を交換するには?タイミングや交換方法、価格まとめ

2019.09.29

筆記用具の王様といっても過言ではない万年筆。「万年」と付くだけあって、しっかりとしたメンテナンスを行っていれば、通常の筆記用具ではありえない期間使い続けることができます。そして万年筆のトレードマークである’’ペン先の交換’’もメンテナンスの1つです。本稿では万年筆のペン先のメンテナンスについて詳しく解説します。

万年筆のペン先交換のタイミングとは

万年筆の寿命の長さは、’’作りの堅牢さと劣化しにくい機構’’に由来します。実際に使っていると、その重厚感から「大掛かりなメンテナンスは不要では?」と勘違いしてしまうことがあるでしょう。

しかし万年筆本体の寿命は長くとも、パーツ1つ1つの寿命は異なってくるものなのです。その中でもペン先は長寿命ながらも外的要因で故障しやすいパーツといわれています。ここからはそんな万年筆のペン先の交換タイミングについて解説します。

ペン先の寿命

万年筆のペン先は万年筆初心者でも実感しやすいほど劣化が進みにくいパーツです。使用するインクの関係でステンレスや純金などが使われ、紙との接地面には非常に硬質な素材である’’イリドスミン’’が使用されています。

よって非常に丈夫なうえ、ボールペンにありがちな’’錆び’’や’’腐食’’などが起きにくくなっており、ペン先の寿命は短くとも10年、長ければ30年近く使い続けることができます。そのため、よほど雑に扱わなければペン先の交換についてあまりシビアになることはありません。

ペン先の構造と外的要因

前述した通り万年筆のペン先は丈夫にできているため、しっかりとしたメンテナンスを行っていれば10年以上長持ちします。その構造は紙に直接触れる’’ペンポイント’’、ペンポイントにインクを供給するペン芯、書き味を左右するペン先の柔らかさに関係している’’ハート穴’’の3つに分類できます。この3つのうちのいずれかが故障すると通常使用が難しくなるため、ペン先の交換もしくは修理が必要となります。

しかし、繰り返しになりますが、非常に丈夫であるペン先は普通に使用している分には’’まず故障しません’’。もしも故障するとすれば、それは整備不良や机から落とすなどのペン先に対する衝撃などの「外的要因」によってです。万年筆を使用する場合はよく注意して’’デリケートな物’’として扱うように心がけましょう。

ペン先を長持ちさせるには?

万年使えるはずの万年筆を数年で壊しているようでは、「使う意味が無い」と言わざるを得ません。万年筆を長持ちさせる愛好家たちは定期的にしっかりとしたメンテナンスを行っているほか、さまざなことに気を配っています。

そうすることで本来のペン先の寿命を維持しつつ万年筆を一生のパートナーとしているのです。しかし万年筆を使い始めて日が浅い方は「具体的にどんなことをすれば良いのか?」と疑問に思うでしょう。そこでここからは’’万年筆を長持ちさせるコツ’’を紹介します。

1ヶ月に1度のメンテナンス

万年筆を使ううえで重要なメンテナンス。その内容は非常に簡単でインクタンクやペン先の洗浄のみ充分です。基本的にインク交換のたびに行うことが望ましいですが、使用頻度は人それぞれのためインク交換を頻繁に行わない方はメンテナンスの機会が減ってしまうかと思います。

そういう方の場合、最低でも’’1ヶ月’’を目処にメンテナンスを行うことをおすすめします。もしもインクが残っていても前回のメンテナンスから1ヶ月経っているならば、しっかりとメンテナンスを行いましょう。

使わないときはインクを抜く

メンテナンスに加えてペン先を長持ちさせるコツとして’’長期間使わない場合はインクを抜く’’ことを覚えておきましょう。万年筆のインクは完全な液体ではなく細かい粒子を含んでいるため、長期間万年筆を使用しないでおくとインクの液体成分が蒸発してしまい、ペン先に粒子が固着して’’インク詰まり’’を引き起こします。

インク詰まりは基本的に洗浄を行えば解消することができますが、頻繁にインク詰まりを起こしているとペン先にストレスがかかるため、長期間使わない場合はしっかりとインクを抜いて保管するように心がけましょう。

