万一に備えて登山保険に加入しよう。保険の種類や選び方を解説

2019.09.30

自然の雄大さを身近に感じ、身も心もリフレッシュできる登山ですが、けがや遭難などの危険とは常に隣り合わせです。安心して登山を続けるために『登山保険』の重要性を理解し、自分の登山スタイルに合った保険に加入しましょう。

山に出かける前に保険に入ろう

登山の前に忘れてはいけないのが『保険への加入』です。保険未加入のまま山に入ると、事故に遭ったときに莫大な費用がかかってしまうケースがあります。

「保険に入っていてよかった!」と実感するシーンのいくつかを紹介しましょう。

登山中の事故は年々増加

警察庁生活安全局の調査によれば、平成30年の山岳遭難者の数は3129人で、そのうち、死者・行方不明者が342人、負傷者が1201人です。

遭難の発生件数及び遭難者の数は前年度よりも増えており、特に登山での遭難者は全体の74.0%を占めています。

山の事故の原因は、登山や天候に対する知識不足や不十分な装備、体力的に無理のある登山計画などが挙げられるでしょう。

「低い山しか登らないから保険は不要」と考える登山初級者は、山に対する知識も経験も不足しているため、事故に遭遇する可能性は高いといえます。「入っておけばよかった」と後悔する前に、保険の重要性を認識しましょう。

平成30年における山岳遭難の概況

事故や遭難で莫大な費用が請求される場合も

遭難時のヘリコプターレスキューは『警察』『消防』『自衛隊』『民間』があり、民間以外は無料です。しかし、救助要請をした場合、どのヘリが出動するかは状況次第で、救助要請者が指定することはできません。

日本山岳救助機構合同会社によれば『東邦航空』の場合、1時間あたりの捜索費用は、46万5000円にも上ります。

民間のヘリや山岳会に捜索を依頼し「1回の登山で100万以上の費用がかかった」というケースもあるため『捜索救助隊の捜索費用』や『ヘリによる捜索費用』がある登山保険に加入するのが賢明です。

自治体によっては費用がかかることも

残念なことに、タクシーを呼ぶような気軽さで救助を要請する遭難者がいます。山岳事故でリスクを負うのは、遭難者だけでなく救助に向かう人も同様です。実際、救助に向かう途中で命を落とした救助隊員もいます。

登山者の事故への意識を高めるため、埼玉県では救助費用の一部を遭難者に負担してもらう取り組みを行っています。自治体が出動した場合でも自己負担が高額になる可能性は十分あり得るのです。

持ち物の盗難や破損時も安心

カメラやスマホ、双眼鏡など所持品の中に高額なものがある場合は、携行品の損害を補償してくれる登山保険を選びましょう。わずか数百円の掛け金で、数万円を保証してもらえるのは安心です。

具体的には『転倒時にスマホがポケットから飛び出して破損した』などの事例が挙げられます。不注意による紛失や置き忘れには対応していないケースが多いため、保険加入前に適応範囲をしっかり確認しておきましょう。

登山保険の種類

登山保険は、それぞれのニーズに合わせて選択できるように、いくつかの種類が用意されています。『いつ・誰と・どんな山に登るか』を明確にしておきましょう。

掛け捨て型か年間型か

保険は『掛け捨て型』と『年間型』に大別されます。

『掛け捨て型』は1日単位で加入できるタイプで、掛け金が数百円からとリーズナブルなのが特徴です。年に2~3回山に出かける程度なら、便利な掛け捨て型がよいでしょう。

1年間ごとの契約をする『年間型』は、年間を通して何度も登山をする人に向いています。保険会社にもよりますが、3年・5年と長期契約ができるケースもあります。

軽登山か本格登山か

登山は、使用する道具の種類や内容によって『軽登山』と『本格登山』に分けられます。

『軽登山』はハイキングやトレッキング、キャンプなど、重装備を必要としない一般的な登山を指します。『本格登山』は、アイゼンやピッケルなどを使用して行う雪山登山や登攀などです。

