裏原ブランド9選。90年代のストリートを席巻した裏原ブームの歴史を解説

2019.10.10

1990年代半ば~2000年代にかけて、日本のファッション界で一大ムーブメントとなった「裏原系」。今となってはその呼称を聞くことも少なくなりましたが、近年のストリートファッションの隆盛から、再びじわじわと注目度を上げています。この記事では、裏原好きの目線から、当時~現在まで裏原を彩ってきた厳選ブランドをご紹介します。

裏原宿とは?どこにあるの?

(画像:裏原にある「神崎ビル」。1FがNeighborhood原宿店、2FがSupreme原宿店となっている)

裏原宿とは、文字通り「原宿の裏通り」のことを指します。原宿から表参道までに至る道のうち、明治通りと青山通りに挟まれた区間の裏路地にあたる一帯(神宮前~千駄ヶ谷付近まで)のことを指しており、この地域から発信されたファッションを中心とするカルチャーを「裏原系」などと総称します。

1990年代に到来した裏原ブーム

裏原が一躍脚光を浴びたのは、1990年代のこと。原宿~表参道エリアには若者向けの大手セレクトショップなどが乱立する中、竹下通りや表参道沿いの高いテナントでは出店できない若きデザイナーたちが、裏原宿に店を構え始めます。

象徴的なものが、UNDERCOVERのデザイナー・高橋盾(たかはしじゅん)氏とA BATHING APEのデザイナー・NIGO(ニゴー)氏が中心となりオープンした伝説的セレクトショップ『NOWHERE(ノーウェア)』。このショップは、後にストリートシーンを席巻する数々のブランドの発信地ともなりました。

パンクミュージックやヒップホップ、バイクやスケボーなどといったストリートカルチャーを核にした裏原宿独特のスタイルは、徐々に当時の若者の支持を集め、爆発的なムーブメントへと変わっていったのです。

ストリートファッションの流行で人気再燃中?

1990年代終盤をピークに、2000年代半ばごろになってくると、次々と進出してくるインポートのラグジュアリーブランドが勢いを増し、裏原宿ブームは終息した感がありました。ストリートファッション業界自体の注目度が下がり、ハイブランドの時代になっていきます。

しかしファッションは繰り返すもの。2010年代になると、Supreme(シュプリーム)の爆発的ヒットに代表されるように、再びストリート系ファッションが脚光を浴びることとなりました。当時裏原を牽引していた老舗のブランドに加え、2000年代以降創業した新しいブランドなども生まれ、「90’s(90年代ファッション)」のリバイバル人気などと相まって裏原人気がじわじわと再燃しつつあります。

裏原ブームを牽引。伝説的ブランド5選

さて、ここからはかつての「裏原ブーム」を牽引し、ストリートのトップを走り抜けたブランド、そして今もストリートファッションシーンにその名を轟かすブランドをご紹介していきます。

AFFA(エーエフエフエー)

裏原ブームを語るうえで欠かせないのが、裏原カルチャーの中心人物の一人であり、ブームのアイコンともいえるデザイナー・藤原ヒロシ氏。そんな藤原ヒロシ氏と高橋盾氏がタッグを組み、世に送り出したブランドが『AFFA(エーエフエフエー)』です。

AFFAとは「Anarchy Forever Forever Anarchy」の略。その名の通りパンクでアナーキーな要素をカジュアルに落とし込んだスタイルは、裏原ブームの先駆けとしてカルト的な人気を博しました。

ちなみにこちらのブランドは定期的なアイテム発表などはなく、両デザイナーが気が向いたときに制作を行うという独特な形で活動しているため、世に出回っているアイテムも決して多くはありません。現在でもたまに両氏が集って同ブランドの名を使用したアイテムを発表することもあるようです。

コアな裏原マニア垂涎の『AFFA』は、裏原ブームの黎明期を彩った伝説のブランドといえます。

UNDERCOVER(アンダーカバー)

『UNDERCOVER(アンダーカバー)』は、さきほども登場したデザイナーの高橋盾氏が、文化服装学院在学中の1989年に立ち上げたブランドです。1990年代前半の裏原を代表するブランドとして名を馳せ、裏原ドメスティックブランドの筆頭格と目されていました。

最近ではいわゆるガチガチのストリートスタイルからは離脱し、モード色の濃いテイストをストリートに落としこんだコレクションが印象的。現在は有名百貨店などにも多く出店し、海外でも高い評価を受けるなど、いまや裏原のみならず日本を代表するブランドの一つとなっています。

A BATHING APE(ア ベイシング エイプ)

『A BATHING APE(ア ベイシング エイプ)』は、ファッションデザイナーや音楽プロデューサーとしても活躍するNIGO氏が、1993年に立ち上げたブランドです。

先述のセレクトショップ『NOWHERE』にて販売されると、知る人ぞ知るブランドとして口コミで名前を馳せ、さらにNIGO氏と親交のある人気ミュージシャンたちが着用したことで全国的な有名ブランドとなりました。

