勧進帳は見どころがたくさん!歌舞伎座だからこそ楽しめるポイントは?

2019.09.25

勧進帳といえは、弁慶義経が出てくる時代物。そう単純に思い込んでいませんか?じつは、ストーリーとは別に、見どころがいくつもあるのです。分かりやすい見どころから、「実は・・」とあまり知られていない知識まで、その優れたポイントをご紹介します。

当代随一の看板役者が必ず演じる名作

主人公の義経、弁慶、冨樫にそれぞれ見せ場がある勧進帳。歌舞伎十八番のひとつとして数えられ、明治時代に入ってから現在まで、歴代の看板役者が生涯のうち一度は演じる、という演目になっています。

江戸時代から続く由緒ある芝居

勧進帳は、江戸末期に5代目市川海老蔵が能の「安宅」を歌舞伎にアレンジしたもの。江戸時代の歌舞伎は、今で言うところの「テレビドラマ」のようなもので、武士が嗜むとされた能と違い、庶民が楽しめるよう見せ場をふんだんに作り、わかりやすいストーリー仕立てとなっています。

今年の團菊祭での登場した人気3役者

近年、歌舞伎座では、5月に市川家(團十郎)と尾上家(菊五郎)が登場する「團菊祭」が行われています。これは、昭和11年に始まり、戦時中は途絶えたものの、代々人気役者を輩出し古いルーツを持つ両家が歌舞伎を盛り上げるために実施しています。

歌舞伎らしいポイントを堪能しよう

歌舞伎は芝居なので、映像のようにストップモーションやアップなど登場人物を印象づけることができません。そのためにできたのが「見得」や「六方」。ひとつひとつ意味があり「これが見せ場だな」と理解すると、より深く歌舞伎が分かるようになります。

ストップモーションの意味がある「見得(みえ)」

体を大きく動かしたあとに、ストップモーションのように体を少しずつ動かすのが見得。一番わかりやすい仕草ともいえるでしょう。これは、芝居の見せ場や登場人物の心情を表現する方法です。

勧進帳ではいくつかその場面があり、「石投げの見得」と呼ばれる石を投げるように右手をあげる見得や、ピンチを切り抜けた弁慶が思わずとる「元禄の見得」は、わかりやすい見得です。

退場するときの「飛び六方(ろっぽう)」は絶対見逃せない

役者たちが、花道を通って退場する演出を引っ込みといいます。勧進帳では、弁慶が、大きく手足を六方につっぱり、片足で飛び跳ねながら退場する「飛び六方」が有名です。その動きはわかりやすく、芝居の余韻を感じます。

現代の生活にも通じる歌舞伎のお話

勧進帳は、あまりにも有名なお話のため、子供が演じてみたり、地方歌舞伎で取り入れられることが多い演目です。また、慣用句に使われていることも。どのように使われているか、みていきましょう。

勧進帳が転じてできた慣用句

勧進帳とは、寺の寄進を奨励する書面のこと。兄・頼朝に疎まれ逃亡する義経と一緒に逃亡している弁慶たちは、山伏に化け、関所の役人「冨樫左衛門」に勧進を進める旅だと嘘をつき通過しようとします。

これを疑う冨樫は、勧進帳を読み上げろと弁慶に迫り、弁慶はなんと白書の巻物を、さも勧進帳のように長々と読み上げるのです。ここから転じて、「白紙のものを読み上げる」ことを勧進帳と呼ぶことがあります。

新天皇即位の5月に演じられた理由

勧進帳は、明治20年に天覧劇として歌舞伎では初めて天皇の前で演じられました。これで、庶民の演芸とされた歌舞伎は、能と同じように「伝統芸能」として認められた意味を持ったのです。そのため、これを記念して今年の5月新天皇即位の当月に演じられました。

2019年歌舞伎座「團菊祭」の感想は?

今年5月の勧進帳は、「平成の三之助」と呼ばれた海老蔵、松緑、菊之助が20年ぶりにそろって登場したことでも話題を呼びました。また、2020年に團十郎を襲名する海老蔵にとっては、海老蔵として最後の勧進帳だったそう。

彼らの父親世代と見比べる感想も多く、間違いなく彼らの子供たちにも引き継がれる素晴らしい演目といえることでしょう。

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