軽登山と本格登山では、登山における危険度が違い、加入する保険の内容も異なるのが一般的です。

登山保険選びの注意点

登山において、保険の重要度が高いのが『遭難時の捜索』です。登山保険を選ぶときは、遭難捜索費用の有無を確認しながら、全体の補償内容を考えましょう。

補償内容と対象をしっかり確認する

登山保険は、単独の保険ではありません。ベースとなる『傷害保険』に、山岳遭難時や救援者費用、損害賠償などの『特約』を付けたものです。

補償内容と対象を確認しなかったために、保険が下りなかったケースもあれば、普段加入している傷害保険と内容が被っており、無駄な出費になることもあります。

遭難時の捜索費用は含まれているか

『遭難時の捜索費用』は必ずチェックしておくべき項目です。自衛隊や消防での捜索が打ち切られた後は、民間での有料捜索になり、場合によっては莫大な費用がかかるためです。

登山保険の項目には『救援者費用等補償特約』と『遭難捜索費用特約』があります。『救援者』と聞くと、レスキュー隊などを思い浮かべる人も多いですが、ここでいう救援者は事故処理などで現地に赴く『被保険者の親族』を指します。

『救援者費用等補償特約』を付けても、遭難時の捜索費用や救助費用がカバーされるわけではありません。保険を選ぶときは『遭難捜索費用』が含まれているかを確認しましょう。

病気による遭難は補償されない場合も

傷害保険に遭難捜索救助関連の特約を付けた登山保険は、ベースが『傷害保険』のため、病気や体調不良が原因の捜索救助費用は補償の対象外になる場合があります。

一方、日本費用補償少額短期保険の『レスキュー費用保険』など『遭難捜索救助費だけに特化した保険』もあります。遭難の原因を問わず、道迷いや病気の悪化による遭難にも対応しているのです。

体調不良による遭難が不安な人は、遭難に特化した保険の加入も考えましょう。

おすすめの保険紹介

Web上でも簡単に加入ができるおすすめの保険を紹介します。加入前は、複数の保険会社で見積もりを取るのがよいでしょう。

モンベル アウトドア保険

アウトドアブランドのmont-bell(モンベル)には、アウトドアを楽しむ人のための傷害総合保険があります。

1泊2日からの短期補償タイプは『野あそび保険 (国内旅行傷害保険)』と『山行保険 (運動等危険補償特約付国内旅行傷害保険)』の2種類です。Web上で簡単に申込できます。

野あそび保険には、個人賠償責任補償や救援者費用等補償、携行品損害補償の三つの特約が付いていますが、遭難捜索救助費は対象外です。

一方、山行保険には100万円程度の遭難捜索救助費が補償されているため、万が一のときも安心できます。

モンベル | 保険

YAMAP 登山ほけん

登山アプリ『YAMAP(ヤマップ)』が提供する『YAMAP登山ほけん』は1日250円というリーズナブルさが魅力の単発型保険です。

内容は、所持品の盗難や破損を補償する『アイテムほけん』と遭難時の救護費用を補償する『レスキューほけん』の二つで、両方をセットにしても1カ月650円です。

加入中の傷害保険に遭難捜索救助費が付いていないときに活用するとよいでしょう。

“1日だけ”でも入れるYAMAP登山保険(山岳保険) | YAMAP / ヤマップ

日山協山岳共済会 山岳保険

日山協山岳共済会の会員を対象にした保険で『登山コース』『ハイキングコース』『スポーツクライミングコース』『トレランコース』の4種類から選べます。

『登山コース』の場合、遭難捜索費用が100万~300万円まで補償されるため安心です。ケガでの入院費用が心配な人は『入通院補償付きタイプ』を選ぶとよいでしょう。

なお、日山協山岳共済会の会員になるには、年会費1000円が必要です。

JMSCA 公益社団法人日本山岳・スポーツクライミング協会

保険内容を比較して検討しよう

登山を安心して楽しむには、登山保険への加入が欠かせません。ハイキングやトレッキングなどのちょっとしたレジャーでも、数百円で加入できる掛け捨て型の保険があったほうがよいでしょう。

「保険に入っていないがために、遭難時に救助要請するのをためらってしまった」ということがないようにしたいものです。

保険選びの際は、いろいろな会社の保険を比較して、できるだけ手厚い補償内容のところを選びましょう。

その他のテーマ

ART

CULTURE

CRAFT

FOOD

TIME