同氏の造詣の深いヒップホップの影響が色濃く、ブランドのアイコンであるAPEマークと呼ばれる猿のキャラクターや、ポップな配色がアクセントになっています。

現在ではNIGO氏が同ブランドのデザイナーを退任していることもあり、創業期のアングラなイメージからは脱却した感もあります。いずれにせよ、こちらも裏原ブームを語るうえでは欠かせないトップブランドといえるでしょう。

GOODENOUGH(グッドイナフ)

ストリートファッション界の重鎮、藤原ヒロシ氏が中心となり立ち上げたブランド『GOODENOUGH(グッドイナフ)』。人気を誇った当時はデザイナーが匿名であり、藤原氏の名前が明かされないまま、雑誌や口コミで大人気ブランドへと成長しました。

1990年、裏原黎明期に創業されたこちらのブランドは、当時は誰もが知る裏原ブランドの代表格と目されていました。

しかし、一時ブランドが休止するなど2000年代以降表舞台から姿を消したこともあり、今や隠れた伝説的なブランドとしてコアなファッション通の間でその名を轟かせています。なお、2017年にはブランドが終了しており、現在新規のアイテムは販売されていないとのこと。

こちらのブランドのアイコン的アイテムとして今も人気が高いのが、GOODENOUGHの頭文字「GE」をかたどるロゴが胸元に入ったシンプルなスタジャン。当時の裏原を愛する者たちにとっては憧れのアイテムとして胸に刻み込まれていることでしょう。

LET IT RIDE(レットイットライド)

先述の『NOWHERE』と並ぶ裏原ブームの2大発信地であった、渋谷・並木橋に店を構えた伝説的なセレクトショップ『ELT』。

そんなELTの創業者である佐渡村健(さどむらけん)氏が、文化服装学院時代の友人らとともに、ショップ設立と同時に立ち上げたオリジナルブランドが『LET IT RIDE(レットイットライド)』です。

先述の『GOODENOUGH』を他のショップに先駆けて取り扱うなど、裏原の最先端を行くショップを手掛けた同氏のデザインとあって、シンプルでクールなアメカジスタイルは当時の裏原ファンたちを大いに魅了しました。

2003年に一時ブランドが休止、2010年にはELTが閉店したこともあり、現在では同ブランドのアイテムはWeb販売がメインのようです。

現在もトップを走り続ける裏原系ブランド4選

かつての裏原ブームを彩ってきたブランドの中でも、現在も当時と変わらぬスタイルで裏原そしてストリートファッションを牽引し続けるブランド、そして新進気鋭のおすすめブランドをご紹介します。

Neighborhood(ネイバーフッド)

(画像:Neighborhood 渋谷店)

1994年、デザイナーである滝沢伸介(たきざわしんすけ)氏が創業し、裏原ブームから今に至るまで日本のストリートファッションシーンをリードし続けるブランド『Neighborhood(ネイバーフッド)』。

裏原ブーム当時から代表的なブランドのひとつと目され、ミリタリー・バイク・車・スケボーなどの要素がミックスされたオリジナルなスタイルは、当時から今も変わらず一貫した、少しルードで男臭い大人のカッコよさを創造し続けています。

(画像:筆者私物。Neighborhood 2009年ごろ Tシャツ。1980年代の伝説的スケーター、ジェイソン・ジェシーの名をプリントしたコラボ商品)

「本物」を追求する大人のカッコよさ

「CRAFT WITH PRIDE」を基本コンセプトに据え、デザインにも品質にもとことんこだわった各種アイテムは、まさに「カッコいい」の一言。当時から今も変わらずトップを走り続ける、現在の裏原を牽引するブランドといってよいかもしれません。

  • 店舗名:Neighborhood 渋谷店
  • 住所: 〒150-0041 東京都渋谷区神南1丁目8−13 千城ビル1F
  • 営業時間:12:00~20:00
  • ブランド公式ページ

WTAPS(ダブルタップス)

(画像:GIP-STORE)

1996年、デザイナーの西山徹(にしやまてつ)氏が創業した『WTAPS(ダブルタップス)』。もともと『Neighborhood』の滝沢氏と親交があり、創業時にもスタッフとして参画しています。

当初は旗艦店を持たず、Neighborhoodの店舗内などで販売していたWTAPSですが、ミリタリースタイルをストリートに落とし込んだ無骨なデザインが人気を博し、2011年には渋谷・神南にWTAPS初となるフラッグシップストア『GIP-STORE』が出店しています。

(画像:筆者私物。WTAPS 2014年ごろ デニムシャツ)