筆圧、角度、落下に注意

万年筆は持ち方や書き方に明確な決まりがあり、これに準じていなければうまく書けないことに加えてペン先に負担がかかりやすくなってしまいます。中でも間違った使用方法でありがちなのが’’筆圧と角度’’です。

万年筆は水につけたタオルなどに見られる「毛細管現象」を利用してインクをペン先に供給するため、力を込めずに書くことができます。しかしボールペンなどに慣れている人は同じ感覚で力を込めて使用してしまうことがあります。この場合、ペン先に強い負荷がかかるため、変形などの原因になりかねません。

また万年筆は’’ペン先のハート穴’’を上にして持たなければインクの供給がうまくできないため、インク詰まりと勘違いして前述同様に力を込めて書いてしまわないように注意が必要です。

加えて前述したように万年筆を誤って落としてしまわないよう注意しましょう。万年筆の落下は外的要因の中でも、ペン先の故障にもっとも直接的な影響があします。使わないときに机の上などに置いておく場合は、うっかり落としてしまわないようにペン入れや筆箱に入れておくなど’’気を配ること’’が大切です。

キャップを使う習慣をつける

前述にあるような落下のアクシデントを予防するにはしっかりと収納することが大切ですが、万が一の予防策として有効なのが’’キャップをする’’ことです。キャップをしていれば誤って机から万年筆を落としてしまってもペン先へのダメージをある程度緩和することができます。

ペン先交換の方法や費用は?

ここまでで解説したことを心がけていてもペン先に不具合が起こってしまった場合は、修理もしくは交換が必要になります。不具合がある状態で使い続けていてはうまく文字を書けないことはもちろん、インク漏れなどのアクシデントにつながりかねません。ここからはそんな万年筆のペン先の交換方法や費用を紹介します。

自分で交換する場合

万年筆のペン先はメーカーによっては自分で交換できるものがあります。その場合は互換性のあるペン先を購入して付け替えるだけで、再び使用することができるようになります。具体的な方法は以下の通りです。

  • インクを全て抜く
  • ペン先を回してとる
  • 新しいペン先をつける

このようにシンプルな手順で専門家ではなくとも、ペン先を交換することができます。ペン先単体の値段は安いものなら約1,000円、高級なものになると数万円するものもあります。

メーカーに依頼する場合

高価な万年筆のペン先交換は自分ではなくメーカーに依頼することをおすすめします。基本的に国内メーカーは公式サイトなどで修理の依頼や持ち込み方法を掲載しているため、簡単だからといって自分でやろうとは思わず、メーカーに直接依頼するようにしましょう。ペン先交換の代金は5,000円〜20,000円くらいを想定しておくと良いでしょう。

有名メーカーの交換依頼方法

前述した通り、万年筆メーカーは自社ブランド商品の修理を受け付けています。しかし万年筆メーカーは国内だけではなく海外の物も存在しているため、どこに交換依頼をすれば良いか分からない方もいるでしょう。ここからはそんな有名メーカーにおけるペン先の交換依頼方法や値段を紹介します。

パイロット

国産万年筆の中でも屈指の人気を誇るパイロット。仮にペン先が故障してしまった場合は前述したメーカー持ち込み同様に、修理依頼を受け付けています。主にパイロットを取り扱っている百貨店に持っていくか、メーカーに直接郵送して修理を依頼することになるため、「すぐに修理完了」とはいきません。値段に関しては基本代金の1,000円にペン先の代金を合計した金額になります。余裕を持って準備しておくと良いでしょう。

モンブラン

世界的に有名なメーカーであるモンブラン。格式高いイメージとは裏腹に国内のブティックに持ち込めば修理依頼の相談に乗ってもらえます。ペン先交換の修理期間は在庫があれば約1ヶ月、取り寄せになると約2ヶ月ほどかかります。値段はモデル、年代によって変動しますが、おおよそ10000円〜20000円と見積もっておくと良いでしょう。

自力は禁物。ペン先の交換はプロに依頼しよう

ペン先の交換には時間とお金がかかりますので、長い間交換しなくてすむよう、丁寧に扱うよう心がけましょう。止むを得ずペン先を交換する場合は、きちんと下調べをしたうえで、無理に自力でやろうとせずにメーカーに依頼するようにしましょう。それだけ大事に扱えば’’万年筆を万年使う’’ことができるはずです。

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