ミリタリーにこだわり抜く

ちなみにGIPとは「Guerrilla Incubation Period(ゲリラ潜伏地点)」の略であり、その名からすでにミリタリーへのこだわりが漂います。

「Placing Things Where They Should Be.(あるべきものをあるべきところへ)」をブランドコンセプトに据え、ミリタリーをベースにスケートボードなどの多様なストリートカルチャーを融合したWTAPSもまた、最近の裏原を語るなら欠かせないブランドです。

  • 店舗名:GIP-STORE
  • 住所:〒150-0041 東京都渋谷区神南1丁目9−10 番匠ビル 1F
  • 営業時間:12:00~20:00
  • ブランド公式ページ

Supreme(シュプリーム)

(画像:Supreme 渋谷本店)

1994年、アメリカ・ニューヨークで創業したストリートブランド『Supreme(シュプリーム)』。ニューヨークやカリフォルニアのスケートボードのカルチャーをベースに、洗練されたアーバンなストリートファッションを発信しています。

Supremeは、裏原ブーム当時はあまり主要なブランドというわけではなく、知る人ぞ知るコアなインポートブランドという位置づけだったといわれています。先述のNIGO氏など名だたる裏原系ブランドのデザイナーたちが着用したことで、その名が裏原通の中で知れ渡りましたが、その名声は微々たるものでした。

(※厳密には、狭義の「裏原系ブランド」つまり裏原に店舗を構えたドメスティックブランドではないため、裏原系に分類しない人もいるかもしれません)

ところが裏原ブームが落ち着いた2000年代以降、マイク・タイソンやレディ・ガガ等の世界的セレブリティを起用したプロモーションや、日本のストリートファッションシーンに絶大な影響力を持つ窪塚洋介氏を起用した数々の雑誌の特集などで、徐々にその人気は高まっていきます。さらに、コムデギャルソンやルイ・ヴィトンなど名だたる有名ブランドとのコラボも、その知名度を押し上げました。

いまや数々の芸能人やセレブリティも愛用している、押しも押されもせぬ超人気ブランド。裏原好きでなくとも知っているほどの有名ブランドとなってしまったのは、裏原好きとしては嬉しい反面少し寂しくもあります。

(画像:筆者私物。Supreme × Champion 2013年 アーチロゴ サテンジャケット。当時は今ほど人気が加熱していなかったこともあり、土曜日の開店直前でも渋谷本店の並びは20名ほど。おかげで目当てのカラー・サイズを入手できましたが、今となっては考えられません)

ボックスロゴのアイコンでおなじみ

Supreme_boxlogo

赤いボックスに「Supreme」の文字が白抜きされた、ブランドのアイコンである「ボックスロゴ」は、ファッションに詳しくない人でも一度は見たことがあるのではないでしょうか?

ボックスロゴが刺繍・プリントされたパーカーやキャップなども人気ですが、特にブランドの節目の年などに記念で発売される「ボックスロゴTシャツ」は、定価が7,000円程度にも関わらず、流通価格では10万円を超えることも珍しくないという超人気商品となっています。

ちなみに人気に比例して偽物も多く出回っていますので、もし購入するときは正規店または信頼できるショップで購入するようにしましょう。

  • 店舗名:Supreme 渋谷本店
  • 住所:〒150-0041 東京都渋谷区神南1丁目18-2 1F
  • 営業時間:11:00~20:00
  • ブランド公式ページ

CHALLENGER(チャレンジャー)

デザイナーであり元プロスケーターの田口悟(たぐちさとる)氏が2009年に立ち上げた比較的新しい裏原ブランド『CHALLENGER(チャレンジャー)』。

「アメリカン・ガレージ」をブランドコンセプトに、ガレージから生まれるあらゆるカルチャー(車、バイク、スケボーなど)を軸にしたアメリカンカジュアルスタイルを展開するCHALLENGERは、まさに知る人ぞ知るブランド。ちなみに、ストリートカルチャーに造詣の深い長瀬智也氏が愛用するブランドとしても知られています。

シンプルな渋さの中にも遊びの効いた洒脱なデザインは、新しい裏原の姿を垣間見せてくれます。

  • 店舗名:CHALLENGER
  • 住所:〒150-0001 東京都渋谷区神宮前2丁目18−7
  • 営業時間:12:00~20:00
  • ブランド公式ページ

裏原は終わらない

2010年代以降、しばしば「裏原は終わった」などと言われることがあります。確かに1990年代当時の若者を中心とする爆発的ブームと比較すれば、現在の裏原シーンは落ち着いているといえるかもしれません。

しかし、裏原ブーム当時の熱狂を経験した若者たちも、いまや立派な大人。そんな大人たちに向けてアップデートされた新たなる「裏原系」は、単なるブームではない一つのカルチャーとして確立され、今も多くの大人たちに支持され続けているのです。

この記事を読んで、「裏原って懐かしいなあ」「若いころは着てたなあ」と思った方。裏原は決して過去のものではありません。ぜひ現在のストリートシーンを牽引する裏原系ブランドを身に着け、渋くてかっこいい大人の世界に浸ってみてください。

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